欧勝海「まずは関取定着」 初場所へ北國新聞社インタビュー

稽古に励む欧勝海(左)=東京・墨田区の鳴戸部屋

 大相撲初場所(1月14日初日・両国国技館)で関取デビューする新十両欧勝海(津幡町出身、鳴戸部屋)は北國新聞社のインタビューに応じ、「まずは勝ち越して関取に定着したい」と新年の目標を語った。これまで以上に稽古に精進することを誓う22歳は「力をつけていずれ幕内へ」と語り、同郷で一足先に新入幕を果たした大の里=二所ノ関部屋=と同じ舞台を見据える。

 元大関琴欧洲の鳴戸親方が率いる部屋で2人目の関取で、十両欧勝馬らの胸を借りて力をつける。十両以上が着用する白まわしに「慣れない。まだ硬い」と首をかしげるが、穏やかな笑顔に関取の座をつかんだ喜びがにじんだ。

 2021年の九州場所で左肩靱帯(じんたい)を部分断裂する大けがを負い、手術に踏み切った。「寝るときも痛くて起き上がれなかった。本当に復帰できるのかなって」。何度も「引退」の2文字がよぎったが、あきらめなかった。「頑張ってきてよかった」。新十両が決まった際、しみじみ漏らした一言が苦労の大きさを表していた。

 津幡町少年相撲教室で切磋琢磨(せっさたくま)した1学年先輩の大の里に刺激を受ける。今も頻繁に連絡を取り合う仲で「ご飯に行こうって誘われるけど、予定が合わなくてまだ行けてない」。関取の特権であるまわし「締め込み」の色は青色に決めた。「大の里関と同じような色。青色は好きなので」

 関取になると、土俵入りで化粧まわしを着用することになる。昇進祝いに母校などから贈られることが多いが、欧勝海は意外な人から化粧まわしを受け継いだ。昨年の九州場所限りで現役引退した元幕内豊山(新潟市出身、金沢学院大附属高OB)だ。

 津幡南中を卒業して新潟・海洋高に進学した欧勝海と、新潟から石川に相撲留学した豊山。両県にゆかりを持つ2人の共通の支援者が化粧まわしを引き継ぐことを提案し、豊山が快諾した。

 豊山は欧勝海が小学生の頃から気に掛けていたそうで、引退後は鳴戸部屋を訪れて稽古をつけることも。欧勝海は「いつもわかりやすく指導してもらえる。立ち合いのかちあげも教えてもらった」と感謝する。

 欧勝海の実家は津幡町上矢田にある温浴施設「やたの湯」。「お風呂屋さんの息子」らしく趣味は温泉や銭湯巡りという。湯で稽古の疲れを癒やし、新年の土俵に向かう。

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