GDO編集部が選ぶ2023年の10大ニュース<海外男子編>

2023年の海外男子ニュースを振り返る

2023年にGDOが配信した全ての記事の中から、編集部が独自に10大ニュースを選出。全5回にわたり、ことしのゴルフ界を彩ったホットな話題を振り返る。第3回は海外男子編。

10位:ビクトル・ホブランが最終戦を制して初の年間王者に

ビクトル・ホブランが初めて年間王者に輝いた(Mike Ehrmann/Getty Images)

PGAツアーのプレーオフ最終戦「ツアー選手権」を年間ポイントレース(フェデックスカップランキング)2位で迎えたビクトル・ホブラン(ノルウェー)が制し、前週のプレーオフ第2戦「BMW選手権」に続く2週連続優勝を達成。ランク1位に立っていたスコッティ・シェフラーを逆転して自身初の年間王者に輝いた。

9位:“飛ばないボール”の基準を2028年から採用

USGAとR&Aが“飛ばないボール”の導入に踏み切る

ゴルフのルールを統括するR&AとUSGA(全米ゴルフ協会)が総合飛距離基準(ODS)の下でゴルフボールの適合性テストの条件を更新し、2028年1月から適用すると発表した。

新条件の下で開発された“飛ばないボール”を使うと、PGAツアーなどのロングヒッターは1Wで13~15yd、平均的なツアープロや男子競技ゴルファーは9~11yd、平均的な女子選手は5~7ydの飛距離ダウンが見込まれる。一方、一般的なアマチュアゴルファー(平均ヘッドスピードで男性41.57m/s、女性32.19m/s)の飛距離ダウンは5yd以下にとどまる見込み。

8位:ブルックス・ケプカが「全米プロ」3勝目

ツアー史上6人目の大会3勝目を飾ったブルックス・ケプカ(Kevin C. Cox/Getty Images)

5月のメジャー第2戦「全米プロゴルフ選手権」で、ブルックス・ケプカが首位スタートの最終日に「67」をマーク。逃げ切りで2018、19年大会に次ぐ大会3勝目、メジャー通算5勝目を挙げた。

大会3勝目はツアー史上6人目。勝利数でジーン・サラゼンとサム・スニードに並び、タイガー・ウッズの4勝、最多となるジャック・ニクラスとウォルター・ヘーゲンの5勝に迫った。

7位:石川遼がPGAツアーで7年ぶりのトップ10

石川遼が日本開催の「ZOZO」で4位。PGAツアーで7年ぶりのトップ10入りを果たした(撮影/大澤進二)

日米ツアー共催の10月「ZOZOチャンピオンシップ」で石川遼が日本勢最高の4位に入り、2016年10月の「CIMBクラシック」(10位)以来となるPGAツアーでのトップ10入りを果たした。最終日には4日間での自己ベスト「67」をマークするなど、日本のゴルフファンを沸かせた。

6位:ジョン・ラームが「マスターズ」初優勝

ジョン・ラームがオーガスタでメジャー2勝目を飾った(Andrew Redington/Getty Images)

4月のメジャー初戦「マスターズ」で、2打差を追って最終ラウンドを出たジョン・ラーム(スペイン)が「69」で回り、2位のフィル・ミケルソンとケプカに4打差をつけて初のグリーンジャケットを獲得した。

ラームのメジャータイトルは21年「全米オープン」に続き2つ目で、スペイン勢の優勝はセベ・バレステロス(1980、83年)、ホセ・マリア・オラサバル(94、99年)、セルヒオ・ガルシア(17年)に続く4人目となった。

5位:金谷拓実がアジアンツアー初優勝

オマーンで海外ツアー初優勝を飾った金谷拓実(提供:アジアンツアー)

2月のアジアンツアー「インターナショナルシリーズ オマーン」で、金谷拓実が後続に4打差をつける快勝で海外ツアー初優勝を飾った。同シリーズは「LIVゴルフ」と同じサウジアラビア政府系ファンドの支援を受ける高額大会で、2022年からツアーに組み込まれた。

賞金総額は200万ドル(約2億6300万円)で、金谷は優勝賞金36万ドル(約4730万円)を獲得。世界選手権シリーズを除き、海外開催のアジアンツアーで日本人が優勝したのは、平塚哲二が3勝を挙げた2010年以来13年ぶりとなった。

4位:松山英樹 プレーオフ最終戦「ツアー選手権」の10年連続進出を逃す

松山英樹は「BMW選手権」を背中痛で途中棄権。最終戦への10年連続進出を逃した(撮影/田辺安啓(JJ))

プレーオフ第2戦「BMW選手権」をフェデックスカップランキング47位で迎えた松山英樹は、同大会の第2ラウンド開始前に背中痛のため棄権。ランク30位までに入れず、プレーオフ最終戦「ツアー選手権」への10年連続進出を逃した。

松山はPGAツアーに本格参戦した2014年から22年まで、9年連続で最終戦に出場。21年に途絶えたダスティン・ジョンソンの13年連続に次ぐ歴代単独2位の記録を更新していたが、10年の大台に乗せることはかなわなかった。

3位:ジョン・ラームがLIVゴルフに電撃移籍

ジョン・ラーム(左)がLIVゴルフに電撃移籍した(提供:LIVゴルフ)

ジョン・ラーム(スペイン)が、サウジアラビア政府系資金をバックにした「LIVゴルフ」に電撃移籍することが12月7日に発表された。欧米メディアによると、11勝を挙げたPGAツアーからの移籍に伴う契約金は700億円以上に上る。

当初は予選カットがない3日間大会をはじめとしたLIV独自のフォーマット等に否定的だったラーム。莫大な賞金額についても「お金のためにゴルフをしたことは一度もない。世界のベストな選手たちと競い合いたい。PGAツアーこそが持つ歴史や伝統に惹かれている」と話すなどPGAツアーへの“忠誠”を誓っていたが、急転直下の移籍劇となった。

2位:PGAツアーとLIVゴルフが2年の分断を経て和解

欧米ツアーとLIVゴルフの今後の動向に注目が集まる

PGAツアーとDPワールドツアー(欧州男子ツアー)は6月6日、対立を続けていた「LIVゴルフ」との和解を発表した。

欧米ツアーはLIVを支援してきたサウジアラビア政府系のファンド、PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)の投資により、関連事業の権利を統合する新団体の設立を発表。それに伴い、当事者間で係争中の訴訟も終了させることで合意した。LIVが主導する団体戦(チームゴルフ)についても成長に協力する方針を示した。

1位:久常涼が日本人3人目の欧州ツアーV&日本人初の新人王

DPワールドツアー(欧州ツアー)初優勝を飾った久常涼(Luke Walker/Getty Images)

9月の欧州ツアー「カズーオープンdeフランス」で、久常涼が4打差5位から出た最終日に「66」をマークして欧州ツアー初優勝を挙げた。

日本勢の欧州ツアー制覇は、1983年「パナソニック欧州オープン」(イングランド)優勝の青木功、同ツアーを兼ねた2016年「WGC HSBCチャンピオンズ」(中国)、17年「WGC ブリヂストン招待」(米国)、21年「マスターズ」(米国)を制した松山に次いで3人目となる。

11月には欧州ツアーが23年シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーに選出。日本人が選ばれたのは史上初の快挙だった。また、年間ポイントレース(レース・トゥ・ドバイ)では17位に入り、有資格者を除く上位10人に付与される2024年度のPGAツアー出場権をつかんだ。

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン