〔国内〕2023年の災害を振り返る

2023年を締めくくるにあたり、今年発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●1月
【自然災害】山形県鶴岡市で土砂崩れ 2人が行方不明 約10軒が倒壊
[被害]死者2人 負傷者2人 損壊家屋約10軒
2022年12月31日01:00頃、山形県鶴岡市西目で、通行人から「家屋が倒壊している」と警察に通報があった。現場では集落の裏手にある山が約100m以上にわたって崩れ、作業場など約10軒が倒壊していた。現場には住家が2軒あり、捜索の結果、2人が救出され病院へ搬送、2人が死亡した。土砂崩れを受け、鶴岡市は、西目地区の一部に避難指示を出した他、山形県も災害救助法の適用を決めた。土砂崩れの発生場所付近は土砂災害警戒区域に指定されていたが、発生当時、降雨や降雪が続いている状況ではなかった。その後の山形大学による調査で、現場付近では地山の風化が進み崩壊しやすい状態となっており、さらに降水や雪解けが重なって土砂崩れが発生した可能性があると指摘されている。
顕著な降雨がない状況での突然の土砂崩れは、2018年4月11日に大分県中津市耶馬渓町でも発生している。この土砂崩れでは、数千年前に発生した崩落の堆積土に地下水の水位が上昇して流れ込み、かつ堆積土が風化していた点が原因だった。

【自然災害】バックカントリースキーによる遭難 各地で相次ぐ
[被害]死者4人 行方不明者2人 負傷者2人
2023年1月、全国各地の山岳地でバックカントリースキーを行うスキーヤー、スノーボーダーの遭難が相次いだ。
1月8日、長野県白馬村の八方尾根スキー場周辺のバックカントリーでスノーボードをしていた男性2人が行方不明となった。捜索が続けられたものの13日に打ち切られ、現在も行方不明となっている。
1月13日14:20頃、北海道倶知安町の羊蹄山でバックカントリースキーを行っていた外国人グループ10人のうち女性1人が雪に埋まり死亡した。死亡した女性はグループからやや離れており、雪崩に巻き込まれたと見られている。当時の倶知安町の気温は平年の最高気温より10度高い8度で、後志地方には、なだれ注意報が発表されていた。
1月29日11:00頃、群馬県みなかみ町の谷川岳で、バックカントリーでスノーボードをしていた4人グループのうち男性1人が雪崩に巻き込まれた。約1時間後に意識不明の状態で救助され病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。
1月29日14:30頃、長野県小谷村の栂池高原スキー場の北側付近で雪崩が発生し、バックカントリースキーをしていた外国人の3グループ合わせて13人のうち4人が巻き込まれ、男性2人が死亡した。死亡した男性の1人は米国籍のフリースタイルスキー元世界選手権王者だった。雪崩発生当時、小谷村では積雪の上に更に降り積もった雪が滑り落ちる表層雪崩を警戒し、なだれ注意報が発表されていた。
1月30日17:40頃、 新潟県妙高市のスキー場の関係者が「妙高連峰でフィンランド人4人が遭難した」と駐在所に届け出た。その後、翌31日02:00過ぎに4人が自力で下山したところを保護された。4人にけがはなく、命に別状はなかった。
1月31日11:10頃、鳥取県大山町の大山で、バックカントリーでスノーボードをしていた男性3人が雪崩に巻き込まれ、うち2人が足や肩の骨を折るけがをした。当時、鳥取県内にはなだれ注意報が発表されていた。
1月31日18:05頃、長野県山ノ内町の焼額山で、バックカントリースキーをしていた外国人2人が遭難したと、2人の知人から警察に通報があった。その後通報した知人を通じて、翌2月1日02:50頃に2人が自力で下山したのが確認された。2人にけがはなかった。

【自然災害】強い寒気と冬型の気圧配置で大雪・暴風雪による被害相次ぐ
[被害]死者8人 負傷者271人 停電約2万7000軒 断水約1万4000軒
2023年1月24日から25日にかけて、日本付近は強い冬型の気圧配置となり、上空にはこの冬一番の強い寒気が流れ込んだ。この影響で、日本海側を中心に大雪や暴風雪となったほか、普段は雪の少ない西日本の太平洋側でも大雪となったところがあり、ライフラインや交通機関を中心に大きな被害が発生した。
このうち、ライフラインでは、低温によって水道管の破裂が相次いだことによる広域での断水やにごり水が発生する被害が目立った。特に石川県では、加賀地方北部や能登地方を中心に1万軒以上で断水となり、復旧までに数日を要するなど市民生活に大きな影響が生じた。
また、交通機関では、24日夜、京都市内を走行していたJR京都線と琵琶湖線の複数の列車が大雪に伴うポイント故障により、駅間で立往生し、翌25日明け方まで最大で約7000人が列車内に閉じ込められた。また、新名神高速道路では、三重・滋賀県境で多数の車が動けなくなる立往生が複数箇所で断続的に発生し、解消まで1日以上を要した。いずれも運転見合わせや通行止めの判断が遅れたことや乗客・ドライバーの救済に時間を要したことが問題視された。

●2月
【事故】愛媛県今治市の来島海峡で貨物船同士が衝突 1隻沈没
[被害]死者1人 行方不明1人
2023年2月2日19:35頃、愛媛県今治市の来島海峡で貨物船2隻が衝突した。衝突したのは三重県鳥羽市の「せいりゅう」(716トン)と愛媛県今治市の「幸栄丸」(499トン)で、「せいりゅう」は20:54頃に沈没した。この事故で「幸栄丸」の乗組員4人は全員無事だったが、「せいりゅう」の乗組員5人のうち、2人が行方不明となった。うち1人は6日の朝に海上保安庁救難隊の潜水士が沈没船内で発見。もう1人は依然として行方不明となっている。事故現場の来島海峡は潮の流れが速く、原則は右側通行の船舶航路が、時間帯によっては特別に左側通行に切り替わる特殊な海域。また1日に数百隻の船舶が行き交うため、海の難所としても知られ、過去にも事故は多く発生している。今回の事故は航路が切り替わる時間帯かつ、航路がクロスする来島海峡の西側で発生した。詳しい事故原因については、今後調査が行われる。

【事件】全国各地で強盗事件相次ぐ
[被害]死者1人 負傷者7人(2023年2月発生のみ)
昨年から全国で強盗事件が相次いでおり、今年2月にも各地の住宅や店舗などで被害が発生した。
2023年2月3日午後、福島県いわき市の住宅で、住民の女性が鈍器のようなもので殴られて死亡しているのが発見された。室内を物色された跡があったことから、強盗殺人事件として警察が捜査している。13日03:00頃には、群馬県伊勢崎市の住宅で、刃物を持った男に住民の男性が切り付けられ、現金やキャッシュカードを奪われた。また、16日13:30頃には、埼玉県川口市の川口並木郵便局で郵便局員2人が切り付けられ、うち1人は頭を切られ重傷。現金約5万円が奪われた。いずれの事件も、犯人は逮捕されていない。
他にも、兵庫県神戸市兵庫区の宝飾店で1人が負傷、東京都板橋区の会社事務所で1人が負傷、福島県南相馬市の住宅で2人が重軽傷を負うなど、現金や金品だけでなく人命に被害が及ぶ強盗事件が相次いだ。

【地震】北海道釧路沖を震源とする地震発生 最大5弱を観測
[被害]負傷者1人
2022年2月25日22:27頃、北海道釧路沖を震源とするM6.0の地震が発生し、北海道根室市・標津町で震度5弱の揺れを観測した。この地震で死者の発生や家屋の損壊はなかったが、1人が地震の揺れで転倒し、負傷した。また、今回の地震では2022年12月から運用が始まった「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の基準は満たさず、発表はなかった。

●3月
【事件】3月も全国で強盗事件相次ぐ
[被害]死者1人 負傷者6人(2023年3月発生のみ)
昨年から全国で強盗事件が相次ぐ中、先月に引き続き、2023年3月も各地の住宅や店舗などで被害が発生した。今月は、店舗に押し入って金品を要求した事件が多く、未遂となった事件も含めると6件発生した。
2023年3月13日23:30頃、福岡県北九州市門司区丸山吉野町のコンビニエンスストアで強盗未遂事件が発生した。この事件では、男がカッターナイフで店員を脅したところ、店員が大声を出し、男は逃走した。19日08:40頃には、東京都文京区湯島3丁目のマッサージ店で、従業員の女性2人が男に刃物を突き付けられ、現金などを奪われる強盗事件が発生した。従業員の女性2人は負傷し、犯人は刃物を持ったまま逃走したとみられている。
3月下旬にも連続して店舗に押し入る強盗事件が発生した。23日03:20頃には、東京都品川区中延の寿司店で、ナタを持った男に切り付けられた寿司店の店長1人が負傷。犯人は何も取らず逃走する強盗未遂事件が発生した。24日11:40過ぎには、大阪府大阪市平野区瓜破のブランド品買取店で、男が店長に刃物を突きつけ現金15万円を奪う事件が発生。同日14:30頃にも、東京都台東区上野の貴金属店で、2人組の目出し帽姿の男が押し入り、1人はバールのようなもので店員を脅し、もう1人がショーケースを割り高級腕時計を奪う事件が発生。27日16:20頃、東京都大田区蒲田のクリーニング店で、男が刃物を見せながら「金を出せ」と脅し、現金約5万円を奪った。いずれの事件でも、犯人は凶器を持ったまま逃走したとみられている。
店舗に押し入って金品を要求した強盗以外でも3件の強盗事件が発生した。
1件は車を停止させてからの犯行で、30日18:50頃、茨城県那珂市下江戸の路上で、2人組の男が車を停車させて運転していた男性を引き倒し、刃物で男性の足を刺した上で現金約1万円を奪う路上強盗が発生した。nまた、2件はホテルの客室や個人宅での犯行で、1件は16日14:30頃、福岡県福岡市博多区須崎町のホテルの客室で、女性が男に刃物を突き付けられ財布などを奪われる強盗事件が発生した。女性は負傷した。犯人は刃物を持ったまま逃走している。もう1件は21日09:30頃に発生。東京都豊島区東池袋のマンションに5人組の男が押し入り、室内にいた男女2人を縛り現金などを奪った。室内にいた男女のうち男性が負傷し、被害者の反撃を受けた犯人グループのうち1人が死亡した。犯人グループの残る4人は逃走している。

【事故】京都府の川下り船が舵とりを誤り転覆 乗員2人死亡
[被害]死者2人
2023年3月28日11:00頃、京都府亀岡市を流れる桂川(保津川)で観光船「保津川下り」の船舶1隻が転覆した。乗っていたのは乗客25人と船頭(乗員)4人のあわせて29人で、一時全員が川に投げ出された。乗客は全員救助され、いずれも軽症だった。船頭は4人のうち2人が救助され、1人が事故当日に発見、もう1人は事故発生2日後の30日に発見されたが、いずれも死亡が確認された。
事故はまず4人の船頭のうち最後方で舵をとっていた船頭が舵とりを誤り、バランスを崩して川に転落。その後、航路に戻そうとしたものの、まもなく岩に衝突し、船が転覆。全員が川に投げ出された。大半の人は事故現場からおよそ400メートル下流まで流され、救助された。
観光船の運航会社によると、事故当日の水位に異常はなく、船の定員は30人で定員以内で運航していたという。一方で、8年前から救助訓練を行っていなかったことや、またすぐ後ろの船には無線機がなかったために119番通報まで30分かかっていたことがこれまでにわかっている。今後、運航会社や国土交通省の運輸安全委員会が事故の詳細について調査を進める。
観光船は京都府亀岡市にある乗船場から京都府京都市右京区の観光地「嵐山」にある下船場まで約16キロメートルの川下りを行うもので、乗船時間は1時間半ほど。この観光船では8年前にも乗員が転落し1人死亡している。また、同様の川下りを行う観光船の事故では一昨年9月には長野県飯田市の天竜川、2011年8月には静岡県浜松市の天竜川でも死亡事故が発生している。

●4月
【事故】沖縄県宮古島沖で陸上自衛隊のヘリコプターが墜落
[被害]死者5人 行方不明者5人
2023年4月6日15:56頃、沖縄県宮古島市の宮古島と伊良部島の間の海上で、陸上自衛隊の第8飛行隊所属のヘリコプターが行方不明となった。事故当時、機体は空からの地形偵察のために宮古島周辺で飛行を行っており、同機には第8師団の幹部5名、第8飛行隊の隊員5名など計10人が搭乗していた。
海上での捜索では宮古島の沖合でヘリコプターの回転翼やヘルメットなどの部品が見つかり、その後海底に機体が沈んでいる可能性があるとして、16日から飽和潜水と呼ばれる特殊な潜水を行っての捜索がはじまった。この潜水による捜索で16日に海底で5人とヘリコプターの胴体とみられる部分を発見、18日までに5人全員の死亡が確認された。また、18日には1人が新たに発見されている。
事故を起こした機体は行方不明の2分前まで管制と通常の交信を行っており、緊急を知らせる信号もなかった。このことから、機体に急に大きなトラブルが発生し、緊急を知らせる信号の発信も難しかったとみられている。この事故に関連して陸上自衛隊は全国に配備している事故機と同じUH60JA型機の飛行について、災害派遣をのぞいて飛行を見合わせた。
事故当日に中国海軍のフリゲート艦が沖縄本島と宮古島の間にある海域を太平洋に向けて航行していたことや、南西諸島を管轄する第15旅団所属ではなく、第8師団のヘリコプターが事故にあったということがあり、中国軍の動きと事故に関係があるのではないかという見方も広がった。これに対し防衛省は、中国海軍の情報収集線の航行時刻と事故のあった時間は大きく異なることから、中国軍との関係を否定している。また今回の事故に関連する中国軍の動向は現在のところ確認されていないともしており、今後、事故原因の究明を進めることにしている。n陸上自衛隊第8飛行隊は熊本県益城町にある高遊原(たかゆうばる)分屯地を拠点に活動する航空部隊で、第8師団に所属する。第8師団は有事の際には南西諸島への展開も想定される「機動部隊」に位置づけられている。nn【安全保障】北朝鮮が弾道ミサイル発射 北海道周辺への落下の可能性でJアラート発令n2023年4月13日07:22頃、北朝鮮は首都の平壌近郊から弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。n発射後の分析で弾道ミサイルの一部が北海道周辺に落下することが予測されたことから、政府は07:55、Jアラート(全国瞬時警報システム)を発令、北海道を対象に直ちに建物の中や地下へ避難するよう呼びかけた。日本の領土・領海にミサイルが落下するとの予測に基づき、Jアラートで避難を呼びかける情報が発表されたのは今回が初めてであった。nなお、その後の分析を基に、政府はミサイルの北海道周辺への落下の可能性がなくなったことを公表、最終的にはEEZ(排他的経済水域)内への飛来も確認されず、日本周辺の船舶や航空機を含め被害の報告はなかった。しかし、避難の呼びかけられた北海道では、一時道内すべての鉄道路線で運転見合わせ、高速道路で通行止めとなったほか、学校の授業開始時間の繰り下げなどの影響があった。n今回のミサイル発射後の対応を巡っては、発射から避難を呼びかけるJアラートの発令まで30分以上を要したこと、Jアラートの発令時点でミサイルの落下予想時刻まで5分程度の時間しかなかったこと、落下の可能性がなくなったことについての情報提供の運用など様々な課題が指摘された。政府はJアラートでの情報提供のタイミングなどは、その時点での分析に基づいて適切に行われたと判断しているが、防衛省を中心に今回の事態を検証する考えを示している。nn【自然災害】小笠原諸島で地震の発生相次ぐn[被害]なしn2023年4月21日16:19、父島近海(北緯26.6度、東経142.1度)で地震が発生し、東京都小笠原村母島で震度4を観測した。当初地震の規模を示すマグニチュードは5.6と発表されたが、後に不明とされた。この地震で、母島では10秒ほどの横揺れがあったが、地震による被害は特に確認されなかった。n小笠原諸島付近では今年に入って地震が続いており、2023年1月16日13:49に小笠原諸島西方沖でM5.9、父島と母島で震度3を観測する地震が発生したのを皮切りに、3月31日19:54には父島近海で地震が発生し母島で震度3が、4月4日16:07にも父島近海でM5.1、母島で震度3を観測する地震が発生するなど、地震が続いていた。nnn●5月n【地震】能登半島沖を震源とするM6.5の地震 最大震度6強を石川県珠洲市で観測n[被害]死者1人 負傷者44人 全壊18軒 半壊15軒 一部損壊706軒n2023年5月5日14:42頃、石川県能登半島沖を震源とするM6.5の地震が発生し、石川県珠洲市で最大震度6強の揺れを観測した。この地震の後も、石川県能登地方では地震が相次ぎ、約7時間後の同日21:58頃には、同じく石川県能登半島沖を震源とするM5.9の地震が発生し、珠洲市で最大震度5強の揺れを観測した。n一連の地震で、転落や家具の下敷きになるなどして1人が死亡、44人が負傷し、700軒以上の住宅が被害を受けた。また、珠洲市では水管橋等の漏水による断水が一時発生した。nこの2回の地震のうち、14:42の地震では、2023年2月1日に緊急地震速報の発表基準へ追加された「長周期地震動」の緊急地震速報が初めて発表された。長周期地震動とは、周期の長いゆっくりとした大きな地震動のことで、珠洲市三崎町では長周期地震動の4段階ある階級のうち、上から2番目の「階級3」を観測した。n今回の震源域では、2020年12月頃から地震活動が活発になっており、2020年12月1日から2022年5月12日までに震度1以上の地震が409回発生している。文部科学省地震調査研究推進本部の地震調査委員会は、一連の地震活動について、地下にある流体(水)の移動が関与している可能性があるとしている。n気象庁は、石川県能登地方での地震活動は当面継続すると考えられるとして、家具の固定や転倒防止など強い揺れを伴う地震に注意するとともに、地震の震源域が海域にも拡大していることで、海底で規模の大きな地震が発生した場合の津波にも注意するよう呼びかけている。nn【地震】千葉県南部でM5.2の地震 最大震度5強を千葉県木更津市で観測n[被害]負傷者8人 一部損壊11軒n2023年5月11日04:16頃、千葉県南部(北緯35.2度、東経140.2度)、深さ40kmを震源とするマグニチュード5.2の地震が発生。千葉県木更津市で震度5強、君津市で震度5弱の揺れを観測した。n11日夕方までに千葉県で5人、神奈川県で3人の負傷者が確認されているほか、千葉県の住宅11軒が一部損壊した。神奈川県横浜市の一部地域で最大450戸の断水が発生し、首都圏各地のマンションやビルで、エレベーター約6000台が緊急停止した。鉄道ではJR東日本の内房線・久留里線・外房線などで一時運転を見合わせたほか、南関東の各線でダイヤが大きく乱れた。nn【地震】新島・神津島近海でM5.3の地震 最大震度5弱を東京都利島村で観測n[被害]人的・物的被害なしn2023年5月22日16:42頃、新島・神津島近海(北緯34.5度、東経139.2度)、深さ約10kmを震源とするマグニチュード5.3の地震が発生した。この地震で東京都利島村で震度5弱の揺れを観測した。nこの地震で物的・人的被害はなかったものの、鉄道では神奈川県内の一部路線でダイヤが乱れた。n伊豆諸島近海は地震が多い地域で、最大震度5弱を観測した22日も昼ごろから揺れを感じる地震が相次いだ。16:42頃発生の強い地震のあとにも、19:46頃にはマグニチュード5.1、最大震度4の地震を観測するなど、翌23日07:00までに最大震度1以上の地震を37回観測した。nn【事件】長野県中野市で住民や警察官4人が殺害されるn[被害]死者4人n2023年5月25日16:00過ぎ、長野県中野市で60代と70代の女性2人が30代の男に突然刃物で刺され、2人とも死亡した。さらに男は、110番通報で現場に駆け付けた40代と60代の警察官2人に対して、パトカーの窓ガラス越しに猟銃で2回発砲、さらに刃物でも襲撃し、警察官はいずれも死亡した。その後、犯人の男は現場近くにある自宅に立てこもった。n男が立てこもった当時、自宅内には母親とおばがいたが、翌26日00:10頃までに2人とも脱出し、警察によって保護された。そして26日04:30過ぎ、警察と親族の説得に応じた男が自宅外に出たところで身柄が確保された。n事件の動機として、男は刃物で刺した女性2人に対しては、孤独でいることについて悪口を言われていると思ったと話している。また警察官2人を襲撃した理由に対しては、警察官から射殺されると思ったと話しており、警察はさらなる動機の解明を進めている。n警察官を襲撃する際に使われた銃は「ハーフライフル銃」と呼ばれるもので、猟銃よりも命中精度が高い銃であり、なおかつ弾も「スラッグ弾」と呼ばれる大型の獣に対して使われるものであった。なお、男は長野県公安委員会から猟銃の所持の許可を受けており、複数の銃を所持していた。nnn●6月n【台風】台風2号と梅雨前線により大雨 6県で線状降水帯が発生 各地で大きな被害n[被害]死者6人 行方不明者2人 負傷者56人n2023年6月2日から4日にかけて、梅雨前線が日本付近に停滞。この前線に向かって、南海上から北上してきた台風2号周辺の暖かく湿った空気が流れ込み、梅雨前線の活動が活発になった。このため、沖縄や九州から関東地方を中心に大雨となり、高知県・和歌山県・奈良県・三重県・愛知県・静岡県で線状降水帯が発生した。降り始めからの雨量は東海地方で500mmを上回ったほか、四国・近畿・関東地方でも400mmを超え、平年の6月の月降水量の2倍を超えた地点があった。nこの大雨による土砂災害警戒情報が各地で発表され、和歌山県海草郡紀美野町や海南市、有田郡広川町で一時警戒レベル5の緊急安全確保が発令された。また、台風2号の影響を長く受けた沖縄県では特に風が強まり、南城市32.9m/s、うるま市32.7m/sなど、6月史上1位となる最大瞬間風速を観測。沖縄や九州から東北にかけての広い範囲で停電が発生し、和歌山県や岐阜県では一時断水も発生した。交通では東海道・山陽新幹線のダイヤが乱れ、高速道路が通行止めになった所もあった。nn【地震】浦河沖でM6.2・北海道千歳市などで最大震度5弱の地震、一部交通機関に影響n[被害]負傷者1人n2023年6月11日18:54頃、浦河沖を震源とするM6.2の地震が発生した。北海道千歳市・厚真町・浦河町で最大震度5弱の揺れを観測したほか、北海道から静岡県にかけて震度4~1の揺れが観測された。今回の地震は太平洋プレート内で発生したものであり、震源の深さが136kmと深く、揺れが観測された地域は広範囲となった。nこの地震で、北海道室蘭市で負傷者が確認されたが、このほかに人的・物的被害の情報はなかった。交通機関への影響としては、震度5弱の揺れを観測した千歳市にある新千歳空港では、滑走路の点検により一時航空機の離着陸を見合わせ、一部の便に遅れが出た。また、鉄道では室蘭本線や日高本線の一部区間で一時運転を見合わせた。nn【事故】北海道八雲町の国道で都市間高速バスとトラックの衝突事故、17人死傷n[被害]死者5人 負傷者12人n2023年6月18日12:00頃、北海道二海郡八雲町野田生の国道5号で、札幌から函館に向かっていた都市間高速バス「高速はこだて号」と養豚会社のトラックの衝突事故が発生した。この事故で、バスは右前方が大破して乗客3人と運転手が死亡し、乗客12人が重軽傷を負った。また、トラックは運転席の部分が激しく損傷し運転手が死亡したほか、輸送中だった食肉用の豚が道路上に投げ出された。nその後の警察の捜査などにより、トラックが対向車線にはみ出し減速しないままバスと衝突したとみられ、トラックの運転手の勤務実態など事故原因の特定が進められている。また、この事故を受けて、現場のセンターラインには「ランブルストリップス」と呼ばれる、溝を掘って音と振動でドライバーに注意を促す舗装の改良が決まった。nn【自然災害】山口県や九州地方を中心に記録的な大雨n[被害]死者1人 行方不明者2人 負傷者1人n2023年6月30日頃から7月2日にかけて、山口県から九州にかけて、活発化した梅雨前線の影響で記録的な大雨となった。この大雨で山口県と鹿児島県奄美地方で線状降水帯が発生した。n山口県では、下関市と美祢市で記録的短時間大雨情報が複数回発表され、山口市で川に流された車の中で1人が死亡、美祢市で道路で冠水した車の運転手1人が行方不明となった。また、美祢市では150軒以上の家屋が浸水し、上水道施設への浸水で断水が発生した。山口県内ではこのほか下関市でも浸水や上水道施設への被害による断水が発生した。鉄道の被害も大きく、美祢線で鉄橋が流出、山陰本線では鉄橋が傾くなどの被害が発生し、現在も運行再開の目処が立たない状況となっている。n九州地方では、大分県由布市で土砂崩れが発生し住民1人が行方不明となったほか、隣接する住宅の住民2人が一時孤立状態となったがこちらは救助された。また、福岡県岡垣町でも土砂崩れで住宅が倒壊し、住民1人が負傷した。この他、九州各地や愛媛県でも、冠水による被害や道路の陥没、土砂崩れなどが相次いだ。nnn●7月n【自然災害】6月末から梅雨末期の大雨 記録的な大雨で九州地方や山口県で甚大な被害n[被害]死者13人 行方不明者1人 負傷者15人n2023年6月末から日本付近に梅雨前線が停滞し、活動が活発になった。6月30日から九州地方を中心に記録的な雨量となった。7月1日未明には山口県で、2日未明には鹿児島県奄美地方で「線状降水帯」が発生。猛烈な雨が降り、警戒レベル5の「緊急安全確保」を一時的に発令した自治体もあった。7日以降は、九州から東北にかけての広い範囲で大雨が降った。特に、10日未明から九州北部地方で「線状降水帯」による猛烈な雨が降り、福岡県と大分県に一時大雨特別警報が発表された。福岡県添田町や久留米市では24時間降水量の期間最大値が400mmを上回り、観測史上1位を更新。福岡県久留米市や佐賀県唐津市では土石流が発生し、8人が死亡した。そのほかにも川に流されるなどしてあわせて13人が死亡し、1人が行方不明となった。nこの大雨で住宅全半壊177軒、床上浸水2102軒、床下浸水5179軒と家屋にも被害が出たほか、福岡県と大分県の一部地域で通信障害が起きるなど、ライフラインにも大きな影響を及ぼした。また、政府は被害状況を鑑み、7日までに山口県・島根県・佐賀県・大分県・福岡県の合計18の市町村に災害救助法を適用した。nn【自然災害】前線の影響により北陸・東北地方で断続的に大雨n[被害]死者2人 負傷者4人n2023年7月12日から16日にかけて、北陸地方・東北地方では前線の影響による記録的な大雨を観測した。北陸地方では、12日夜遅くから発達した雨雲が流れ込み、石川県と富山県では線状降水帯が発生したとして「顕著な大雨に関する気象情報」が発表された。13日朝までの24時間降水量は、石川県かほくで206.5mm、富山県秋ケ島で205.5mmなどを観測した。また、東北地方では14日から16日にかけて、北日本付近に停滞する前線の影響で秋田県を中心に記録的な大雨となり、秋田県の各地で72時間降水量が観測史上1位を更新した。nこれらの大雨により、各地で死傷者や河川の氾濫・土砂崩れ・浸水などの被害が発生した。富山県南砺市では土砂崩れが発生し男性1人が死亡。秋田県五城目町では車が水没し男性1人が死亡した。家屋への被害は東北地方で4800軒、北陸地方で1400軒近くの家屋が浸水した。ライフラインへの被害は、秋田市の病院では周囲の浸水のため救急外来などの受け入れを一時停止したほか、断水や交通障害等も多数発生した。こうした被害状況を鑑み、政府は15日までに青森県・秋田県・富山県の合計20の市町村に災害救助法を適用した。nnn●8月n【自然災害】台風6号が沖縄付近で迷走 7県で線状降水帯発生、期間内に1000mmを超える大雨が降ったところもn[被害]死者1人、負傷者92人n2023年7月28日にフィリピンの東で発生した台風6号は、沖縄付近の海上を東西に迷走した後、九州の西の海上を北上。8月11日未明に朝鮮半島で熱帯低気圧に変わるまで、およそ2週間にわたり日本列島に影響を及ぼした。n一時は「大型」で「非常に強い」勢力にまで発達し、台風が通過した沖縄県では猛烈な風が吹き、最大瞬間風速は那覇市で52.5m/s、南城市で50.6m/sを観測。また、台風周辺の発達した雨雲により沖縄、鹿児島、熊本、宮崎、大分、高知、愛媛の7県で線状降水帯が発生し、宮崎県美郷町では降り始めからの雨量が1000mmを超える大雨になった。沖縄、鹿児島、宮崎県内の6つの市町村に、一時警戒レベル5の緊急安全確保が発令された。nライフラインでは沖縄県で一時21万戸を超える大規模な停電が発生。NHKの報道によると、これは2018年9月に台風24号の影響で停電の戸数が25万戸を超えた時以来、過去10年で2番目に大きい規模だった。この停電に伴い、沖縄県内の34市町村に8月1日から災害救助法が適用された。nn【自然災害】台風7号が近畿縦断、東海道・山陽新幹線は3日間にわたり混乱が続くn[被害]負傷者66人n2023年8月8日に南鳥島近海で発生した台風7号は、一時非常に強い勢力にまで発達し、15日の明け方に和歌山県潮岬付近に上陸した。近畿地方を縦断した後に日本海を北上し、17日15:00に北海道の西の海上で温帯低気圧に変わった。15日朝には台風周辺の雨雲により鳥取県と岡山県で線状降水帯が発生し、鳥取市には同日16:40に大雨特別警報が発表されたほか、東日本や西日本の各地で平年の8月の月降水量の2倍を超える大雨となった。nこの台風の影響で、家屋の浸水や土砂崩れ、断水、通信障害などの被害が発生した。鳥取県では道路の崩落などにより鳥取市と八頭町、三朝町で合わせて853世帯、1814人が一時孤立した状態となったほか、京都府、兵庫県、鳥取県の7つの自治体に災害救助法が適用された。nまた、台風通過に伴い各地の交通にも大きな乱れが出た。台風が近畿地方を北上した15日は東海道・山陽新幹線(名古屋~岡山駅間)や関西地方を中心に計画運休が実施された。翌16日は計画運休はなかったものの、台風に流れ込む暖かく湿った空気の影響により静岡県で局地的な大雨が発生したため、東海道・山陽新幹線が一時運転を見合わせた。これにより深夜まで運行するなどダイヤが大幅に乱れ、お盆休みの帰省や行楽客の移動に大きな影響が出た。16日のダイヤ乱れの影響は17日まで続き、各駅で3日間にわたり大きな混乱が続いた。nn【事故】和歌山県沖の紀伊水道で貨物船同士が衝突 1人死亡 1人が行方不明n[被害]死者1人 行方不明者1人n2023年8月24日23:40頃、和歌山県美浜町の北西沖15kmの海上で、日本船籍の貨物船「いずみ丸」(499トン)と、リベリア船籍の貨物船「CONTSHIP UNO」(9940トン)が衝突、いずみ丸が転覆した。この事故で、いずみ丸の乗組員5人全員が海に投げ出され、うち3人はCONTSHIP UNOに救助されたが、操縦室にいた可能性の高い船長と一等航海士の男性2人が行方不明となった。CONTSHIP UNOの乗組員18人にけがはなかった。n27日には和歌山県有田市の沖ノ島で男性の遺体が発見され、行方不明となった2人のうち、60代の一等航海士と判明した。一方、50代の船長については第5管区海上保安本部などによる捜索が続けられたが、現在も行方不明となっている。転覆したいずみ丸は、その後沈没が確認された。また、26日から運輸安全委員会は船舶事故調査官を派遣し、CONTSHIP UNOの乗組員など関係者に対し聞き取りを行うなど、事故原因の調査を行っている。nnn●9月n【自然災害】台風13号が接近 関東・東北地方で記録的な大雨n[被害]死者3人 負傷者21人 建物被害約3800軒n2023年9月5日21:00、日本の南で台風13号が発生した。台風は日本の南海上を北上し、8日には東海道沖に接近した。8日午前には東京都伊豆諸島や静岡県などで非常に強い風が吹き、東京都三宅坪田で31.4m/s、静岡県石廊崎で31.1m/sの最大瞬間風速を観測した。その後、同日21:00、上陸する手前で熱帯低気圧に変わった。nこの台風の影響で、南から暖かく湿った空気が流れ込み、台風の中心から離れた地域で雨雲が発達して大雨となった。特に8日から9日にかけて、伊豆諸島、千葉県、茨城県、福島県を中心に猛烈な雨が降り、1時間雨量が東京都三宅坪田で123.5mm、千葉県大多喜で109.5mm、茨城県日立で93.0mmなど、観測史上1位の値を更新する記録的な大雨が各地で観測された。また、8日には伊豆諸島南部、千葉県、茨城県、福島県で線状降水帯が発生し、3県の7市町に一時、緊急安全確保(警戒レベル5)が発令された。nこの大雨の影響で、福島県、茨城県、千葉県では河川氾濫も発生、福島県を流れる前川では堤防が決壊した。土砂災害も各地で発生し、茨城県日立市では一時孤立する集落が発生した。千葉県では小湊鉄道といすみ鉄道の線路周辺で倒木や土砂崩れなどが発生したため、10月上旬時点でも一部区間で運行できない状況が続いている。nこの台風で、福島県と茨城県で3人が死亡、福島県と関東4県で21人が負傷した。また、住家約3800軒に浸水や損壊等の被害が発生した。nn【地震】トカラ列島近海で地震相次ぐ 5日間で最大震度1以上の地震発生が300回超n[被害]なしn2023年9月8日から12日にかけて、鹿児島県十島村のトカラ列島近海で最大震度1以上を観測する地震が332回発生した。このうち9月9日02:28にはM4.9、11日00:01にはM5.3の地震が発生し、悪石島で震度4を観測した。いずれの地震でも、直接の被害や津波発生のおそれは無かったが、村役場が防災無線で警戒を呼びかけた。政府の地震調査委員会は「今後1か月程度揺れが続く可能性がある」とし、気象庁は当分の間強い揺れを伴う地震への注意を呼びかけた。震度4を観測した悪石島では避難の準備が進められたが、住民からは続く揺れに対する不安を訴える声も出た。n13日以降地震の発生回数は減少したものの、その後も19日に小宝島で震度3を観測する地震が発生するなど断続的に発生した。nトカラ列島では今年の5月13日にも中之島で震度5弱を観測する地震が発生している。またトカラ列島周辺では、2021年4月と12月にも連続して地震が発生し、このうち4月にはM5.3の地震が2回発生しいずれも最大震度4の揺れを観測したほか、12月にはM6.1の地震が発生し悪石島で震度5強を観測していた。nn【システム障害】東京航空交通管制部の管制システムで障害 航空ダイヤに乱れn2023年9月29日11:40頃、埼玉県所沢市にある国土交通省の東京航空交通管制部で、管制システムに障害が発生し、12:20頃にシステムの復旧および飛行制限が解除されるまで約40分間にわたり各地の空港で離着陸が一時できない状態となった。n障害が発生した管制システムは「航空路管制処理システム」(TEPS)と呼ばれるもので、管制官が管轄空域の航空機を把握するため、飛行中の航空機の位置情報に加え便名、高度、機種名などの情報を文字で表示させるものとなっている。n今回の障害では、航空機の位置は表示されていたものの、便名や高度などの情報が表示されないといった不具合が発生した。東京航空交通管制部は東北地方から中国地方にかけての空域を管轄しており、この障害を受けて管轄空域に航空機が入らないよう飛行制限をかけるとともに、飛行中の航空機については機体同士の間隔をあけるなどの措置が取られた。nこの障害により、羽田空港や成田空港をはじめ東日本の空港を発着する便を中心に100便以上に30分以上、最大で1時間18分の遅れが出た。システム障害の原因については国土交通省が調査を進めている。nnn●10月n【自然災害】鳥島近海を震源とする地震で津波注意報発表n[被害]八丈島と神津島で複数の小型船が転覆n2023年10月2日から、伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震活動が続いていた中、5日11:00頃と9日05:25頃に発生した地震に伴い、気象庁から津波注意報が発表された。n5日はM6.5の地震を受けて伊豆諸島に津波注意報が発表され、八丈島の八重根で30cmの津波が観測された。一方、9日は地震の規模は不明だったものの、津波による潮位の変化が観測されたことから、津波注意報が伊豆諸島や小笠原諸島をはじめ、千葉県や高知県、宮崎県、鹿児島県の沿岸部に相次いで発表され、各地で10~60cmの津波を観測した。nいずれの津波とも人的被害はなかったものの、9日に発生した津波の際は、八丈島と神津島で複数の小型船が転覆する被害があった。また、千葉県の12市町村の一部地域、高知県の5市の沿岸部に避難指示が発令されたほか、千葉県内を走行するJR内房線、外房線の一部区間で一時運転を見合わせるなど、交通機関にも影響が出た。nなお、20日に鳥島の西方海上で軽石が浮遊しているのが発見されたことや気象庁や研究機関などによる津波の波形の分析などから、9日に発生した津波が火山活動によるものとの見方も出ている。nn【その他】全国の銀行間取引を担うシステムに障害発生n2023年10月10日08:30頃、「全国銀行データ通信システム」(通称:全銀システム)に不具合が発生した。このシステムは、国内にある金融機関の間で資金をやりとりする際に使用するもので、今回のシステム障害では大手都市銀行を含む11の金融機関に影響が発生した。影響は他の銀行への振込み遅れや取引の受付制限などで、翌11日中まで続いた。このうち、振込みが遅れた取引は、のべ500万件以上にもなった。n全銀システムは1973年4月に運用を開始したシステムで、現在は国内にあるほとんどの金融機関が参加しており、1営業日あたり10兆円以上の取引がこのシステムを介して行われている。今回のシステム障害は、10月7日から10月9日までに行われた中継コンピューターの更新作業により、取引の際に生じる手数料を管理するデータベースの一部が破損したために発生した。今後、全銀システムを運営する「全国銀行協会」および「全国銀行資金決済ネットワーク」はデータベースの破損原因のさらなる特定を進めていくこととしている。nn【事件】埼玉県戸田市と蕨市で発砲事件と立てこもり 容疑者自宅アパートへの放火もn[被害]負傷者2人 人質2人n2023年10月31日13:15頃、埼玉県戸田市本町の戸田中央総合病院で、男が病院外の道路から診察室に向け拳銃のようなもので発砲し、医師と患者の男性2人が負傷した。またこの15分ほど前には戸田市新曽のアパートから火災が発生し、3階建てアパートが全焼した。n発砲事件の約1時間後、隣接する蕨市の蕨郵便局に男が押し入り、職員の女性2人を人質に取り立てこもった。男はガソリン18Lや刃物2本、複数の銃弾を所持した上で特定の郵便局員の名を挙げて面会を要求した。人質が説得による解放や犯人の隙をついて脱出した後、22:20頃に警察が突入、逮捕された。n男は取り調べに対し、病院への不満や郵便局と交通事故を巡るトラブルがあり発砲や立てこもりを起こし、発砲前には自宅アパートへの放火も行ったと供述した。また、長年拳銃を所持し、暴力団とも関係していた。nnn●11月n【事故】静岡県伊豆の国市で祭りの山車が横転n[被害]死者1人 負傷者18人n2023年11月3日08:45頃、静岡県伊豆の国市田京で祭りの山車が横転し、山車に乗っていた人や周囲にいた人などが巻き込まれ、1人が死亡、18人が負傷した。山車には約10人が乗っており、周囲にも30~40人ほどの引き手を含め約60人が集まっていた。n事故当日は神社の秋祭りで、山車2台の引き廻しが行われていた。出発地点の公民館から神社に向かっていた1台が下り坂に差し掛かったところで止まれなくなり、蛇行しながら横転した。本来であれば、坂道の手前で止まってから前方で山車を引くロープを後方に回し、てこ棒を車体にかませるなどしてブレーキをかけつつ進むことになっていた。関係者の証言によると、減速の態勢を整える前に山車が下り始め、制御不能になったとみられている。nn【健康安全】全国各地で集団食中毒の発生相次ぐn[被害]死者2人 感染者115人n2023年10月から11月にかけて、全国各地で集団食中毒が相次いで発生した。n鹿児島県鹿屋市の保育施設では、10月23日に男児1名が腸管出血性大腸菌(O111)に感染したことが確認されて以降、これまでに無症状者を含めて1歳から65歳までの72人に感染が確認されている。保健所は感染源や経路を調べている。n11月15日、静岡県西伊豆町の特別養護老人ホームで、利用者と職員あわせて33人が腸管出血性大腸菌(O157)に感染したことが確認され、このうち2人が死亡した。県の調査によると、発症した全員が施設で出された給食を食べていたことから、この給食が原因の食中毒と断定し、調理業者に施設での営業禁止を命じている。n11月16日には、都内で11月11日、12日に開催されたイベントで販売されたマフィンを食べた人から、腹痛などの報告があったことが確認された。目黒区保健所によると、マフィンを食べた人から13日に「おなかが痛い」「納豆のような臭いがし、糸を引いていた」と連絡があり、15日に保健所が立ち入り検査を実施した。16日には厚生労働省が最も危険性が高い「クラス1」のリコール対象事案として公式サイトに公表した。このイベントでは約3千個のマフィンが販売されていた。n11月29日、茨城県大子町のりんご園で試食として提供されたりんごを食べた12人が腸管出血性大腸菌(O157)に感染したことが確認された。このうち3人が入院し、集中治療室で治療を受けている人もいた。このりんご園では16日から試食のりんごの提供をとりやめている。nn【事故】鹿児島県屋久島沖にアメリカ軍輸送機墜落n[被害]死者8人n2023年11月29日14:40頃、アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」(CV-22)が鹿児島県屋久島の東、約1kmの沖合に墜落した。事故機には8人が搭乗しており、事故当日には乗員1人が発見された。その後、海上保安庁やアメリカ軍、地元漁業者の捜索で、12月4日には機体の主要部分と乗員5人が発見された。また、6日までに乗員8人全員の死亡が認定された。これにより、アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」の事故としては最多の死者数となった。n事故を起こした機体は山口県の岩国基地から沖縄県の嘉手納基地へ向かう途中で、事故の5分ほど前に屋久島空港管理事務所に緊急着陸を要請する旨の連絡があった。現在、アメリカ軍が事故原因を調査しており、6日には機体の問題で事故が起こった可能性があるとして、全世界で運用しているアメリカ軍の「オスプレイ」の運用を停止した。n「オスプレイ」は飛行機のような速度や航続距離と共にヘリコプターと同じような垂直離着陸機能を持つ輸送機で、その複雑な構造から機体の安全性を不安視する声もある。国内では過去、2016年12月に沖縄県名護市の海岸にアメリカ軍普天間飛行場所属の「オスプレイ」が墜落し、乗員5人のうち2人が負傷する事故が発生していた。nnn●12月n【自然災害】フィリピン付近でM7.7 日本でも太平洋沿岸部や島嶼部などで津波観測n[被害]なし n2023年12月2日23:37、フィリピン付近を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生した。震源が海上で、地震の規模も大きかったことから日本への津波の到達が予想され、千葉県から沖縄県の宮古島・八重山地方にかけての太平洋沿岸部に津波注意報が発表された。n津波注意報は、2日23:56に千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、宮古島・八重山地方、3日03:19に奄美諸島・トカラ列島に対し発表され、43の自治体が避難情報を発令した。3日03:00頃から08:00頃にかけて、伊豆諸島の八丈島八重根で0.4m、千葉県の館山市布良や鹿児島県の南大隅町大泊などで0.2m、伊豆諸島の三宅島阿古や高知県の中土佐町久礼港などで0.1mの津波を観測した。人的被害や物的被害は報告されず、各地の注意報は3日09:00までに全て解除された。n気象庁が後日潮位データを解析したところ、解除後の10:21頃に愛知県田原市で0.2mの津波を観測していたことが判明した。気象庁は、津波注意報が解除されたあとも潮位が高まった状態がすぐに解消されないこともあるため、一時的に注意報の基準に達することもあるとしている。nn【自然災害】奈良県南部の国道で土砂崩れn[被害]死者1人 負傷者1人n2023年12月23日20:55頃、奈良県下北山村で土砂崩れが発生し、車が巻き込まれた旨の110番通報があった。現場に消防などが急行し、土砂崩れ発生から約7時間後の24日04:18頃には、軽乗用車から50代男性が救助された。nその後、男性の証言から複数台が巻き込まれた可能性があるとして、調査・捜索が継続され、赤外線カメラなどにより、少なくとも1台が巻き込まれたとみて捜索が続けられた。n26日午後には乗用車の一部が発見され、その後二次災害を防止する措置をとった上で捜索を再開。28日午前に車内から焼損した人骨の一部が発見された。現場では崩落後から白い煙が上がっており、乗用車が崩落の衝撃で燃えたものとみられる。n現場は国道169号線の池原貯水池の西側を走る区間で、今回の土砂崩れでは幅約20~30m、高さ約40mにわたり、約4000立方mの土砂が崩壊した。専門家は原因について、凍結と融解が繰り返し起きたことで岩盤の緩みが進行したことによるものという見解を示している。また、現場では5月にモルタルの剥落が発生しており、復旧工事を行う予定で、保護柵を設けて片側交互通行としていた。

© 株式会社レスキューナウ