美観地区に滞在型観光の新拠点 旅館くらしき、一棟貸し宿を企画

1日1組限定の「Omoya」のリビング

 倉敷市美観地区にある築約110年の古民家を改修した一棟貸しの宿「RYOKAN KURASHIKI+Residence」が同市本町にオープンした。伝統家屋の趣を残しつつ、快適に過ごせるよう機能面も充実。滞在型観光の新拠点として、国内外の観光客を呼び込む。

 企画したのは、同地区を代表する宿泊施設「旅館くらしき」(同所)。白壁の家並みが続く本町通り沿いに立つ風呂おけ職人の自宅兼工房を購入し、リノベーションを施した。

 木造2階延べ80.7平方メートルの「Omoya」(定員4人)、隣接する同37平方メートルの「Hanare」(同2人)の2棟。いずれも1階にリビングやキッチン、風呂、2階に寝室を備え、1日1組のみ受け入れる。

 ともにリビングは吹き抜けで、開放感を演出。浴槽はコウヤマキを採用し、木のぬくもりを感じられる空間に仕上げている。古い梁(はり)を残す一方、フローリングに床暖房を入れるなど住みやすさにもこだわった。

 同旅館は、江戸末期に建造された砂糖問屋を継承。美観地区のほぼ中心に位置し、伝統的な景観を引き立てている。昔ながらの日本の暮らしをより気軽に体感してもらおうと、初めて一棟貸しの宿を企画。約4カ月の改修工事を経て、11月中旬に完成した。

 12月22日から宿泊の受け入れを開始。周辺の飲食店の利用を促すため、食事提供しない素泊まりのみとする。同旅館の女将(おかみ)・中村律子さんは「宿泊客に地区の飲食店などを訪ねてもらうことで、一帯の活性化につなげたい」と話している。

古い梁を残した「Omoya」の寝室

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