大同特殊鋼の巨大工場へ潜入 暮らしに欠かせない特殊鋼づくりを支える、2人の社員に密着!

大同特殊鋼で行われている灼熱の特殊鋼づくり

国内外に70社以上のグループ会社を持ち、総勢1万2000人以上が働く大同特殊鋼。特殊鋼の専業メーカーとしては世界最大級の企業です。日常生活からクルマづくりといった産業まで、私たちの暮らしに欠かせない特殊鋼づくりの現場には、プロフェッショナルな人の姿がありました。知多工場と星崎工場でそれぞれ輝く、大同特殊鋼の2人の社員に密着します。

鉄スクラップを再利用! 生活に欠かせない特殊鋼とは

鉄スクラップの再利用から始まる特殊鋼づくり

大同特殊鋼の知多工場で見つけたのは山のような鉄スクラップ。実はこの鉄スクラップから特殊鋼は作られるのです。特殊鋼とは、鉄と様々な金属などをかけ合わせて作られる、特別な性質をもった鋼のこと。一見、聞き慣れない特殊鋼ですが、実は生活のいたるところで使われているのをご存知でしょうか?

生活に身近なステンレスも特殊鋼

普段、家庭で使っている包丁やスプーンに使われているステンレスもサビに強いという性質をもった特殊鋼です。それ以外にも、車のエンジンには熱に強い特殊鋼や、バネの機構にはしなやかさをもった特殊鋼が使われています。特殊鋼にはいろいろな種類があり、純粋な鉄でまかなうことが難しい場所に使われているのです。大同特殊鋼の知多工場は、そんな特殊鋼の生産能力が年間180万トンという愛知県が世界に誇る巨大工場となっています。

1人目は灼熱の現場を支える川崎さん

特殊鋼づくりの大事な現場を見守る、心強い川崎さん

それでは本題へ。1人目は入社23年目の川崎昌二さん。川崎さんが行っているのは、先ほど見た大量のスクラップをドロドロに溶かしていく工程なのですが、それは想像を絶する灼熱の作業。鉄スクラップを入れる溶解炉へ、川崎さんが近づいてチェックします。OKの合図を出すと、まるでSF映画の宇宙船のような巨大な釜がゆっくりとやってきました。

巨大な釜に入れられた鉄スクラップは溶解炉の中へ

釜の中に入っているのは重量150トンにもなる鉄スクラップ。釜から溶解炉に入れられた鉄スクラップは、鳴り響く人口の雷とともに、1600度を超える温度でドロドロに溶かされていきます。その後の溶けた鋼を取り出す工程にも川崎さんの作業が欠かせません。川崎さんは、灼熱の現場を支える重要な役割を担っているのですね!

人の手が欠かせない特殊鋼づくり

溶けた銅はその後、工場内の別の施設で棒状や線状などへ固められ、顧客のニーズに合った特殊鋼へと生まれ変わっていきます。

大同特殊鋼は、木曽川水系の電力の活用を目的として、福沢桃介が1916年に創業しました。100年以上も前から、工場や建設現場から出るスクラップを利用し特殊鋼を作る、という現代のSDGsにつながる取り組みを行ってきたとも言えるでしょう。

2人目は若手のホープを輩出する伊神力さん

星崎工場の中には大同特殊鋼技術学園が

続いて星崎工場に向かいます。なんと、会社の中に社員のための学園があるのです! 大同特殊鋼技術学園の生徒は、全員高校卒業したての新入社員。工場勤務に必要な技術と知識を約1年間かけて学ぶ場所となっています。

仕事に生かす知識と技術を一生懸命学ぶ生徒たち

しかも生徒は全員、会社の寮から通っているのだとか。給料をもらいながらしっかりと知識と技術を身につけることができ、高卒の社員には、とっても待遇の良い職場となっています。そして国家資格や社内資格も含め、約1年間で最大14種類の資格を取得できるのも魅力です。

研究の最前線にいた伊神力さんが教鞭に立つ

新入社員の教育を行っているのが、伊神力さん。星崎の技術研究に15年間携わり、その後、学園の講師に。7年間で約700人の生徒を教えてきました。伊神さんが一番大事にしていることが、手作業について教えること。自動化が進んでいる工場の現場でも、しっかりと理論がわかる社員でいてほしい。その思いを大事にしています。

親友なのが伝わってくる膝の距離

2人の生徒は、あえて別の工場への配属希望を出したそう。その理由を聞いてみたところ、同じ工場だと3直2交代というシフトのスタイルのため、休日に一緒に遊ぶ時間をとるのが難しいからとのこと。微笑ましい理由でした。伊神さんの教え子は、今は会社の立派な中堅社員に。伊神さんは、次世代の若手のホープを育てる教育者として輝いていました。

現場の最前線で活躍する川崎さんと、教育という観点で現場をサポートする伊神さん。お2人とも大同特殊鋼に欠かせない会社の星ですね。

※川崎昌二さんの崎はたつさき

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