「第2のマウンド」はイチゴ畑 元中日の三ツ間卓也さん、横浜で農家に転身 1月から直売開始

三ツ間卓也さん自慢のハウス内では、たくさんのイチゴが順調に育っている=横浜市泉区の三ツ間農園

 「神奈川県のみなさんに、とにかくおいしいイチゴを楽しんでほしい」-。中日ドラゴンズの投手として活躍した三ツ間卓也さん(31)がイチゴ農家に転身し、1月から横浜市内で直売などを始める。一から農業を学び、農地確保などの困難を乗り越えて開墾した「三ツ間農園」(同市泉区)は、新たな道を切り開こうとする夢と希望に満ちあふれている。

 相鉄線いずみ野駅から15分ほど歩くと、ひときわ目立つ大きなイチゴをあしらった看板が来園者を出迎える。昨春に苗から育ててきたイチゴは、果皮の白い「天使のいちご」や、モモに似た香りの「桃薫(とうくん)」など全9種類とバラエティーに富む。「病気にかかって数を減らした品種もあったが、今はハウス内にはイチゴがたくさん実っている」。

 群馬県出身の三ツ間さんは2015年の育成ドラフト3位で入団し、17年には支配下選手として登録された。主に中継ぎ投手として、17年シーズンには35試合に登板するなど、腕一つでのし上がってきた。

 しかし、20年春に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言が発令され、プロ野球の開幕も延期となった。試合ができないことに加え、当時1歳半の息子と外で遊べないもどかしさに直面した。

 「イチゴを食べられたらいいね」。室内にこもりがちな生活を少しでも変えようと、ベランダの一角でイチゴ栽培を始めた。肥料を与えるタイミングや生育方法などをインターネットで検索し、次第にのめり込んでいったという。収穫したイチゴを食べた家族の反応は上々で、心の奥底に何かが芽生えていた。

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