阿智神社限定おみくじ「いろはうら」~ 神社参拝(初詣)が何倍も楽しくなる、仕掛けが盛りだくさんのおみくじで運試し

神社で引けるおみくじは、気軽に運試しができる日本の古き良き文化です。

100円~300円という手ごろな初穂料で引けるので、筆者も神社参拝に行くときは必ずおみくじで運勢を占っています。

とくに年始は、その年1年の運勢を占う人たちで境内も賑わいますよね。

倉敷の阿智神社では、いろはうらというオリジナルのおみくじが引けるそうです。

阿智神社限定のおみくじと聞き、「普通のおみくじとは何が違うんだろう?」と疑問に思った筆者は、早速阿智神社へ参拝に行ってきました。

運試しだけではない、たくさんの仕掛けが詰まった「いろはうら」を紹介します。

いろはうらについて

色とりどりのいろはうら

いろはうらは、2023年1月から阿智神社で頒布開始されたおみくじです。

阿智神社のかたから、いろはうらを制作したきっかけとその内容について教えてもらいました。

いろはうらの制作は、「神社参拝をより楽しく、そして観光で参拝されるかたの思い出となるようなおみくじを作ろう」という思いから始まったそうです。

いろはうらは「いろはうた」と「占(うらな)い」を組み合わせた名称です。

「あいうえお(五十音)」順の案もありましたが、若いひとにとっては新しく、ご年配のかたにとっては懐かしさを感じられるので、「いろはうた」が題材となりました。

いろはうたにちなんで、おみくじの数も48種類あります。

阿智神社では2023年12月現在、いろはうらを含めて3種類のおみくじを楽しめます。

  • いろはうら
  • とんぼ玉みくじ
  • 鳩みくじ

社務所の開所時間は午前9時から午後5時です。

いろはうらを引きに阿智神社へ

阿智神社はJR倉敷駅から約徒歩15分の場所にあります。
倉敷駅から美観地区へ向かう途中にある倉敷えびす通商店街を抜けると、阿智神社へ上がる階段が現れます。

段数は若干ありますが、倉敷エリアの街並みを楽しみつつ、息抜きしながら登れるので、お散歩にはちょうど良い運動です。

阿智神社へ向かう景色

境内に到着しました。まずは参拝をして、その後、右手にある社務所に向かいます。

阿智神社の社殿

いろはうらは、社務所の前に設置されていました。

社務所に置かれたいろはうら

早速引いてみましょう。

いろはうらの内容

木の箱を振って出てきた棒には、「き」と書かれていました。

「き」と書かれた木の棒

この平仮名を社務所の中にいるかたに伝えて、いろはうらを受け取ります。200円の初穂料もこのときにおさめます。

「き」には、どのような内容が書かれているのでしょうか。

いろはうら「き」の表面

まず、いろはうらの表面には、ひらがなの「き」と漢字の「伎」、そして「菊酒の挿絵」が書かれていました。

「伎」は万葉仮名になるらしく、「き」に漢字をあてるとこの文字になるのか、と新しい発見があります。

菊酒の挿絵は花札のようでかわいらしいです。

続いて裏面を見てみましょう。

いろはうら「き」の裏面

裏面にはおみくじらしく運勢が書かれていました。ですが、よく目にする「中吉」ではなく、「待中吉まちてちゅうすればきち)」という見たことのない運勢です。

阿智神社のかたに話を聞いたところ、運勢にもたくさんの種類があり、「吉」や「凶」などの字面だけで運勢を判断せずに、神様からの道しるべとしてしっかりと読み込んでもらうための工夫だそうです。

たしかに、普通のおみくじでは見たことのない運勢なので、隅から隅まで読みたくなります。

そしていろはうらの下部には、表面の挿絵に関する豆知識が書かれていました。

縁起の良い菊酒の話から、昔の女性たちの生活が垣間見えてきます。

いろはうらは全48種あるので、いろいろなパターンを読んでみたくなりますね。

ついついコレクションしたくなります。

全国でも珍しい48色の色紙

全48種のいろはうら。なんとその紙の色も48色のバリエーションがあります。

全種類異なる色紙で作られているおみくじは、全国的にみてもかなり珍しいそうです。

いろはうらのカラーバリエーション

今回、筆者の引いた「き」は、薄い黄色でした。

黄色の「き」でこの色なのか、はたまた菊の色からこの色になったのか……などいろいろな考察が浮かんできます。

お正月には臨時の結び処が設置され、色とりどりのいろはうらが一面に結ばれるそうです。新年に華やかな景色と出会えたら、素敵な1年のスタートをきれそうですね。

また、もうひとつ気になったのが紙の質感です。

いろはうらは、通常のおみくじとは違い、少し凹凸のある紙が使われています。和紙らしい質感で触り心地がとても良く、大切に持ち帰りたくなります。

いろはうらの楽しみかた

運試しだけでも読み応えのあるいろはうらですが、阿智神社のかたから新たな楽しみかたを教えてもらいました。

まずは挿絵探し

挿絵に描かれたモチーフが、阿智神社境内のいたるところにちりばめられているので、モチーフを探しながら境内散策ができます。

筆者も別の日に、この挿絵探しをやってみました。

いろはうら「ん」

この日に引いたのは「」。「ん」には口の閉じた狛犬が描かれています。

狛犬を鳥居付近で探してみると、早速見つかりました。

いろはうらと狛犬のツーショット

と、思ったのですが、阿智神社のかたに確認すると実は違っていて、随身門下にいる狛犬らしいです

ちなみに「ん」には万葉仮名ではなく神紋が描かれており、こちらも境内で発見しました。

いろはうらと神紋のツーショット

観察しながら境内をぐるりと回れるので、ひとりでじっくりと回るのも良いですし、誰かと話し合いながら探すのも面白そうです。普段は気にしないような箇所も見ようとするので、もしかすると新しい発見があるかもしれませんね。

また、家族や友人同士でいろはうらを引いて見比べるのも、かなり盛り上がるそうです。

ひらがなの組み合わせが「あち」や「おすし」といった単語になるかたや、万葉仮名の漢字が自分の名前と同じになるかたなど、文字だけでいろいろな話題が広がります。

筆者は「き」「ん」だったので、金運が上がれば良いな……と密かに願いました。

並べたいろはうら「き」「ん」

おわりに

さまざまな工夫が仕掛けられたいろはうらは、阿智神社の参拝をより身近に楽しめるおみくじでした。

筆者にとって神道や神社は日常的にあまり触れることのない分野ですが、万葉仮名や豆知識、めったに見ることのない運勢などを知ることができ、今までにない体験ができました。

豊富な種類があるので、思わず集めたくなります。

観光で参拝されたかたは、倉敷の思い出の品として引いてみるのもおすすめです。

引いたその場でももちろん楽しめますが、持ち帰ってからじっくり読み返すのもひと味違う面白さが味わえます。

引いて、見て、集めて楽しむいろはうら。

こだわりのたくさん詰まったいろはうらで、新年の運試しをしてみてはいかがでしょうか。

情報提供者:岩佐りつ子

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