スズキ 新型ジムニーは2018年7月に発売されて以来、納期が長いと言われています。悪路向けSUVの人気の高まりと、軽自動車人気が後押ししている要因が大きいでしょう。そんな人気の高い新型ジムニーの価格や最新の納期、燃費などをカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが解説します。
新型ジムニーのおすすめポイント
・最低地上高は205mmを確保し、デコボコも乗り越えやすい
・全グレードにターボエンジンが搭載されたことで、パワー不足を解消
新型ジムニーのレビュー・評価
スズキ 新型ジムニーは軽自動車サイズの悪路向けSUVです。初代モデルは1970年に発売され、50年以上にわたって基本的なコンセプトを変えていません。
悪路向けのSUVであることから、車体骨格には耐久性の高いラダー(ハシゴ状の)フレームを採用。そこにエンジン、サスペンション、ボディなどが搭載されています。
エンジンは縦方向に搭載され、後輪駆動をベースにした4WDシステムも採用されています。
軽自動車では珍しく、後席側のドアを装着しない3ドアです。
5段階採点の解説
外観(エクステリア)
水平基調の外観はシンプルな印象で、遠くから見てもジムニーだと分かりやすいです。このデザインが高い人気を得ています。
内装(インテリア)
インパネの周辺などはシンプルな仕上がりですが、ジムニーという車の性質上、質感に不満が出ることは少ないでしょう。
前席は快適ですが、後席の足元空間は狭めです。
走行性能
ターボエンジンを搭載しているので、動力性能に不満はありません。舗装路での走行安定性や操舵感はいまひとつですが、悪路走破性は抜群に高いです。
運転のしやすさ
水平基調のボディによって、ボンネットがよく見え、ピラー(柱)を立てることで、視界も前後左右ともに優れています。最小回転半径は4.8mと小回りも利きますが、軽自動車の中では若干大きめです。
乗り心地
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が短いため、前後方向の揺れがやや大きくなります。それでも乗り心地に粗さは感じられません。
価格の割安度
装備を充実させた最上級グレードであるXCの価格は、4速AT仕様で190万3000円です。悪路走破性に優れたSUVとしては、価格が抑えられました。
総合評価の解説
総合評価の5段階採点:3点
新型ジムニーは、後輪駆動をベースにしたプラットフォームと、副変速機を備えた4WDを搭載する悪路向けのSUVです。
ボディは軽自動車サイズですが、車両の造りはトヨタ ランドクルーザーなどに近い本格派です。
軽自動車なので、最小回転半径は4.8mに収まり、最低地上高は205mmを確保することで、悪路も走りやすいです。
特に狭く曲がりくねった林道には最適で、排気量が1500ccある普通車のスズキ 新型ジムニーシエラと並んで、日本で購入可能なSUVの中では、悪路の走破性能が最も優れています。
4WDはパートタイム式。ドライバーが2WDと4WDを手動で切り替えます。
また、カーブで前後輪の回転数を調節するセンターデフなどを備えておらず、前後輪が直結します。そのため、舗装路では後輪駆動の2WDで走ります。
深雪や段差のあるような悪路以外は活躍するものの、日常では使いづらい4WDです。
ステアリング操作に対する車両の反応は鈍く、峠道などを走ると違和感があります。カーブに進入するときは、ステアリングホイールを若干早めのタイミングで内側へ回し始めると、車両の進行方向を変えやすくなります。乗り心地も前後方向の揺れが大きく感じられます。
ボディは3ドアなので、4人乗りではあるものの、実用性は実質2人乗りです。後席は足元空間が狭く、荷室も後席を格納しないと最小限度です。
このように、ジムニーは悪路走破力が際立って高い一方で、割り切った機能も多い車です。購入する前に必ず試乗し、ご自身の車の使い方に合っているかどうか、確かめるようにしましょう。
新型ジムニーの基本スペック・価格表
新型ジムニーのグレードごとのエンジン、変速機、駆動方式、価格は下記の通りです。
XG、XL、XCの3つのグレードが設定されており、それぞれ5速MT(マニュアルトランスミッション)と4速AT(オートマチックトランシミッション)が用意されています。
新型ジムニーのボディサイズ
新型ジムニーのボディサイズは下記の通りです。
全長3395mm、全幅1475mm、全高1725mm、ホイールベース2250mmで、軽自動車規格となっています。
新型ジムニーの燃費
4速AT仕様のWLTCモード燃費は14.3km/Lです。
同じ軽自動車で比較すると、スズキ スペーシアの売れ筋グレードは23.9km/Lなので、ジムニーのガソリン代は1.7倍多くかかることになります。
新型ジムニーの発売日と納期の目安
スズキ 新型ジムニーは2018年7月5日に発売されました。
新型ジムニーは発売直後から納期が長く、現在でも約1年かかると言われています。
販売店では「発売当初に比べると生産台数を増やしていますが、それに伴って購入を希望されるお客様も増えているように感じます」と述べています。
このように、新型ジムニーを購入する際には、納期に注意が必要です。
また、ジムニーは過去のモデルを見ても約10年間にわたり、フルモデルチェンジを行わずにつくり続けられています。
新型ジムニーの登場は2018年なので、当分の間はフルモデルチェンジは行われない予定です。
最近の売れ行き&人気度
ジムニーは2023年に、1か月平均で約3,400台を登録しました。悪路向けのSUVで、なおかつ納期も長いですが、売れ行きは堅調です。
今はシティ派SUVが膨大に増えた反動で、悪路向けに目が向けられています。SUV市場に原点回帰の傾向が生まれ、伝統的なジムニーの売れ行きも増えました。
新型ジムニーのリセールバリュー
リセールバリューの5段階採点:5点
新型ジムニーは納期が長いこともあり、中古車市場でも高値で取引されています。
新型ジムニーのXCグレードは4速ATの価格が190万3000円ですが、2021年から2022年式の中古車は220〜240万円です。
つまり、中古車価格が新車を上回っているのです。この状態がいつまで続くかは分かりませんが、新型ジムニーを好条件で売却できることは確かです。
新型ジムニーのおすすめグレード
おすすめグレード:XC(190万3000円/4WD)
悪路を本格的に走るなら、スチール製ホイールを装着したシンプルなXGやXLを選ぶ方法もありますが、一般的な人気グレードは装備を充実させたXCです。
アルミホイール、LEDヘッドランプ、本革巻きステアリングホイールなどを標準装備しています。それでも、4速AT仕様で190万3000円なので、優れた悪路走破力を考えると割安です。
新型ジムニーのライバル比較
新型ジムニーには実質的にライバル車が存在しません。後輪駆動をベースにした副変速機付きの4WDを搭載する軽自動車は、ジムニーしかありません。
強いて挙げれば、前輪駆動をベースにしたSUV風の軽自動車として、背の高いスズキ 新型ハスラーやダイハツ 新型タフトがあります。
また、小型車サイズのSUVには、トヨタ 新型ライズやダイハツ 新型ロッキー、スズキ 新型クロスビーなどが5ナンバーサイズで用意されています。
しかし、いずれも前輪駆動ベースのシティ派モデルなので、悪路向けSUVであるジムニーとは成り立ちが異なります。
新型ジムニーのカラーバリエーション
新型ジムニーのカラーバリエーションを、グレードごとにご紹介します。
XGグレードは4色、XLグレードは8色、XCグレードは2トーン4色を含む全12色から選択できます。
XGグレードのカラーバリエーション
XLグレードのカラーバリエーション
XCグレードのカラーバリエーション
新型ジムニーを販売店で試乗するときのポイント
新型ジムニーを試乗する際は、まず実用性を確認しましょう。
後席の頭上と足元の空間が狭くないか、乗降性や荷室の広さ、収納設備の使い勝手などをチェックすると良いでしょう。
現在の背の高い軽自動車は、後席や荷室を広く確保して収納設備も豊富ですが、ジムニーは悪路向けのSUVとして割り切られています。
試乗を開始したら、ステアリング操作に対する車両の反応が鈍くないか、乗り心地に違和感がないかを確かめましょう。
最小回転半径は、SUVとしては小さいですが、軽自動車の中では若干大きめです。縦列駐車などを行って、運転のしやすさも確認すると良いでしょう。
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【筆者:渡辺 陽一郎】
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