超大作ラッシュに沸いた2023!2024年以降は作家性の時代…かも!?【年末年始企画】

「バイオハザード RE:4」に「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」、「ストリートファイター6」に「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」…と、超大作ゲームが立て続けに発売された2023年。ただその一方で、2024年以降のゲーム業界に変化をもたらすような動きも生まれていた。そこでこの記事では、年末年始を記念して、これからのゲーム業界を占う上で重要な、2023年の出来事について取り上げたい…!

■ゲームエンジンを取り巻く環境が変化!Unityの価格改定

現在のゲーム開発は、「ゲームエンジン」という開発用ツールを使うことで行われている。多くの現場で使われているのが、「Unity」と「Unreal Engine」。ただ2023年9月、この状況に変化をもたらす出来事が起きた。

その出来事とは、「Unity」の価格改定。それまで「Unity」の価格は、プランごとに価格は変わるが、基本的に年間利用料というかたちだった。しかし新たな価格体系では、年間利用料に加え、「Unity」で開発したゲームがダウンロードされるごとに利用料が発生するというかたち。この価格体系、ゲームが有料の場合にはそこまで大きな問題にならない。しかしゲームが無料の場合、収益より「Unity」利用料の方が大きくなり、赤字に陥るケースが出てきてしまう。このため、インディーゲームデベロッパーを中心に反対の動きが起こり、ダウンロードに対して利用料を課すという形態は改められた。この反対の動きの中で、「Unity」から他のゲームエンジンへ移行するデベロッパーも登場。これまで「Unity」「Unreal Engine」の二強だった状況に変化が生じ、「ゲームエンジン」の選択肢が増えた格好だ。また「ゲームエンジン」の価格体系に対して、どのラインまでなら許容できるかという価値観が共有されたので、個人や中小のデベロッパーでも安心してゲーム開発に取り組めるようになったように思う。

■生成型AIが大幅進化!ゲーム開発がより手軽に

生成AIが大幅に進化したことも、2023年の大きな話題のひとつ。中でもとりわけ大きな注目を集めたのが、「ChatGPT」だろう。「生成AIによって、なくなる仕事が出てくるのではないか?」だとか、「生成AIをどう活用すればいいか?」だとかいったかたちでゲーム業界に限らず話題となった。ただゲーム業界に関して言えば、既に現在進行形で実用化が進んでいる状況だ。

中でも注目は、プログラム入力を支援してくれる「GitHub Copilot」だろう。この生成AIは、自分がプログラミングしたい機能を伝えれば、実際にプログラムを書いてくれるというもの。「プログラミングしたい機能」と書いた通り、ゲーム全体のプログラムを書いてもらうということはさすがにできないが、とはいえ開発効率が大幅に向上することは間違いない。また、機能レベルではあっても、プログラムを得意分野としていないクリエイターにとっては確実に有用な機能だろう。

■2024年以降は作家性の時代が来る!?

「Unity」の価格改定をめぐる一連の出来事や、生成型AIの登場によって、確実にゲーム開発の敷居は下がっている。このため、今後はさらにインディーゲームの数が増えていくことだろう。とはいえ、プレイヤー側が遊べる本数には限りがある。となると、個性が際立つ作品…いわゆる作家性の強い作品が、より注目を集めるかたちになるのではないだろうか?ちなみに筆者が今年注目した「作家性の強い作品」は、「違う冬のぼくら」と「underground blossom」だった。

「違う冬のぼくら」は、「ひとりぼっち惑星」で知られるインディゲームクリエイター・ところにょり氏による作品。2人同時プレイ専用という珍しいアクションゲームで、懐かしさと寂しさを感じさせる世界観が強烈な魅力を放っている。

「Underground Blossom」は、ゲームシステムこそオーソドックスな脱出ゲームだが、ダークでミステリアスな世界観が特徴的。デベロッパー名と同じ「Rusty Lake」という湖を巡って作品をシリーズ化しており、世界観に込められた真相を知りたくてついつい他作品もプレイしてしまう。いずれもプレイする価値のある作品なので、興味を持った人は是非、プレイしてみてほしい。

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