和歌山県みなべ町高野の山の斜面に立つカヤの大木が、強風により倒れた。高さ約20メートル、幹回りは4メートル近くもあり、樹齢は400年を超えるといわれる。地区のシンボル的な存在で、地元住民らは残念がっている。
住民によると、17日の朝、強い北風を受けて根ごと倒れ、その際に落雷のような大きな音がしたという。斜面沿いには町道があり、通行車両や通行人はいなかったが、重機や車庫が損壊した。
このカヤは、上硲秀規さん(46)方民家の横に立っていた。風よけの木として代々、大切にしてきたという。かつては実を拾って食べ、リスやヤマガラなどたくさんの動物が集まっていた。業者が買い付けに来たこともあったが、「守り神だから」と断ったという。
カヤが立っていた斜面一帯は急傾斜地で、崖地の崩壊などによる危険がある土砂災害特別警戒区域となっており、安全対策のために工事が進められていた。
地元住民の一人は「カヤの北側に立つ樹木が伐採されたことで、軟弱な地盤の急傾斜に立つカヤが北風を受けて倒れたのだろうと思う。それにしても、樹齢400年を超える大木がこんなに簡単に倒れるとは」と残念がる。
他の住民も「県道から眺めると山のように立派な大木だった。台風の風から守ってくれていたのに残念だ」と表情を曇らせる。
上硲さんは「子どもの頃から眺めていた木がなくなったのは寂しい。これからも守っていかなあかんと思っていたのに」と落胆している。
高野区によると、カヤは龍神村森林組合(田辺市龍神村東)で競りにかけてもらう予定だという。