障害者に水泳を教えて38年、大分市の藤本さんに文部科学大臣表彰【大分県】

文部科学大臣表彰を受けた藤本正広さん(中央)=大分市大津町の県身体障害者福祉センター

 【大分】県内の障害者に水泳を教える第一人者で「障がい者水泳クラブあすなろ」を設立した大分市明野北の藤本正広さん(72)=県身体障がい者水泳指導者協会代表=が文部科学大臣表彰を受けた。38年間、生涯学習を支援した功労者として表彰された。

 出身地の兵庫県で新日本製鉄広畑製鉄所(当時)に勤務時、ボランティアで地域の子どもたちに水泳を教えていた。聴覚障害児の母親から「障害者はなかなか水泳をする機会がない」という現状を知らされたことが活動のきっかけ。

 1984年に大分に転勤後、「手話を覚えて水泳を教えてあげよう」と手話を習った。85年にあすなろを設立。同市大津町の県総合社会福祉会館などのプールで年間150日以上、練習会を開いている。これまでに肢体、聴覚、視覚、知的、精神の障害児・者や健常児計115人を育てた。

 それぞれの障害区分に合わせた細やかな指導で運動機能の維持向上、競技力向上に努めている。11月の日本パラ水泳選手権佐賀大会では、あすなろの男女5人が計9種目で自己ベストを記録し、3人が計4種目で優勝。混合200メートルメドレーリレーは2位になり、総合力の高さを発揮した。

 26日に同市大津町の県身体障害者福祉センターで伝達表彰式があった。藤本さんは「さまざまな障害のある子どもが一緒に練習することで、キャップやゴーグルを自分で着けられない人に手を差し伸べたり、助け合うようになった。今後も楽しく元気よく練習ができるようにしたい」と話した。

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