プロ野球の審判員愛好家「元選手のセカンドキャリアに」元NPB選手審判の最年少は50歳、新加入を切望

プロ野球の審判員をこよなく愛するOver EAU(オーバーオー)さんが世界一の同人誌即売会コミックマーケット103(12月29・30日、東京ビッグサイト)にサークル参加し、新刊「プロ野球選手だった審判まとめ本」を頒布した。

2012年からNPB審判員の同人誌を出し、前回のコミケでは1980年代生まれの審判員に注目した「審判様々っ!! 2023」を新刊として頒布。これまで頒布本で審判員の構え、特徴、装具の身に付け方などを、イラストと簡潔なメモで紹介。敷田審判員の卍ポーズ、白井審判員の甲高いコールは有名だが、各審判員に多様な個性が存在していることに気付かされる。

今回のテーマを選んだことは「栁田昌夫審判員が今季限りで引退されるのがきっかけです。栁田さんはヤクルトから近鉄を経て審判員になりましたが、元NPBの選手だった審判員が随分少なくなったことに考えさせられました」と説明した。2023年シーズンに登録されたNPB審判員は53人だったが、NPB選手を経験者は9人。最年少が津川力審判員(元ヤクルト)の50歳だった。なお、1990年代生まれ以降の19人は全員がNPBアンパイアスクール出身。同育成機関の応募資格は高卒以上で、年齢の上限は定められていなかった。

「現役を終えたNPB選手のセカンドキャリアの一つに、審判があってもいいと思います。来季からはファームの球団が増えますし、アマ野球でも審判が不足していると聞きます。もっと多くの方に審判になってほしい」

元NPB選手では吉本文弘審判員(53、元横浜大洋・横浜)が登場した2017年6月9日のオリックス・中日戦(京セラドーム)が印象深いという。オリックス・マレーロが本塁打を放ったと思われたが、本塁を踏み忘れ三塁打になった。中日捕手・松井雅のアピールを受け、空過を見ていた一塁の吉本審判員がアウトを宣告した。

「あの時、松井選手はアピールの仕方が分からなくて、吉本審判員がベースを踏む動作を示したら、松井選手が地面を踏んで、やり直したのを覚えています。ほとんどの人が気にしないところをしっかり見ている審判員はすごいと思いました。素晴らしい職業ですし、もっと注目されてほしいです」

Over EAUさんは千葉県在住だが熱心な中日ファン。2年連続で最下位に沈んだチームについては「細川選手を使いたかったかもしれませんが、ポジションが重なっていない阿部選手を放出して、来季に向けて中田選手を獲得するというのが…個人的には不思議でした」とぼやき節。それでも「和田打撃コーチの大ファンなので、来季も応援します。頑張ってほしいです」と話していた。

◆NPB23年シーズンに在籍した、元NPB選手の審判員…秋村謙宏(57、元広島―日本ハム)、栁田昌夫(57、元ヤクルト―近鉄)、小林和公(56、元ヤクルト)、嶋田哲也(56、元阪神)、有隅昭二(55、元ヤクルト)、眞鍋勝已(55、元阪神)、名幸一明(55、元横浜大洋・横浜)、吉本文弘(53、元横浜大洋・横浜)、津川力(50、元ヤクルト)

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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