伊藤蘭は “ブギウギ” の母【第74回NHK紅白歌合戦】キャンディーズ以来46年ぶりの出場  本日放送!第74回紅白歌合戦、伊藤蘭はキャンディーズメドレーで出場!

朝ドラ「ブギウギ」ヒロインの趣里と、奇跡の歌手復帰を遂げた伊藤蘭

戦前から活躍し、戦後は「東京ブギウギ」をヒットさせて大人気を博した "ブギの女王" こと笠置シヅ子。かの美空ひばりの誕生を促した歌手でもある彼女をモデルにしたNHKの朝ドラ『ブギウギ』のヒロインが趣里に決まった時には、なんて絶妙なキャスティングなんだろうと感嘆した。心配された関西弁も(少なくとも関東の人間が聞いた範囲では)不自然さがないし、なにより歌が素晴らしい。無類のキャンディーズファンとしてはどうしたって贔屓目になってしまうのは否めないが、もっと客観的に見ているであろう周りの反応も概ね好評のようなので安堵している。

言うまでもなく、趣里は俳優・水谷豊と伊藤蘭の一人娘。ところが嬉しいことに最近では伊藤蘭を再び歌手の肩書きで呼ばなければならない状況になっている。2019年に奇跡の歌手復帰を遂げてから、アルバム3枚をリリース、コンサートも度々開催されるなど、ソロシンガーとして精力的な活動を展開しているのだ。2023年は7月にアルバム『LEVEL 9.9』(レベル・ナイン・ポイント・ナイン)をリリースし、9月に初の東京国際フォーラムホールAでのコンサートを開催したほか全国4都市でも公演。10月の日比谷野外大音楽堂での特別追加公演には、奥田民生とトータス松本がゲスト参加している。日比谷野音は、かつてキャンディーズが電撃引退宣言をした、ファンにとっての聖地であり、ソロでは2021年以来2度目の公演地となった。

伊藤蘭が紅白で歌う「キャンディーズ50周年 紅白スペシャルメドレー」

そして11月、大晦日の『第74回NHK紅白歌合戦』の出場者が発表されると、なんとそこには "伊藤蘭" の名前があった。キャンディーズ時代には1975年から77年にかけて3回出場していたが、以来46年ぶりとなりソロでは初めて。個人的には間違いなく今年の紅白の目玉である。当日はいったいどの曲が歌われるのだろう。2020年に配信限定でシングルリリースされ、コンサートでも毎回必ず歌われる「恋するリボルバー」か、あるいは最新アルバム『LEVEL 9.9』からか。だとすれば、アナログ7インチがリリースされたシティポップナンバー「Shibuya Sta. Drivin' Night」か。NHKも渋谷だし…。それともここはやはり万人が待ち望むキャンディーズのナンバーなのだろうか。

あれこれ考えていたら、12月22日に出場歌手の曲目が発表され、伊藤蘭は「キャンディーズ50周年 紅白スペシャルメドレー」との報がもたらされた。そう、2023年はキャンディーズが1973年に「あなたに夢中」でデビューしてから50年となるメモリアルイヤーでもあった。去年や一昨年出場していても不思議ではなかったランちゃんをここまで引っ張って満を持したNHKの演出は実に心憎い。昭和の時代とはすっかり顔ぶれが変わってしまった紅白歌合戦だが、あの頃キャンディーズとステージを共にしていた郷ひろみや石川さゆりが健在なのは心強いことだろう。

キャンディーズとして出場した3度のステージで歌われた「年下の男の子」「春一番」「やさしい悪魔」もメドレーの要素になりそう。メインライターの穂口雄右をはじめ、作曲では森田公一、すぎやまこういち、三木たかし、佐瀬寿一、吉田拓郎ら、作詞では山上路夫、安井かずみ、なかにし礼、千家和也、喜多條忠ら、錚々たる面々が紡ぎあげていたキャンディーズの歌世界を伊藤蘭は1人で見事に再現して、これまでのコンサートで毎回観客を沸かせてきた。そのパフォーマンスは回を増す毎にレベルアップし、隔てた時の流れを埋めて往時の輝きを失っていない。紅白でも必ずや最高のメドレーを見せてくれるはずだ。

果たして夢の母娘共演は見られるか?

そうなると、さらなる興味は、現在NHKで放送中の朝ドラ『ブギウギ』の扱いである。どんな形であれ、趣里のステージ参加は決して不自然ではない。テレビ70年でもある今年は、「テレビが届けた名曲たち」という特別企画のパートが設けられるそうなので、その締めくくりとしてサプライズで『ブギウギ』チームが登場して、主題歌「ハッピー☆ブギ」を中納良恵・さかいゆう・趣里で披露するなどというイキな計らいはないものか。『あまちゃん』の時のように。自分が総合演出だったら絶対そうするのだが。果たして夢の母娘共演は見られるであろうか…。

ーー と、ここまで書いたところで、スケジュールの調整がつかず、惜しくも母娘共演はならずというニュースが入ってきてしまった。誠に残念だが、その機会はまた来年以降に期待するとしよう。2024年は、歌手・伊藤蘭、俳優・趣里、ともにさらなる活躍を見せてくれるはずだ。

カタリベ: 鈴木啓之

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