“ながら”でお餅を食べるのは危険 小型ヒーター活用で血圧変動の緩和を 楽しい正月過ごすため医師からの一言

まもなく、楽しい「お正月」です。しかしながら我々、医療従事者にとっては、それほど喜ばしい季節でもありません。お正月で気を付けなければいけないのは、お餅の詰まりです。若年者でも、食べ物を喉につまらせてお亡くなりになることは時々あります。

詰まった餅を一般の方が取り出すことは容易でありません。背中を叩く、背後から胸部を抱きかかえるようにして、前胸部を圧迫するなどの方法がありますが、何より予防をすることが非常に大切です。

私も年をとるにつれて誤嚥(ごえん)の機会が増えてきました。お餅などを食べるときは、テレビを消して、他人と会話をせずに、食べることに意識を集中することが大切です。ながらの食事は通常の食事でも誤嚥の可能性が増えるので、気を付けてください。

また、最近はマスクの着用が減っているせいか、インフルエンザ、COVID-19、気管支炎などの感染症が増えてきている印象があります。マスクによる感染症の予防効果は色々と言われていますが、マスクの着用により感染症に対する予防意識が促され、うがい、手洗いなどを積極的にするようになり、感染症の防止に繋がっているのではないかと考えられます。

まだまだ、インフルエンザ、COVID-19の感染者も当院では多く見られます。マスク、うがい、手洗いは常に心掛けた方が賢明でしょう。あとは、命に関わる血管病変が増えてきます。脳卒中、心筋梗塞などです。暖かいところから寒い場所に移動するときは要注意です。

居酒屋さんは禁煙の所が多く、飲酒後、飲酒中の屋外での喫煙は両方の病気を惹起します。また、屋内であったとしても、トイレ、脱衣所、風呂場などにいくと排便、脱衣などにより急激に血圧が変動します。これらの血圧の変動を少しでも緩徐にするために、小型のヒーターの設置をお勧めしています。先ほども患者さんの隣人が浴室でお亡くなりになって3日後に発見されたという話を伺いました。楽しい年末、年始を過ごせるように皆さん注意しましょう。

◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。

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