2022年に続き、2年連続で1件発生 プロルート丸光(株)が会社更生法を申請

~ 2023年の「上場企業」倒産(12月29日16時現在)~

2023年の上場企業の倒産は、12月29日16時までに1件発生した。12月に東証スタンダードのプロルート丸光(株)(大阪、負債額20億7,300万円)が、会社更生法を申請した。上場企業の倒産は、2022年にテラ(株)が破産を申請しており、2年連続で1件にとどまる見通しとなった。
上場会社の倒産は、プロルート丸光(株)が令和(2019年)に入り4社目。負債20億7,300万円は、令和では2020年5月の(株)レナウン(東京、負債額138億7,900万円)に次いで、2番目の規模になる。

プロルート丸光は、婦人衣料に強みを持つ総合アパレル問屋で、小売店を対象に会員制の事業を展開していた。新型コロナ感染拡大で業績が低迷するなか、雇用調整助成金の不正受給問題や元会長らによる粉飾決算で上場維持が困難となり、会社更生法で経営再建を図ることになった。
令和元年の2019年は、深刻な人手不足や消費増税の影響で企業倒産(負債1,000万円以上)は増勢に転じ、2019年は8,383件と11年ぶりに前年を上回った。2020年は年初から新型コロナ感染拡大で国内外の経済活動が停滞し、企業倒産はさらに増加が見込まれたが、政府のコロナ関連支援が劇的な効果をみせ、倒産は歴史的な低水準となった。
上場企業の倒産は、2020年は2件発生したが、2021年はゼロだった。2022年、2023年はそれぞれ1件にとどまり落ち着きを見せている。その一方で、上場廃止(日本取引所グループHPから抜粋)は、2020年57件、2021年86件、2022年77件、2023年61件(12月30日上場廃止予定のルーデン・ホールディングスを含む)だった。
輸出企業やグローバル展開する企業を中心に、円安を追い風に好業績の恩恵を受けているが、内需型企業は物価高や人手不足、人材確保による賃上げなどのコストアップで厳しい業況が続く。政府は「資金繰り支援から事業再生」に舵を切り、支援の方向に変化をみせている。金融機関は、上場、未上場を問わず、業績回復が遅れた企業への迅速な再建支援として、REVIC(地域経済活性化支援機構)の活用や事業再生ADR、私的整理を用いた幅広い対応を求められている。
なお、上場企業では、GC注記が約55社、重要事象が約120社に付記された。物価高、為替に加え、支援や金融環境が変化する場合、小康状態から経営悪化が顕在化する可能性も高まっている。

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