【お金】投資を始めたい若者が口にしたのは…!? “今どきの子”のマネーリテラシー

読者の皆様は、20歳前後くらいの「今どきの若者」に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。また自分の子どもが20歳になるときに、どれくらいの「マネーリテラシー」を身に着けておいてほしいと考えていますか?

今回ご紹介するゲームを通じて、子どものマネーリテラシーを高めていきましょう。

若者は仕事に「ドライ」、お金に「シビア」?

筆者は普段、18歳~20歳代前半の学生さんなどに向けた就職支援の仕事に就いているのですが、面談やセミナー登壇を通して若い方とやり取りするなかで、いろいろと感じることがあります。

まず「今どきの若者」の特徴について、日本生産性本部がまとめた、H31年における「新入社員意識調査」のデータを見てみました。

グラフを見ると、最近の若い方について非常に気になる傾向が見えてきます。

「人並み以上に働きたい」という人は年々減少し、「仕事よりも、私生活を中心にしたい」と考える人は急激に増えています。

さらに、平成26年度と平成31年度の調査を比べると、

「仕事はお金を稼ぐための手段であって面白いものではない」と考える人は9.6 ポイント増。

「職場の同僚、上司、部下などとは勤務時間以外はつきあいたくない」と考える人は8.9 ポイント増。

「面白い仕事であれば、収入が少なくても構わない」と考える人は12.9 ポイント減となったと報告されています。

これらから、「最近の若者」は仕事に対して非常に「ドライ」になってきていると言えるでしょう。

一方で、「面白い仕事であれば、収入が少なくても構わない」と考える人が大幅に減少していることからは、お金(給料)に対しては「シビア」であることが伺えます。

ただ、ここでの「シビアさ」とは、自分自身が「お給料」としてもらうお金と、自分が自分の楽しみのために使用(消費)する各種の商品・サービスのコストパフォーマンスに対するシビアさである。という印象を受けています。

「投機でなく、『投資』をすること」や、「自分のライフプランをしっかり考えたうえで戦略的に節約をする」など堅実で前向きにお金と向き合う『シビアさ』とは少々異なると言えるでしょう。

誤解を恐れずに言えば、『社会人になる時期を前にしても、お金については「もらう」「使う」「貯める」ことくらいしか想像できず、経験がない。「節約する」「節税する」「投資する」「備える」などに思い至っていない。ある意味で、危険なほど幼い』という印象を、「最近の若者」から感じています。

「投資」は「FX」で!?

一つ、象徴的なエピソードをご紹介します。

最近、20歳前後の方と就職対策の模擬面接を行ったとき、以下のようなやり取りがありました。

筆者「社会人になったら、始めてみたい新たな取り組みなどはありますか?」

学生「そうですね、初給料を受け取ったら、投資を始めてみたいです」

筆者「(おおっ、やるな!)そうなんですね、どのような投資を考えていますか?」

学生「はい。FXとか、仮想通貨とかをやってみたいです!」

筆者「(絶句)」

賢明なる「ハピママ*」読者の皆様であればご存じの通り、「FX」や「仮想通貨」にお金を入れる事は「投資」とは言い難く、ギャンブルに近い「投機」にカテゴリーされるものです。

上記の模擬面接後の振り返りの時間、筆者は学生さんに「実はそれ(FX)って、投資とは言えないんです。どちらかと言うとギャンブルに近いもの。就職活動そのものとは直接関係ないからここではくわしく触れられないけど、お金は人生を送るにあたって絶対に付き合わないといけないものだから、投資について一度よく勉強してみてくださいね」

というような感じでアドバイスをお伝えしましたが、彼がその後、マネーコラムを読むなど、実のある勉強していることを願ってやみません。

子どものうちに身に付けたいお金の知識・経験

前記の例は極端なものとしても、キャリアコンサルタント兼ファイナンシャル・プランナーとして活動している筆者からすれば、若い方は社会に出る前、学生のうちに以下のような知識と経験を身につけていただきたいと思っています。

やや専門的な部分もありますが、これらについて「ざっくりとした理解」をできたうえで社会人となる方と、そうでない方の間には、長い時間をかけて金銭面で大きな開きができてしまうことになるでしょう。

・「お金」に関する多様な経験(動詞で表現できること)

・税金・社会保障費の仕組みと税率・天引き率(給与明細の読みとり方)

・株式・債券に関する超・基本的な仕組み

・「投資」と「投機」の違い

・「長期・分散投資」の効果と重要性

・自分の「人的資本」の認識と、その価値向上について

これらの中でも特に重要だと思うのは「お金」に関する多様な経験です。

特にお金を「稼ぐ」・「儲ける」経験を全くしないまま、社会人となってしまうことは非常に危険であると考えています。

子どもがまだ小さい場合、すぐにお金を「稼ぐ」「儲ける」ことを体験することは困難ですので、子どもが『「お金」については色々なとらえ方・使用方法があり、注意すべきことが多いのだ』と、ぼんやりと理解できるよう、筆者は以下のようなゲームを考案しました。

「マネーリテラシー向上ゲーム」のやり方

必要人数:2名以上
※3名以上参加者がいる場合は、1名は「審判」とする。
※参加人数が多い場合は、1チーム4名程度の小グループに分けて、対抗戦にしてもよい。

用意するもの:ゲーム参加人数分の白紙と筆記用具、制限時間を計れる器具1つ

目標:「お金△(助詞)、○○(動詞または形容詞)。」という文章をたくさん完成させる。

例文

「お金『を』『使う』」(動詞)
「お金『が』『欲しい』」(形容詞)
「お金『は』『役立つ』」(動詞)
など

1.じゃんけんで「親」を決める

2.「親」から文章を手元の紙に書いて発表する。

※書いて発表するまでの制限時間は30秒とし、審判が時間を測定する。(制限時間は変更可能)

3.「審判」が文章として成り立っているか、既に発表された文章ではないかを判定する。

※2名で行う際は、文章を書かなかった人が「審判」役となる。

4.「セーフ」ならば、文章を作った人の左隣の人が2.を行い、2~4を繰り返す「アウト」ならば、文章を作った人は制限時間内に再度文章を作り、発表する。

5.制限時間を過ぎてしまった参加者が出た時点でゲームセット。

6.ゲームセット後は、反省会を行う。

いくつ文章を作れたか、新たに思いついた文章はないか、お気に入りの文章はあったか、などを話し合う。

※ゲーム内で出た「名文」や「珍解答」に賞を与えるなどしてもよい。

7.後日、ゲーム内で作った「文章」から一つ選び、実際に経験することができると、さらに理解が深まる。

このゲームは、「人生において深く理解することが重要な、ある「名詞」について、多角的な視点を手に入れる」ことができるようにすることを目的にしています。

たとえば今回のゲームで使用した「お金」という名詞を、「お仕事」、「ルール」などに変えてみることも面白いでしょう。もちろん、国語力・語彙力の向上にも役立ちます。

このようにゲームなどを取り入れて、家庭内でお金についてオープンにコミュニケーションを図ることは、お金に対するポジティブな感性や価値観形成を促し、将来の子どものお金に対する向き合い方に良い影響を与えます。ぜひ、ご家族での晩御飯の後のひと時などに活用して頂ければ幸いです。

【執筆者プロフィール】 山田 圭佑(KYお金と仕事の相談所 所長)

キッズ・マネー・ステーション認定講師、国家資格キャリアコンサルタント、ファイナシャルプンナー技能士2級・AFP、琉球古典音楽 野村流伝統音楽協会 歌三線 師範、八重山古典民謡保存会 歌三線 教師

東京都出身。大学入学と同時に沖縄県へ移住。大学卒業後、沖縄県庁にて18年間奉職した後にキャリアチェンジ。現在は若年者に向けて就職支援サービスを行う企業のサラリーマンとして勤務するかたわら、フリーランスのキャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・歌三線師範として幅広く活動。2022年7月に「KYお金と仕事の相談所」を開設。所長を務めている。

(ハピママ*/ キッズ・マネー・ステーション)

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