「シャンシャンは素敵なお母さんになる」日本パンダ保護協会が太鼓判。ファンも一安心

17年に開催された里親ツアーでは、抱っこして一緒に写真が撮れていた。写真は斉さん。

「大丈夫。シャンシャンは素敵なお母さんになると思います」

日本パンダ保護協会事務局長の斉鳴さんが、パンダファンに向けて心強いコメントをくれた。臥龍中国パンダ保護研究センターの技術力は大変優れているという。

12月13日に『シャンシャンの中国だより』(朝日新聞出版)を発売した日本パンダ保護協会の事務局長・斉鳴さんに、パンダの繁殖活動について、そして、日本パンダ保護協会の里親制度についてなど、気になることを独占インタビュー。

日中友好30周年にあたる2002年に設立された日本パンダ保護協会は、人とパンダの「共存関係の構築」と「自然環境の保護」を目指すボランティア団体。事務局長の斉さんは、パンダの里親制度を通して、日本のパンダファンと中国へ行ったり、中国でのシャンシャンおよびほかのパンダや基地の様子を現地からのスタッフの情報をもとにSNSで発信したりしている。

ーーまずはパンダの魅力を教えてください。

もちろんかわいいし、中国のシンボルでもあり宝でもある存在なのですが、2002年に日本パンダ保護協会の事務局長になり、日本のパンダファンの方々に会って大変驚きました。パンダ愛がとても深くて大きなものだったからです。

私も小さいころから父親に動物園へ連れていってもらって、パンダを見て「かわいいな」とは思っていましたが、中国ではパンダが動物園にいるのが当たり前という感覚でした。日本に来て、日本人のパンダや動物に対する優しい心や温かな気持ちを知りました。

特にシャンシャンへの愛は特別ですよね。

ーー日本パンダ保護協会には里親制度があって、里親になると中国のパンダに会いにいけると聞きました。

はい、コロナ禍で行けなくなってから現在に至りますが、それまでは年に2回くらいのペースで会いに行っていましたね。その時も日本のファンの方々は、観光は一切せずに、『パンダだけを見たい』と主張されたりして、施設の人もびっくりしていました。

里親さんは世界各国にいらっしゃって、アメリカやオーストラリアの方々は観光もしますので、しないのは日本人だけ。

臥龍基地なんて昔は道路が整備されていなかったので、渋滞などすると最大で8時間もかかってしまうような遠い場所。それでも会いに行っていたんです。日本人はパンダ愛に溢れていますよね。

ーー里親ツアーはどんな内容なのでしょうか?

パンダは大体、3月か4月頃、交尾、妊娠して夏頃出産します。夏に生まれた子が公開されるのが半年後くらいですが、見られるのはガラス越しです。その頃、里親になったパンダに会いに行きます。コロナの前までは、施設の中で一緒に遊んだり、スタッフの説明の後は基本的に自由行動でしたが、今はパンダに近づいたり抱っこをすることもできないので、一頭だけパンダを外に出してもらって、里親さんたちが少し離れた所に座って一緒に写真を撮ったりしました。あとはパンダ団子を作ったり、竹を植えたり、飼育体験をしたりします。

コロナの前までは、2〜3月にパンダ幼稚園の入園の時期に合わせて会いに行っていました。昔は里親になった子を抱っこして一緒に参加していましたが、とてもかわいかったですね。かつては何十頭も入園していました。今は抱っこすることができないので入園式を見届ける感じです。残念ですね。

ーー中国でのパンダの楽しみ方を教えてください。

赤ちゃんパンダがとってもかわいいんです。ミルクの時間に行くと最高です。みんな並んで一生懸命ミルクを飲んでいて、強い子は隣の子のミルクまで飲みたがったりするから取り合いになっていたり。急いで飲み過ぎてあごからミルクを垂らしている子がいたりしてめちゃくちゃかわいいんです。あごのミルクを拭いてもらっているときの、無防備な感じもたまらないですよ(笑)。

ーー繁殖活動はどんな感じなのでしょうか?

臥龍研究センターの技術はとても優れていて、何年も続けて子供を産んでいるパンダもいるくらいです。だからシャンシャンも大丈夫だと思いますよ。

今年(2023年)1月に発情しているし、来年以降、素敵なお母さんになると思います。臥龍研究センターの繁殖方針としては、まずパンダを良く観察すること。

発情するか、その傾向はあるか、そして、個々のパンダの習性や生態もちゃんと調べます。

発情すると、雌パンダを真ん中の檻に入れて、その前後の檻に雄パンダを入れます。檻の上にはスタッフがいて、下の様子をしっかり見ています。

雌パンダがどちらの雄パンダと相性が良さそうか、パンダの行動及びスタッフの長年の経験で判断します。どちらともダメだったら違う雄パンダと入れ替えます。

どちらかと相性が良かったら、扉を開けて交尾させますが、交尾が終わったらすぐに檻に戻します。交尾後にケンカを始めてしまうケースもあるので注意が必要です。

もし、ケンカになってしまったら、檻の上にいるスタッフが長い棒で制御します。棒の先にはりんごがついていますが、ケンカが始まってしまったらりんごの効力はないかもしれません(笑)。

ーーシャンシャンに子供が生まれたら親子観覧はできるのでしょうか?

シャンシャンは母親のシンシンと1年半近く暮らしていましたが、中国ではもっと短くなるケースもあると思います。上野でシンシンママと仲良く過ごしていたように、シャンシャンと子供がほのぼのと幸せに生活しているところを見せてくれたらいいいですね。

シンシンとの愛情たっぷりの母娘生活だったように、シャンシャンと子供の暮らしもぜひ、見てみたいものだが、それは神のみぞ知るところ。まずはシャンシャンが素敵なパートナーと出会えるように祈るばかり。

© 株式会社光文社