〔海外〕2023年の災害を振り返る

2023年を締めくくるにあたり、今年発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●1月
【政変・政情不安】ブラジル首都の連邦議会などに前大統領の支持者が多数侵入、暴徒化
2023年1月8日15:00頃(日本時間1月9日03:00頃)、ブラジルの首都ブラジリアにある連邦議会や大統領府などにボルソナロ前大統領の支持者が侵入し破壊行為を行うなど暴徒化、多くの人が拘束された。
ブラジルでは、2022年10月の大統領選挙で元大統領のルラ氏が現職だったボルソナロ氏を破って大統領に返り咲き、2023年1月1日に就任した。しかし、選挙結果を不服とするボルソナロ前大統領の支持者は、選挙後も断続的に抗議デモを行っていた。
この日は、SNSなどでの呼びかけに応じた約4000人がデモに参加していたが、デモ隊は道路上のバリケードを突破し、連邦議会、大統領府、最高裁判所などの政府機関に相次いで侵入、窓ガラスを割ったり施設を破壊したりするなどして建物を一時占拠した。その後、治安部隊が催涙弾や放水車で制圧を図り、翌9日までに約2000人が拘束された。
この暴動の一因として、治安部隊や政府要人にボルソナロ前大統領の支持層がいたことで治安対策を怠ったことも挙げられ、この事件後、ルラ大統領は軍幹部などを相次いで解任し、事態の収拾にあたった。

【事故】ネパールでプロペラ機墜落n[被害]死者71人 行方不明1人n2023年1月15日11:00前(日本時間同日14:00過ぎ)、ネパールの首都カトマンズから西に200kmの位置にある都市ポカラへ向かっていたイエティ航空のプロペラ機が墜落した。事故当時、乗客乗員合わせて72名が搭乗していたが、事故当日に68名の死亡が確認された。その後ドローンなども用いた捜索により、17日までに71人の死亡が確認され、ネパールでの航空機事故としてはここ30年以内で最悪の規模となった。墜落現場はポカラの旧空港と開業したばかりの新空港の間にある渓谷で、事故当時、現場の天候は晴れだった。

【テロ】パキスタン北西部のモスクで自爆テロ 100人以上死亡か
[被害]死者101人 負傷者221人n2023年1月30日12:00頃(日本時間同日16:00頃)、パキスタン北西部ペシャワルのモスクで自爆テロが発生し、モスクの天井の一部が崩壊し、集まっていた人々が下敷きとなった。このテロで少なくとも死者100人、負傷者200人を超える被害となった。
現場は治安当局が置かれた周囲の警備が厳重な地区内部に位置する警察官が集まるモスクで、事故当時は正午の礼拝で400人程度の警察官が集まっていた。ペシャワルの警察署長は、実行犯は警察官を装って内部に侵入し、警察への報復を目的にテロを起こしたものと見解を示した。
このテロを巡っては、イスラム武装勢力TTP(パキスタンのタリバン運動)や過激派組織IS(イスラム国)が相次いで犯行声明を出した後に取り下げており、当局は慎重に捜査を進めている。ペシャワルでは、モスクなどへの自爆攻撃が繰り返し発生しており、2022年3月に発生したイスラム教シーア派のモスクを狙った自爆テロではISが犯行声明を出している。

●2月
【自然災害】トルコ・シリアでM7級の地震が相次いで発生n[被害]死者4万1000人以上 負傷者10万5000人以上 n2023年2月6日04:17頃(日本時間:同日10:17頃)、トルコ南東部のシリアとの国境付近を震源としたM7.8の地震が発生した。また、同日の13:24頃(日本時間:同日19:24頃)には、M7.5の地震が同じくトルコ南東部で発生した。一連の地震で、トルコと隣国のシリアで多くの建物が倒壊。15日までにトルコ側で3万5000人以上、シリア側でも5000人以上の死者が確認された。トルコでは建物の倒壊が多く、死者が増えたほか、100万人が家を失ったとみられている。nこれに対し、建築関連の基準法が十分に守られてこなかったことや、汚職による手抜き工事がトルコ国内から指摘されている。また、捜索・救助の初動に遅れがでたため、被害が拡大したという見方もある。トルコのエルドアン大統領は、初動の遅れを認め、建物の倒壊についても詳細な調査を行うとした。n一連の地震を受け、世界各国からさまざまな形の支援が発表された。日本からは海上保安庁や消防、警察など70名超が派遣され、現地で救助にあたったほか、2000万ドル以上の緊急人道支援を実施すると発表された。nn【安全保障】アメリカ・カナダ上空に不審な飛行物体の飛来相次ぐn2023年1月下旬から2月中旬にかけて、アメリカ・カナダ上空に気球などの不審な飛行物体の飛来が相次ぎ、アメリカ軍の戦闘機が飛行物体の撃墜を実施した。n・1月28日、不審な気球がアリューシャン列島の北のアメリカの防空識別圏に侵入したことがアメリカ国防総省によって確認された。気球はその後、アメリカ・カナダ両国の上空を東寄りに進んだ。この間に、アメリカ軍は気球の分析を進め、中国による操縦機能を有した偵察目的によるものとの分析を示した上で、気球がアメリカ本土から大西洋の領海上に到達した2月4日午後(日本時間同日早朝)、ミサイルを発射し気球を撃墜した。墜落した気球はアメリカ軍によって回収・分析が進められており、全長は60mに達する旅客機並みの大きさとみられている。nこの気球について、中国側は気象などを研究する民間の飛行船であり、悪天候のために本来の針路を外れてアメリカ・カナダ上空に迷い込んだものと説明し、撃墜したアメリカを強く非難した。n・2月9日夜、アメリカ・アラスカ州上空を正体未確認の飛行物体が飛行していることがアメリカ軍によって確認され、2月10日13:45(日本時間11日03:45)に飛行物体の撃墜が実施された。アメリカ政府によると、この飛行物体については、中国から飛来した気球とは異なり、操縦機能はなかったとみられている。n・2月11日、カナダの領空に未確認の飛行物体が侵入し、カナダ軍とアメリカ軍の戦闘機がスクランブル発進した。その後、カナダ北西部のユーコン準州上空でアメリカ軍の戦闘機によって飛行物体の撃墜が実施された。カナダ軍や警察によって機体の回収が行われているが、捜索範囲には積雪量の多い山岳地帯が含まれており、作業は難航した。n・2月12日朝、アメリカ・カナダの防衛組織が北米大陸上空で不審な飛行物体を検知し、両国の国境である五大湖の一つのヒューロン湖上空に接近した12日14:42(日本時間同日04:42)、アメリカ軍の戦闘機によって飛行物体の撃墜が実施された。この撃墜の際に、1発目のミサイルが物体に当たらずヒューロン湖に着弾したが、被害はなかったものとみられる。nなお、9日以降の3件の飛行物体について、アメリカ政府は商業目的や研究用の気球だった可能性もありうるとの見方を示しており、引き続きアメリカ・カナダ両政府によって機体の回収と分析が進められている。nn【事故】イタリア沖で移民船が難破 少なくとも63人死亡n[被害]死者63人以上n2023年2月26日04:40頃(日本時間同日12:40頃)、イタリア南部カラブリア州沖の海上で難破した移民船の乗客3名の遺体が同州の海岸で発見された。その後も死者の発見が相次ぎ、少なくとも63人に達したとみられる。この他、およそ80人が海岸に漂着するなどして救出された。難破した移民船は4日ほど前にトルコ西部のイズミルから悪天候の中で出航し、海上で岩に衝突し大破したとみられる。n乗客はおよそ150人から180人。アフガニスタンやイラン、シリアなど中東諸国を中心としたヨーロッパへの密入国を目的とした移民で、密航業者のあっせんで乗船したとみられている。nこの事故でイタリア当局は密航業者3人を逮捕した。イタリアのメローニ首相は密航業者を批判し、移民の出発地となる国への協力呼びかけや、EUに即時行動を呼びかける書簡を送り、移民対策を継続すると表明した。地中海では過去にも移民が犠牲者となる事故が複数回発生しており、移民が欧州を目指す際に密航船の目的地となっているイタリアは、その対応に苦慮している。nnn●3月n【事故】ギリシャで列車同士が正面衝突n[被害]死者57人 負傷者85人n2023年2月28日深夜、ギリシャ中部のラリサ付近で旅客列車と貨物列車が正面衝突した。脱線し、直後に火災も発生。少なくとも57人が死亡、85人が負傷した。旅客車両は首都アテネから北部のテッサロニキに向かっており、約350人が乗車していた。n事故の原因は人為的なミスとして事故現場付近の駅の駅長が逮捕されたが、市民や鉄道職員の労働組合からは政権が長年安全面に対する整備を怠ってきたと批判する声が上がり、全国で政権や鉄道会社に対する抗議デモが行われた。ギリシャでは鉄道網の老朽化が問題となっており、安全性に関わる技術の導入も進んでいないという。nn【自然災害】熱帯低気圧によりアフリカで大規模な被害 勢力維持過去最長の可能性もn[被害]死者570人以上n2023年2月6日、オーストラリアの北西の沖合いで発生した熱帯低気圧「フレディ」は、インド洋を西に横断し、2月下旬にはアフリカ大陸南東部に到達。21日にはマダガスカル、24日にはモザンビークに上陸した。その後、3月11日に2回目のモザンビーク上陸後、隣国のマラウイも襲った。熱帯低気圧による一連の大雨などで地域によっては6日間で6ヶ月分の降雨を観測。各地で土砂災害や洪水が相次ぎ、570人以上が死亡、被災者は50万人を超えた。WMO(世界気象機関)は、「フレディ」が熱帯低気圧として勢力を維持した期間が過去最長になった可能性があるとして、調査を行うと発表している。これまでの熱帯低気圧の最長期間記録は1994年に北アメリカで観測されたハリケーン「ジョン」の31日間。「フレディ」は定期的に熱帯低気圧の基準を下回る勢力になった可能性があることから、最長期間記録の確定には時間がかかる見込み。nn【自然災害】アメリカ各地で竜巻被害相次ぐn[被害]死者60人以上 負傷者数百人 停電90万軒以上n2023年3月下旬、アメリカでは南部や中西部を中心に竜巻の発生が相次ぎ、これまでに60人以上が死亡したほか、広い範囲で家屋損壊や停電などの被害が発生した。n3月24日夜、アメリカ南部で竜巻が相次いで発生し、少なくとも23人が死亡した。竜巻の報告はミシシッピ州とアラバマ州で20件以上あり、停電はテネシー州を含め最大で7万軒以上にのぼった。n3月31日から4月1日にかけて、アメリカ南部・中西部では広い範囲で荒天に見舞われ、竜巻が相次いで発生し、これまでに20人以上が死亡した。nこのうち、中西部イリノイ州では、200人以上がいたコンサート会場の屋根が崩落し、1人が死亡、約40人が負傷した。また、南部のテネシー州、アーカンソー州や中西部のインディアナ州でも竜巻が発生し、このうちアーカンソー州では5人が死亡、数百人が負傷した。停電は各州で一時90万軒以上で発生した。n例年、春のアメリカでは、メキシコ湾からの暖かく湿った空気とロッキー山脈からの冷たい空気が交わる中西部・南部で竜巻が発生しやすいが、今年はメキシコ湾の海面水温が記録的に高いことから、規模の大きい竜巻が発生したものとみられている。nnn●4月n【安全保障】中国軍が台湾周辺で軍事演習を実施n[被害]なしn2023年4月8日から10日にかけて、中国軍が台湾周辺で軍事演習を実施し、事実上の境界とされた台湾海峡の中間線や周辺空域の防空識別圏を超えて軍用機が台湾に接近するなど、緊張が走った。演習前の5日には、台湾の蔡英文総統が訪米し、アメリカ議会下院のマッカーシー議長と会談していた。今回の軍事演習は会談に対する中国の対抗措置と見られている。n中国軍は3日間に渡って台湾を取り囲む形で、軍艦が海上封鎖を行う演習を実施した。空母「山東」も参加し、沖縄県宮古島南方の太平洋上で艦載機を約120回発着させた。一部については日本のEEZ(排他的経済水域)内でも実施された。n演習期間後も、「山東」が台湾周辺の海域に留まるなど、台湾周辺での中国軍の活動を継続させた。また、アメリカ海軍の駆逐艦「ミリアス」も16日に台湾海峡を通過するなど、アメリカによる牽制の動きも見られた。nn【安全保障】スーダンで国軍と準軍事組織が軍事衝突 自衛隊による邦人の国外退避輸送も行われるn[被害]死者730人以上 負傷者数千人 n2023年4月15日夜、スーダンで国軍と準軍事組織RSF(Rapid Support Forces)が衝突。これを皮切りに首都ハルツームをはじめ、国内各地で激しい戦闘が連日行われた。nこれまでに両軍の間で何度も停戦合意が交わされているものの、いずれも期日を守られず戦闘行為が継続された。そのため民間人らの避難や人道支援などが進まないことが問題となっており、犠牲者には民間人も多く含まれている。5月30日時点で少なくとも730人が死亡、数千人が負傷したほか、避難者は100万人以上に上っている。nスーダンでは2019年4月に軍事クーデターが発生し、軍事政権が暫定統治している。RSFは2019年のクーデター前に独裁を続けていたバシル政権が構築し、2013年に発足したものだったが、その後国軍と手を組み、クーデターに加担していた。nクーデターの後、国内の民主派と共に民主化に向けた動きは進められていたものの、2021年10月に再びクーデターが発生し、民主派が排除された。その後は国連などの仲介で民政移行が進められていたが、国軍最高指令官とRSF司令官の対立や軍の再編にRSFが反発したことなどから、今回の軍事衝突が発生した。n今回の軍事衝突開始後、数日内にアメリカ、イギリス、フランスなど各国はスーダンにいる自国民の待避作戦を開始。日本も4月19日からスーダンにいる日本人について国外避難の準備を開始した。21日から約180人の自衛隊機と5機の輸送機などを順次ジブチへ派遣し、フランスや国際赤十字などと協力しながら、退避を希望している在留邦人とその家族の国外退避にあたった。首都ハルツームから陸路と空路を組み合わせた国外への輸送活動の結果、24日までに58人、28日までには65人をスーダン国外へと退避させた。n自衛隊機による在留邦人の輸送は2021年のアフガニスタンでの政権崩壊以来、6回目となった。nn【事件】ケニア南東部で多数のカルト教団信者が餓死 多数の遺体見つかるn[被害]死者90人以上 行方不明者200人以上n2023年4月15日、ケニア南東部の海岸沿いにある都市マリンディ近郊の森で、餓死したと見られる人の遺体が発見され、森の土地を所有するカルト教団指導者が逮捕された。その後、警察による捜索で、21日に集団墓地を発見。墓地の捜索をおこなったところ、27日までに30人以上が救出され、90人の死亡が確認された。捜査関係者によれば、遺体の大多数は子どもだとされる。また、ケニア赤十字によると250人以上の行方不明者の報告がよせられており、今後死者が増えることも予想される。n今回指導者が逮捕されたカルト教団は「グッドニュース・インターナショナル教会」と名乗り、2003年から活動していた。「飢えることによりイエス・キリストに会える」とかたり、信者を餓死させていたとされる。指導者は先月にも親が子ども2人を餓死させた事件で1度逮捕されており、釈放されたばかりであった。nケニア政府は今回の事件をうけ、今後カルト教団に対し取り締まりを行う方針を打ち出した。nn【事故】インドネシア西部スマトラ島沖でフェリー転覆 11人死亡n[被害]死者11人 行方不明者1人n2023年4月27日午後、インドネシア西部スマトラ島のテンビラハン発ビンタン島行きのフェリーが転覆し、乗員乗客74人のうち11人が死亡、1人が行方不明となった。残る62人は救出された。nフェリーは出港後、およそ3時間程度経過した頃に事故が発生した。インドネシア当局によると、漂流していた木材が船に衝突し転覆したと見られている。インドネシアでは4月21日にイスラム教の断食(ラマダン)の終わりを迎え、24日までは断食明けの大祭の期間となっており、帰省シーズンでフェリーにも多くの乗客が乗り込んでいた。nnn●5月n【その他】WHOが新型コロナウイルスに伴う緊急事態の終了を宣言n2023年5月4日午後(日本時間同日夜から5日未明)、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルスに関する15回目の緊急委員会会合が開催された。委員会の中では依然として新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的なリスクは高いものの、ワクチン接種や集団免疫の獲得などで死亡率や入院患者数の減少が見られるとし、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)の終了を勧告した。n翌5日にはテドロス事務局長が委員会の報告と共に、2020年1月30日からおよそ3年3ヶ月続いた新型コロナウイルスに伴う緊急事態の終了を宣言した。今後は、新型コロナウイルスについて現在進行中の健康問題として長期管理する体制へと移行する。n5月初旬までに全世界で約7億5000万人以上が新型コロナウイルスに感染し、うち690万人以上が死亡したことが確認されている。また、全世界で133億回分の新型コロナウイルスワクチンが接種され、医療従事者のうち89%と60歳以上の成人の82%が最初の1~2回目のワクチン接種を終えた。n一方でテドロス事務局長は緊急事態宣言の終了は新型コロナウイルスの脅威が消え去ったことを意味しないとも警告。WHOへの調査報告への減少や救命措置へのアクセスが依然として不平等であることに懸念を示すとともに、呼吸器病原体のパンデミック準備計画の更新やワクチン接種率の向上への努力、WHOへの調査報告の協力なども呼びかけた。nn【自然災害】コンゴ民主共和国で大雨と大規模な土砂災害 数百人が死亡n[被害]死者400人以上 行方不明者数百人n2023年5月4日、アフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール共和国)東部が大雨に見舞われた。南キブ州では4日に川の氾濫や地滑りなどが発生。2つの集落では学校や市場がある地区に土砂が流れ込んだ。この一連の災害に伴い8日、地元当局は死者が少なくとも400人以上いると発表した。また、国連などによると、数百人が行方不明とされている。nn【自然災害】ミャンマーにサイクロン上陸 被害多数n[被害]死者400人以上 家屋全壊2000軒n2023年5月14日、大型のサイクロン「モカ」がベンガル湾を北上し、ミャンマー西部のラカイン州に上陸した。nこのサイクロンの影響で、ミャンマーではラカイン州を中心に家屋の倒壊や送電線の切断などの被害が発生している。また、死者は400人以上とされているが、この死者数は政権を握る軍に敵対する民主派組織の発表によるものであり、軍は詳細な被害状況を明らかにしていない。n今回サイクロンに襲われたラカイン州は、国内難民となっている少数民族ロヒンギャの居住地。サイクロンに乗じて軍が被災者を襲撃しているとの情報もあり、被害の調査や被災者への支援が十分に行えない状況となっている。nまた、ミャンマーの隣国のバングラデシュでも、ミャンマーから逃れてきたロヒンギャの難民キャンプをサイクロンが襲い、避難用のシェルターが吹き飛ばされるなどの被害が出ている。nn【自然災害】グアム付近を台風が通過 ほぼ全世帯で停電 およそ1週間空港閉鎖n[被害]停電5万1000軒 全島で断水n2023年6月24日から25日にかけて、アメリカ領グアム付近を台風マーワー(MAWAR・台風2号)が通過し、グアム全域の建物やインフラに大きな被害をもたらした。グアム北部のデデドでは24時間雨量約622mmを観測したほか、各地で24時間雨量が500mmを越えた。また、停電や断水が発生し、特に電力は、一時約5万2000軒のうち約1000軒を除いて供給が途絶えた。このため、医療機関などでも長時間にわたって予備電源を使用するなどの事態となった。nこの台風により、玄関口であるグアム国際空港でターミナルビルが損壊するなどの被害が発生し、空港が数日間にわたって閉鎖された。28日までに滑走路の運用は再開されたが、旅客便の発着は30日からの再開となり、この間訪れていた観光客は足止めを余儀なくされた。nなお、グアムの知事の発表によると、今回の台風による死者や重傷者の報告は無かったという。nnn●6月n【事故】インド東部で3本の列車による衝突事故 死者280人以上n[被害]死者288人 負傷者1000人以上n2023年6月2日夜、インド東部オディシャ(オリッサ)州バーラソールで3本の列車が絡む衝突事故が発生した。n事故はまず、西ベンガル州からタミルナド州に向かう旅客列車が誤った線路に進入し、停車していた貨物列車と衝突して脱線。さらに、脱線した車両が西ベンガル州方面に向かっていた別の旅客列車と衝突した。事故の衝撃で車両の一部は折れ曲がるように破壊され、また一部の車両は乗り上げるように積み重なった。n2本の旅客列車には合わせて数千人が乗っていたとみられ、今回の事故で288人が死亡、1000人以上が負傷した。nインドの鉄道相は、列車の制御システムや信号機が正常に動作しなかったことが原因との見方を示しているほか、事故現場付近には列車の衝突を自動的に防止する保安装置が設置されていなかったことが判明している。nn【自然災害】アメリカ・テキサス州で竜巻n[被害]死者3人 負傷者約100人 家屋損壊約200軒n2023年6月15日午後、アメリカ南部・テキサス州で竜巻が発生した。竜巻は州北部のペリートンを直撃し、少なくとも3人が死亡、負傷者も100人近くにのぼった。また、約200軒の家屋が損壊したほか、広域で停電も発生。15日深夜時点で約20万軒におよんだ。n15日、アメリカ南部や中西部では、高温のために大気の状態が不安定になっていた。このため、テキサス州以外でも各地で竜巻や雷雨、大粒のひょうなどが観測された。nnn●7月n【事故】メキシコ南部でバスが崖下に転落n[被害]死者27人以上 負傷者17人n2023年7月5日06:30頃(日本時間同日20:30頃)、メキシコ南部オアハカ州の山間部で、都市間バスが崖から転落する事故が発生した。バスは夜行便で、首都メキシコシティからオアハカ州西部のサンティアゴ・ヨソンドゥアに向かう途中だった。この事故で少なくとも27人が死亡、17人が負傷した。事故発生当時、バスがコントロールを失い、カーブを曲がりきれずに崖を約25m転落したとみられている。現在、機械の故障をはじめとした車体の異常があったとみて、事故原因の調査が進められている。nn【自然災害】韓国で梅雨前線による大雨で大きな被害n[被害]死者44人 行方不明者6人n2023年7月9日から17日にかけて、韓国では活発な梅雨前線の影響で大雨となって各地で浸水や土砂崩れなどの被害が相次ぎ、これまでに44人が死亡、6人が行方不明となっている。n最も大きな人的被害が生じたのは中部の忠清北道清州の地下道で、近くの川の決壊により水が地下道に流れ込み、走行中のバスなど15台が巻き込まれ、乗客など14人が死亡した。この地下道については、浸水する4時間前に洪水警報が発表され、その後も避難要請が出されていたにも関わらず、地下道を管理する地元自治体が通行止めの措置を取らなかったことが問題視されている。nこのほかにも、南東部の慶尚北道では山間部で地すべりが発生し、複数の家屋が押し流されて死者が出ている。また、忠清北道では土砂崩れに巻き込まれて列車が脱線し、機関士1人が負傷するなど各地で被害が相次いだ。nn【テロ】パキスタン北東部で政治集会中に自爆テロn[被害]死者54人 負傷者200人以上n2023年7月30日16:00頃(日本時間同日20:00頃)、パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州のカーで自爆テロが発生した。このテロで子どもを含む54人以上が死亡、200人以上が負傷した。自爆テロが発生したのは与党系の保守派政党「JUI-F」が行っていた政治集会の会場で、テロ当時は政党幹部の演説中で、現場には400人以上がいたとされる。パキスタンでは数週間後に下院解散、秋に総選挙が控えており、選挙活動が行われているところだった。nこの自爆テロについては「イスラム国」(IS)系の武装勢力が犯行声明をSNSに投稿しており、これに対しパキスタンのシャリフ首相は民主主義に反する攻撃だと非難した。nn【事故】沈没した豪華客船「タイタニック号」の調査へ向かった潜水艇が海底近くで「爆縮」n[被害]死者5人n2023年6月18日午後(日本時間19日午前)、アメリカ・マサチューセッツ州の東方沖で潜水艇が海面に戻らず、消息を絶ったと沿岸警備隊に連絡が入った。潜水艇はアメリカのツアー会社「オーシャンゲート エクスペディションズ」の所有する「タイタン」で、ツアー会社のCEO兼操縦士を含めた5人が乗船していた。潜水艇の目的は1912年に沈没した豪華客船「タイタニック号」の沈没現場の探索で、水深4000メートルまで航行し、1時間45分ほどで海面に戻る予定だった。n潜水艇は緊急用に96時間分の酸素を搭載しており、時間に限りのある状態での捜索のため、19日からはアメリカとカナダの沿岸警備隊が捜索を開始。21日にはフランスの捜索隊も加わった。捜索中、ソナーにものを叩くような音が感知されたものの、22日には潜水艇の破片が無人ロボットにより海底で発見された。アメリカ沿岸警備隊は破片の状況から、潜水艇は周囲からの圧力で押しつぶされる「爆縮」が起きたとの見解を示し、乗船した5人全員が死亡したとした。その後、カナダ政府が事故原因について調査を開始、28日には残骸や遺体の一部とみられるものが引き上げられた。n今回事故を起こした潜水艇については事故直後から複数の業界関係者より、安全を担保するための認証手続きや検査を行っていなかったことや、窓の耐圧性能が低く、水深1300メートルまでのものしかクリアできていないことなどが指摘されている。詳しい原因の解明は今後の調査で進められる。nnn●8月n【自然災害】ハワイ・マウイ島で山火事n[被害]死者97人 行方不明者31人 建物被害2200棟以上n2023年8月8日、アメリカ・ハワイ州のマウイ島西部で山火事が発生し、約9平方kmが焼損した。被害は沿岸の市街地にまでおよび、特にラハイナでは2200軒以上の建物が焼損する壊滅的な被害を受けた。市街地の火災は、18日までに9割が鎮火した。nこの火災で、これまでに97人の死亡が確認され、ハワイ州での自然災害による死者として最多、アメリカでの山火事による死者としても過去100年余りで最多となった。行方不明者は一時1000人以上とも発表されたが、9月15日時点で31人としている。停電や通信障害により長期間連絡が取れなくなった住民が多く、安否確認が難航したり正確な行方不明者数の把握が困難になるなどして、しばらくは情報が錯綜した。n山火事の原因については特定されていないが、強風で切れた送電線から草木に引火した可能性が指摘されている。強風が予想される状況で危機回避のために送電を停止しなかったことも問題視されており、マウイ郡が地元電力会社を提訴した。また、火事が大規模になった要因としては、島の大部分が極めて乾燥状態だったところへ、ハワイ諸島南方を通過したハリケーンの強風が追い打ちをかけるかたちとなったとみられている。n島内には警報サイレンが設置されているが、火災発生当時は作動しなかった。地元当局は津波に対し避難を促すためのものだとして作動させなかったことを正当化したが、その結果住民が火災に気付くのが遅れ、人的被害が拡大した可能性があるとして、対応に批判が上がった。nn【政変・政情不安】エクアドル大統領選で候補者などへの銃撃事件相次ぐn[被害]死者2人 負傷者10人n2023年8月20日、南米エクアドルで大統領選挙が行われた。開票の結果、過半数を獲得した候補者がいなかったことなどから、10月に上位2人による決選投票が行われることが決まった。n今回の大統領選挙では、選挙戦中に候補者や議会関係者が相次いで銃撃されるなど、治安の悪化が問題となった。8月9日18:00頃、大統領選に立候補していた中道派のビジャビセンシオ氏が、首都キトでの選挙集会後に日本大使館近くで武装グループに銃撃され死亡、周囲にいた選挙関係者など9人が負傷した。また、翌8月10日には、キト郊外で議会選の候補者が銃撃されたほか、8月14日には、コレア元大統領の左派政党の指導者の1人であるブリオネス氏が西部サンマテオの自宅前で何者かに銃撃され死亡した。これらの事件を受けて、ラソ大統領は全土に60日間の非常事態を宣言した。nエクアドルでは近年、治安の悪化が進み、殺人事件の発生率が2016年の6倍に増えたともいわれている。この背景として、エクアドルの港が、隣国のコロンビアやペルーから流入するコカインなどの麻薬をヨーロッパやアジアの国々へ密輸するための拠点として使われており、国内で麻薬組織同士の抗争や民間人を狙った犯罪が相次いで発生していることが挙げられている。今回、銃撃を受けて死亡した大統領候補者は、治安対策の強化や汚職の撲滅を公約に掲げていたが、事件前に麻薬組織から脅迫を受けていたことを明らかにしていた。nn【その他】ロシア民間軍事会社創設者、自家用旅客機墜落で死亡n[被害]死者10人n2023年8月23日18:00過ぎ(日本時間24日00:00過ぎ)、ロシアの首都モスクワ北西に位置するトヴェリ州クジェンキノでモスクワ発サンクトペテルブルク行きの自家用ジェット機が墜落し、乗客7人、乗員3人の計10人が死亡した。n乗客の中にはロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏が搭乗しており、同氏の死亡もDNA鑑定で確認された。プリゴジン氏はプーチン大統領の側近でロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者。「ワグネル」は中東やアフリカなどに戦闘員を派遣したほか、2022年2月からのウクライナ侵攻にも大きく関与した。一方で、今年5月からはロシア連邦軍や国防省の幹部を批判。6月23日から翌24日にかけて突如反乱を起こし、モスクワの南およそ200kmまで迫ったことも話題になっていた。n今回の事故に関して、事故の翌日にはロシアのプーチン大統領がプリゴジン氏を含む犠牲者の遺族に「心から哀悼の意を表したい」とコメントした一方、プリゴジン氏自らについては「過ちを犯した」ともコメントした。n事故が起きたのはブラジルのエンブラエル社が製造したレガシー600型機。対ロシア制裁の一環で保守点検は2019年以降行われていないほか、事故直前は1ヶ月間修理を行っていた。一方で同型の飛行機は300機製造されたが、2002年以降一度だけしか事故を起こしていない。近くに住む住民からは墜落当時、爆発音がしたという証言があるほか、独立系メディアからは爆弾が仕掛けられたという報道がされた。事故原因は現在、ロシア連邦捜査委員会が調査を行っているが、国際的なルールに基づく調査は実施しないとしている。nまた、事故当初からロシア政府の関与が疑われており、アメリカはプーチン大統領やロシア政府が関与している可能性があるとみて、事故原因を追及している。これに対しロシア政府は事件性のある可能性は認めつつも、関与については否定している。nnn●9月n【自然災害】モロッコでM6.8の地震 2900人以上が死亡n[被害]死者2900人以上 負傷者6000人以上n2023年9月8日23:11頃(日本時間9日07:11頃)、北アフリカのモロッコ中部を震源とするM6.8の地震が発生した。この地震で簡素な造りの住宅が多数倒壊し、中部アルハウズ県を中心に2900人以上が死亡、6000人以上が負傷した。また、山間部の広範囲で大きな被害が出ており、全壊または部分損壊した住宅は少なくとも5万戸にのぼり(モロッコ王室発表)、30万人以上が地震の影響を受けたとされている(国連発表)。避難した住民らは空き地でのテント生活を余儀なくされたほか、観光地として人気の都市マラケシュでは世界遺産に指定されている旧市街の歴史的建造物やモスク(礼拝所)などが損壊した。nモロッコはアフリカプレートとユーラシアプレートの境界周辺に位置し、大規模な地震がたびたび発生している。1960年には南西部のアガディール沿岸を震源とするM5.8の地震が発生し、1万人以上が死亡した。nn【自然災害】リビアで大洪水 死者・行方不明者2万人以上n[被害]死者1万1300人以上 行方不明者1万100人以上n2023年9月11日、北アフリカ・リビア東部で大洪水が発生した。9月上旬にギリシャで発生した「地中海ハリケーン」と呼ばれる台風のような低気圧が、10日にリビア北東部に暴風雨をもたらした。わずか24時間で年間降水量を上回るような記録的な大雨に見舞われたことで、乾燥地帯で普段は水の流れのない「ワジ」と呼ばれる涸れ川を濁流が流れ下った。特にデルナでは、川の上流にあるダム2基が決壊し、市街地に大量の水が一気に押し寄せたことで、甚大な被害が生じた。n国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告によると、9月16日時点で、最も被害の大きい都市デルナで、少なくとも死者が1万1300人、行方不明者が1万100人にのぼり、デルナ郊外でも170人が死亡した。被害の全容はいまだ見えておらず、捜索作業が進むにつれて死者数はさらに増えると予想される。n現在、リビアは国家分裂状態にあり、統一政府の欠如がダムのインフラ整備の遅れを招き、被害拡大につながったとの指摘もでている。現地では捜索・救助活動が続いているが、依然として多くの遺体が水中やがれきの下などに残ったままで、水の汚染や感染症といった衛生環境の悪化も懸念されている。nn【安全保障】アゼルバイジャンがアルメニアとの係争地ナゴルノ・カラバフで軍事活動n[被害]死者200人以上 負傷者400人以上n2023年9月19日、アゼルバイジャンは隣国アルメニアとの係争地となっているナゴルノ・カラバフ地域に対し、「対テロ作戦」と称した軍事活動を開始した。活動開始の翌日午後には、ロシアが提案した停戦案をアルメニア系勢力が受け入れ、アゼルバイジャンは軍事活動を停止した。今回の軍事活動で200人以上が死亡し、400人以上が負傷した。軍事活動停止後は、停戦案に基づきアルメニア系勢力の武装解除が行われ、実質的な統治機関であった「アルツァフ共和国」についても2024年1月1日に解体することが決定した。nこうした一連の動きに対し、およそ12万人が居住するとされるアルメニア系住民は迫害や民族浄化を恐れ、アルメニアへと避難を開始。ナゴルノ・カラバフ地域からアルメニアへ通じる道は渋滞した。また、25日には燃料貯蔵施設が爆発する事故が発生し、避難のために車へ給油をしようとしていた多くの住民が巻き込まれ、170人以上が死亡した。このような混乱もありながら、10月上旬までにナゴルノ・カラバフに住むアルメニア系住民のうち、9割近い10万人以上がアルメニア国内へ避難した。nこうした多くの避難民が発生している事態に対し、アルメニアはアゼルバイジャンを「民族浄化」をしていると批判。これに対してアゼルバイジャン側はアルメニア系住民の強制的な退去はおこなっておらず、権利を保障するとした。また、アルメニアのパシニャン首相は平和維持軍を駐留させていたロシアについても、今回の軍事活動へ介入しなかったことから、旧ソ連系の国からなる集団安全保障条約機構(CSTO)の機能不全を指摘し、対ロシア政策を大幅に転換する考えを示した。これに対しロシアは、アルメニアに接近するアメリカの動きに警戒しつつ、今回のパシニャン首相の発言はロシアとアルメニアの関係を絶とうとしているものだと反論した。nナゴルノ・カラバフ地域はアゼルバイジャン西部に位置し、歴史的経緯からアルメニア系住民が多くを占める。過去には1990年代と2020年の2度、大規模な軍事衝突が発生していた。また、2020年の軍事衝突ではアゼルバイジャンが大半の地域を占領下におき、ロシアの平和維持軍2000人が同地域に駐留していた。nnn●10月n【安全保障】イスラエル軍とパレスチナ自治区のイスラム組織が大規模な軍事衝突n[被害]死者1万人以上n2023年10月7日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに向けて3000発以上のロケット弾を発射した。イスラエル軍はガザを空爆するなどしてこれに応酬、戦闘が激化し、11月はじめまでに双方の死者は1万人を超えた。イスラエルは10月9日にガザの電気や食料、燃料を遮断し完全封鎖すると宣言。イスラエル軍は民間人被害を最小限にするため、ガザ北部の住民およそ110万人に対し、ガザ南部へ退避するように通告した。nハマスの戦闘員により多数のイスラエル市民やイスラエル軍の兵士、外国人が拉致・殺害されている一方、イスラエル軍がガザへの地上進行を計画しており、イスラエル軍とハマスとの間で人質解放や人道物資の運搬をめぐり駆け引きが続いている。ガザでは物資が不足するなど深刻な人道危機に陥っており、ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所が同月21日になってようやく再開され支援物資が運び込まれたが、現在も支援は十分には行き届いていない。n日本政府はイスラエル在留邦人の退避を呼びかけ、これまでに韓国軍専用機や日本政府手配のチャーター機、自衛隊機などで100名以上の邦人が避難している。n一方、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも国境を接するイスラエルに対し砲撃を行い、イスラエル軍がこれに対抗、両者の間で戦闘状態となっている。イスラム組織ハマスはヒズボラにも参戦を呼びかけていた。また、ヒズボラはイスラエルと対立関係にあるイランの影響下にあり、イスラエルと対立してきた。nn【自然災害】アフガニスタン西部でM6.3の地震相次ぐ 死傷者多数n[被害]死者1000人以上 負傷者2000人以上 家屋損壊1320軒n2023年10月7日11:11頃(日本時間同日15:41頃)、アフガニスタン西部のヘラート州を震源とするM6.3の地震が発生した。その後、この地域では1週間あまりで最初の地震を含めM6.3の地震があわせて4回発生し、大きな被害が生じた。nn<アフガニスタン西部ヘラート州を震源とする地震>〔USGS〕n・10/07 11:11頃(日本時間15:41頃) M6.3 震源の深さ14.0kmn・10/07 11:42頃(日本時間16:12頃) M6.3 震源の深さ10.0kmn・10/11 05:11頃(日本時間09:41頃) M6.3 震源の深さ9.0kmn・10/15 08:06頃(日本時間12:36頃) M6.3 震源の深さ6.3kmnnこの一連の地震で、震源に近いヘラート州の中心都市ヘラートやその郊外のジンダジャンなどで家屋の損壊が相次ぎ、これまでに1000人以上が死亡し、2000人以上が負傷した。この地域の家屋は日干しレンガや泥などでできているため耐震性が低く、震源に近い村では複数の集落でほぼすべての家屋が倒壊や損壊するなど甚大な被害が生じた。nアフガニスタンは、国土の中央部にありインドプレートとユーラシアプレートの境界に近いヒンドゥークシュ山脈周辺で地震が多く発生している。最近では2022年6月にもM5.9の地震があり、この際も1000人以上が死亡している。nn【自然災害】メキシコ太平洋沿岸に「カテゴリー5」のハリケーン上陸n[被害]死者46人 行方不明者58人n2023年10月25日00:25頃(日本時間同日15:25頃)、ハリケーン「オーティス」がメキシコ南部に上陸した。上陸時、「オーティス」の勢力は最も強い「カテゴリー5」で、上陸後はゲレロ州にあるリゾート地アカプルコを直撃した。現地では冠水や建物の損壊などの物的被害が発生したほか、ライフラインが被害を受けたことで、通信も一時途絶した。11月1日までにゲレロ州政府がまとめた被害状況によると、人的被害は死者46人、行方不明者は58人にのぼった。また、このハリケーンが去った後、市中では略奪が横行し、自警団を組織する住民も現れた。n「オーティス」は当初勢力が強まる予想ではなかったが、24日に急速に発達。最大瞬間風速は毎秒70メートル以上にも達し、メキシコ太平洋沿岸に上陸したハリケーンとしては最大級のものとなった。nnn●11月n【自然災害】ネパール西部で地震 少なくとも157人死亡 家屋倒壊で負傷者も多数n[被害]死者少なくとも157人 負傷者155人以上n2023年11月4日03:02頃(現地時刻3日23:47頃)、ネパール西部カルナリ州で地震が発生した。アメリカ地質調査所(USGS)によると、地震の規模はM5.6、深さ約18km、ネパール当局はM6.4と発表している。震源は同州のジュムラ郡だが、実際の被害は隣接するジャージャルコート郡で特に大きく、死者・負傷者も多くは同郡で発生した。しかし、被災地は首都カトマンズから300km以上離れていることから連絡が取りにくく、死者・負傷者の数は把握しきれておらず、今後も増加する可能性がある。n現地では、耐震性の低い泥やれんが造りの建物が多く、地震の揺れでこうした建物の多くが倒壊した。実際に、地震による死者の多くは倒壊した建物の下敷きとなったことによるとみられる。また、隣国インドのニューデリーでもこの地震による揺れが観測された。nネパールでは、2015年7月に首都カトマンズ付近でM7.8の地震が発生し、周辺諸国と合わせて約9000人の死者を出した地震も発生しており、今回の地震はそれに次ぐ規模の被害となった。nn【自然災害】アイスランド南西部で火山噴火n[被害]3000人以上が避難n2023年10月下旬以降、アイスランド南西部のレイキャネス半島で火山活動に伴う地震が多発し、12月18日22:17頃(日本時間19日07:17頃)、火山が噴火し、長さ4kmの裂け目が出現した。この火山は2021年、約800年ぶりに噴火が始まり、今年11月に入り道路に亀裂や陥没が生じるなどの被害が出ていた。n11月11日には、火山噴火の可能性が高まったとして、政府は非常事態を宣言し、グリンダビークのおよそ3000~4000人の住民に対し、避難命令を出した。翌12日には約1000回の火山性地震が観測され、この段階で気象当局は「数日以内に南西部の火山が噴火する可能性が高い」との警告を出した。nその後、一度地震活動は減少傾向になったが、避難指示は続いており、12月18日の噴火では人的被害はなかった。また、溶岩も市街地に到達する見込みは薄いとみられている。nアイスランドは火山活動が活発で、過去には2010年に大規模な噴火活動があり、航空便に大きな影響がでたが、今回の噴火活動では航空便などに大きな影響はなかった。nnn●12月n【自然災害】インドネシア・スマトラ島で火山噴火n[被害]死者23人 負傷者12人n2023年12月3日14:54頃(日本時間同日16:54頃)、インドネシア西部のスマトラ島にあるマラピ山(標高2891m)で噴火が発生した。気象庁によると、噴煙は上空約1万5000mまで上昇した。その後も、マラピ山では断続的に火山灰を噴出する噴火が発生している。n噴火が発生した当時、マラピ山には登山客75人が滞在しており、噴火に巻き込まれてこれまでに23人が死亡した。また、避難した人のうち12人がやけどを負って入院している。なお、山麓の集落では降灰は観測されているものの、被害の情報はない。nマラピ山は、インドネシアにある火山の中でも活動の活発なものの一つで、1979年の噴火では60人が死亡している。インドネシア当局は、マラピ山の火口や山頂から半径3km以内には立ち入らないよう呼びかけていたが、今回の噴火による死者は火口から1~1.5km付近で発見されていた。nn【自然災害】中国内陸部でM6.2の地震 死者140人超えるn[被害]死者少なくとも149人 行方不明2人 負傷者約1000人 家屋損壊20万軒以上n2023年12月18日23:59頃(日本時間19日00:59頃)、中国甘粛省臨夏回族自治州積石山県で地震が発生した。地震の規模はM6.2、深さ約10kmだが、アメリカ地質調査所(USGS)は地震の規模をM5.9としている。n地震の被害は震源地となった甘粛省だけでなく、隣接する青海省にも広がった。地震による石造家屋の損壊による犠牲者が多数発生したほか、深夜の地震発生であったために被害の全貌把握や救助活動に遅れが生じた。また余震も続き、30回以上観測されたとの報道もあった。nこの地震による被害を受けた地域では断水や停電が発生している中、猛烈な寒波が襲っており、気温が氷点下を大きく下回る状況で、避難所の寒さ対策も課題となった。避難所やテントでは、緊急に用いられる石炭ストーブによる一酸化炭素中毒防止の呼び掛けもなされた。n甘粛省では、2013年7月22日にも、今回地震が発生した積石山県の東約250kmに位置する定西市付近で、95人が犠牲となる地震が発生していた。nn【事件】チェコ首都にある大学構内で銃乱射n[被害]死者13人 負傷者20人以上n2023年12月21日13:59頃(日本時間22:59頃)、チェコの首都プラハの旧市街にあるカレル大学構内で、男性が銃を乱射し、13人が死亡、20人以上が負傷した。負傷者のうち3人はオランダやアラブ首長国連邦国籍だった。n銃を乱射した男性は同大学の学生。銃を乱射した直後に死亡が確認され、自殺したとみられている。また、事件直前には男性の自宅で父親が死亡しており、男性が殺害したものとみて捜査が進められ、警察が男性の身柄を追っていた。n一連の事件に関しては、容疑者と国際テロ組織との関連はなく、警察は銃乱射の動機や男性が他の事件にも関わった可能性について捜査を進めている。nチェコは銃乱射事件が比較的少なく、今回の事件の犠牲者数は同国内で発生した銃犯罪としては過去数十年内で最多となった。

© 株式会社レスキューナウ