衆院選、各党準備 茨城県内 7選挙区で20人 区割り5選挙区改定

2025年秋までに実施される次期衆院選の立候補予想者は昨年12月31日現在、茨城県内7選挙区で計20人となっている。自民党の布陣は固まり、野党は第1党の立憲民主党を軸とした候補一本化の成否が焦点の一つとなる。各党は政治情勢もにらみながら準備を進める。小選挙区の区割りが改定されて初めての選挙となる。

衆院小選挙区定数「10増10減」を反映した改正公選法の成立により、茨城県は水戸、笠間、小美玉、常陸大宮、下妻の5市で区割りの分割が解消され、5選挙区が改定となった。市町村合併の名残で、一つの市が複数の選挙区にまたがっていた。

新たな区割りでは、これまで2区だった旧内原町(水戸市)、旧友部町(笠間市)、旧岩間町(同)がいずれも1区に編入。1区の旧御前山村(常陸大宮市)を4区に、同じ1区の旧下妻市(下妻市)を7区に、6区の旧玉里村(小美玉市)を2区にそれぞれ改定した。3区と5区の変更はない。

■現職2氏に新人2氏 1区

茨城1区は、いずれも現職で4選を目指す無所属の福島伸享氏(53)と、5選を狙う自民の田所嘉徳氏(69)の立候補が確実視される。維新は新人で会社役員の武藤優子氏(59)、共産は新人で党県委員の高橋誠一郎氏(29)の擁立を決めている。

福島氏は前回、無所属で野党系勢力を一本化、選挙区で国政復帰を果たした。精力的に選挙区内を回る。

田所氏は前回、選挙区勝利を逃したものの、比例で復活当選した。地域を巡り支持固めに注力する。

立民は前回、独自候補を立てず、事実上の自主投票とした。次期選挙での動向が注目される。

区割り改定に伴い、旧内原町、旧友部町、旧岩間町が2区から1区に編入された。

■自民現職に3新人か 2区

茨城2区は、衆院議長で自民現職の14選を目指す額賀福志郎氏(79)に、維新で元千葉市議の今村敏昭氏(66)、共産で元鹿嶋市議の川井宏子氏(58)、元県議の大高伸一氏(56)の3新人が挑む構図が見込まれる。

額賀氏は前回、知名度と組織力を生かし、11万票余りを獲得し、立民元職との一騎打ちを制した。

今村氏は「身を切る改革で歳出見直し」、川井氏は「物価高騰による貧困・格差の解消」、大高氏は「疲弊した地域経済の振興」などをそれぞれ訴える。

区割りは旧玉里村(小美玉市)が加わる一方、旧内原町(水戸市)、旧友部町(笠間市)、旧岩間町(同)が1区に移り、支持者の掘り起こしなどが迫られる。

■現新3氏、準備進める 3区

茨城3区は、当選7回を目指す自民現職の葉梨康弘氏(64)、前回出馬した立民新人の梶岡博樹氏(46)、参政新人の桜井祥子氏(39)が立候補に向けて準備を進める。維新や共産は現時点では擁立に向けた動きは見られない。

葉梨氏は前回10万票以上を獲得。2022年、法相に就任し、死刑制度を巡る発言で辞任。信頼回復へあいさつ回りを重ねる。

梶岡氏は3回目の挑戦となる。前回21年は旧立民と旧国民の合流に伴い立民公認として挑んだ。「自民に代わる選択肢」と訴える。

桜井氏は昨年9月、参政が公認。東京都出身、龍ケ崎市在住。ウェブサービス会社を経営する。公教育の改革などを掲げる。

■自民現に共産新挑む 4区

茨城4区は、元経済産業相で9回目の当選を目指す自民現職の梶山弘志氏(68)に、共産新人の吉田翔氏(26)が挑戦する構図となる見通し。

梶山氏は2017年、地方創生担当相として初入閣後、経産相などを歴任。21年からは党幹事長代行の要職を務めている。高い知名度と盤石な後援会組織で選挙戦に臨む。

党北部地区委員会勤務の吉田氏は国政選挙初挑戦。自公政権への対決姿勢を鮮明にし、経済停滞の打破を訴える。前回は候補者を擁立しなかった立民を含め、野党の連携を模索する。

区割り改定に伴い、前回まで1区だった旧御前山村(常陸大宮市)が新たに4区に加わった。

■現職2氏激突、新人も 5区

茨城5区は、3選を目指す国民民主現職の浅野哲氏(41)と、5選を狙う自民現職の石川昭政氏(51)が再び激突する構図とみられる。前回は浅野氏が制し、石川氏は比例復活当選した。前市議で共産新人の千葉達夫氏(41)も出馬を予定する。

浅野氏は日立グループ労組出身。前回は約7500票差で初の選挙区勝利を飾った。連合茨城や電機連合の全面支援を受けつつ、地域への浸透を図る。

石川氏は前々回に選挙区当選したが、前回は大票田の日立市で伸び悩んだ。昨秋にはデジタル副大臣に就任。小まめに地域を回り実績をアピールする。

千葉氏は党県雇用対策部長。再選を目指した昨年春の日立市議選では落選した。

■現職2氏3度目激突 6区

茨城6区は、いずれも現職で、3選を目指す自民の国光文乃氏(44)と、立民の青山大人氏(44)による3度目の対決となる見通しだ。

前回は公示直前に共産候補が出馬を取りやめ、与野党一騎打ちとなったが、次期選挙では野党共闘の行方も注目される。

国光氏は2017年選挙で、約5800票差で青山氏を退けた。前回21年は約1万2千票と差を拡大。元厚生労働省職員で医師の立場や政務官経験などの実績を強調し、浸透を図る。

青山氏は17年に希望の党から出馬し、比例で復活当選。前回は立民で比例復活した。地元土浦市出身で県議当時からの幅広い支持や連合茨城の組織的支援を背景に支持拡大に努める。

■与野党対決の激戦に 7区

茨城7区は前回、選挙区初勝利で6選を果たした自民現職で前文部科学相の永岡桂子氏(70)と、当選15回を重ねる立民現職の元建設相の中村喜四郎氏(74)が激突する構図が予想される。

永岡氏は前回、公明の推薦を得て「与野党対決」を鮮明化。選挙区内の全8首長や県議団など組織力を背景に初の選挙区勝利をもぎ取った。前文科相の実績を強調し、地盤固めを図る。

中村氏は前回、それまでの無所属から一転、立民から立候補。「与野党伯仲」を掲げ、後援会「喜友会」とともに支持拡大を訴え、比例で復活当選した。野党共闘の動向が注目される。

前回、新人を擁立した維新と、候補を立てなかった共産に動きは見られない。

■首長選は8市町 議員選は11市町村
県内の首長選は4月の常陸大宮市長選を皮切りに8市町で実施する。議員選は東海村や潮来市など11市町村で行われる。

【2024年の首長選日程】
市町村 投票日・任期満了日
常陸大宮市 4月14日投票
石岡市 4月21日投票
常総市 8月2日任期満了
八千代町 9月5日任期満了
大洗町 9月21日任期満了
つくば市 11月16日任期満了
守谷市 12月5日任期満了
古河市 12月15日任期満了

【2024年の市町村議会議員選日程】
市町村 投票日・任期満了日
東海村 1月21日投票
潮来市 1月28日投票
取手市 1月28日投票
河内町 2月4日投票
守谷市 2月4日投票
神栖市 2月4日投票
つくばみらい市 2月4日投票
那珂市 2月18日投票
大子町 3月17日投票
阿見町 3月24日投票 
常陸大宮市(補選) 4月14日投票
つくば市 11月29日任期満了

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