プロレス界で大活躍中のパンダのレスラー、アンドレザ・ジャイアントパンダ「夢はソロデビュー!?」

取材場所に着くと、そこにはドーンとアンドレザ・ジャイアントパンダが!

育ての親から「お前はほかのパンダと違うんだ、自信を持て!」と言われ、レスラーへの道を歩み、今では団体の顔として奮闘しているパンダのレスラー、アンドレザ・ジャイアントパンダ(7歳)。新作映画『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』(2024年1月2日から東京・ポレポレ東中野、1月6日から北海道・シアターキノ他全国順次公開)にアンドレザ・ジャイアントパンダが登場するということで、急遽、突撃取材!

「デ、デカい!」思わず叫んでしまったが、頭は天井ギリギリで、身長3メートルは嘘じゃなかった! でも、顔は笑っていてなんだかかわいい。狂暴だったらどうしよう、いろいろ聞いても大丈夫なのかとドキドキしつつも、インタビュー開始。

―――まずは、レスラーになった経緯を教えてください。

(注:アンドレザ・ジャイアントパンダの話は新根室プロレスの本部長でもあるオッサンタイガーさんが通訳している)

「中国の四川省にある森の中で死にかけていたのを中国人の王さんに発見されました。王さんが仲良しのサムソン宮本代表に連絡したら、『すぐ日本に来て欲しい』、と呼ばれました。僕は体が大きすぎていじめられていたんですが、サムソンさんは『体が大きいなら、プロレスをやればいい』と言ってくれて新根室プロレスに入ることになりました。」

―――人間界にはすぐなじめたのでしょうか?

「『人間っていうのは優しい生き物だよ』と教えてもらった通り、みんな優しく仲良くしてくれました。はじめのうちは全く人間に懐けなかったですが、新根室プロレスの皆さんに、人間が食べる美味しい食料をたくさん与えてもらって、心の距離を縮めていって仲良くなれました。

サムソンさんが連れて行ってくれた根室のソウルフード、エスカロップにはすごく感動しました。バターライスの上に薄切りカツが乗っていて、その上にデミグラスソースがかかっていて絶品なんです。根室でしか食べられない逸品です。食べる量は普通のパンダの3倍で、60kgくらい食べています。

最近スイーツとかにもハマっていまして、映えを狙って写真を撮ったりもしていますね」

―――ほかにもハマっているものはありますか?

「スリックウォークにハマっていて、家でずっと練習しています。リングでやったら絶対バズりますよね」

―――試合で披露されている得意技の高速ヘッドバット、アンドレザ・プレスはどれほどの威力があるのでしょうか?

「ヘッドバットは3mの高さからの頭突きがあるので、通常の1000倍の威力があります。プレスは500kgの体で覆いかぶさるので、もう圧殺ですね」

―――巨体を生かした大技のようですね。では試合の前はどうやって気合を入れるのでしょうか?

「リングに上がる前は、対戦相手をどう料理するか、ということと、決して負けないようにするということを考えています。白黒はっきりつけたいんです。パンダだけに」

―――試合の後の打ち上げが大好き、と聞きましたがもしや酒豪?

「お酒はビール一杯くらい。コップ1杯ですぐ赤くなっちゃうんです。パンダなのに真っ赤に(笑)」

どうやらダジャレ好きでもあるようだ。シャンシャンの事をどう思うか聞いてみると、

「面識がないので何とも言えないんですが、いつかコラボできたらいいな、と思います。ただ、彼の人気にはジェラシーを感じます」

彼……!? シャンシャンを雄だと勘違いしているようだ(笑)。

―――映画は新根室プロレス創設者のサムソン宮本が不治の病を抱えながら、団体を率いて町おこしに奮闘する人生と、仲間や家族との愛と絆を描いた感動の物語。映画や宮本さんへの思いを教えてください。

「サムソンさんが『お前はほかのパンダと違うんだ、自信を持て』と言ってくれたのが嬉しかったです。おかげで立派なレスラーになれました。映画は当時の僕のようにくすぶっている人たちやパンダの方々にも見てもらって、勇気を持ってもらえたら、と思います」

―――好きなパンダはいますか?

「妻のティンティンと息子のラジャ・パンダですね。一緒に暮らしています。結婚は6年前で1歳の時。北海道のパンダと根室で結婚しました。子供はいま3歳か4歳、まだはっきりしていません。家族円満なので他のパンダにはあんまり興味がないんです。奥さん一筋。

とにかく気が強くて、悪いことをしたら叱ってくれて。支えてくれる最高の奥さんです」

―――最後に、今後の抱負を教えてください。

「実は美声で歌にも自信があるので、ソロデビューなんてのも考えています。美声は限られた人にしか聞こえませんが(苦笑)。お声がけ頂ければ、全国どこでも試合に行きます。新根室プロレスの集客になるようにもっともっと貢献していきたいんです。客寄せパンダだけに」

ギャグを交えつつもプロレスに対する真摯な思いがひしひしと伝わってきて、取材中にすっかりファンになってしまった。2024年は、日本全国あちらこちらでファンを楽しませてくれるだろう。

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