天然トラフグ「福とら」相馬でブランド化、期待の星に堀潤も大満足!

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「激論サミット」のコーナーでは、福島の水産業を盛り上げる術について議論しました。

◆処理水放出で風評被害の現状は!?

今回の議論に先んじて、キャスターの堀潤は福島・相馬市へ。8月24日に東京電力福島第一原発の処理水が海洋放出された後、地元漁業にどんな影響が出ているのか取材に向かいました。

相馬市・松川浦漁港の漁師・石橋さんに話を聞いてみると「放出前は本当にシビアな状態で、『福島の魚はいらないから』という事前情報もあったので風評被害が出てしまうのかなと思ったが、市況の変化というのもあり、これが風評による被害なのか、市況による変化なのかが自分たちはまだわからない」と現状を語ります。

ただ、「例えば、他県産の同じものがあったら福島県産は安く買われる現実はある。そういった意味では風評はまだ根強く残っている部分は一部あると思います」と風評被害についての実感を語る一方で、福島を応援する声も多くあるとか。「遠くのお客さんが福島の魚を食べたいと、福島の魚を食べて応援してくださる方が多く見られるので、自分たちはそこに対してより良いおいしい魚、まだ知られていないもっとおいしい魚を伝えていけたらと思っています」と感謝と同時にさらなる奮起を誓います。

この時期、福島の漁場ではヒラメやシラスなど旬の魚が目を引くなか、昨今、最も注目されているのが"トラフグ”。震災前は年間1~2匹しか獲れなかったものがこの10年で様変わりし、近年は水揚げが急増。このトラフグで福島を盛り上げようと"福とら”と名付けてブランド化しました。

「西の下関・東の相馬と言われるくらいトラフグの食文化を広げていきたい」と石橋さんは抱負を語りつつ、「初めてトラフグを食べて『なんで今まで食べなかったんだろう』と思うぐらい本当においしかった。刺身もいいですけど、唐揚げがおいしい」と太鼓判を押します。そして、「トラフグに限らずもっともっとおいしい魚がたくさんあるので、それももっと知ってもらいたい」とアピールしていました。

◆福島の漁業関係者が期待を寄せる"福とら”

堀は相馬市を訪れた際、福島の新たな特産品として注目されている"福とら”を、市内にあるお店「割烹やました」で試食したところ、お刺身、唐揚げともども絶品で、ご満悦の様子。

「割烹やました」の鈴木さんは、「他にはない唯一無二の魚でもあるトラフグが相馬市でたくさん水揚げされる。それはたくさんの可能性が広がる」と"福とら”に期待を寄せます。

そして、「東京の豊洲市場にしても、水産関係の方たちが福島県産のものを一生懸命発信してくれていた。水産で日本がひとつになった力強い応援を感じた」と多くの方々の協力に謝意を示し、「そうした声に応えて、福島県もさらに頑張って、安心安全なものを一生懸命発信し、提供していきたい」と話していました。

福島のトラフグ漁獲量は、2019年0,2トンだったものが一気に増加し、2022年には36トン。

そうした背景もあり、福島県の漁業関係者は"福とら”に大きな期待を寄せるも、福島沖でいつまでトラフグが獲れるのかは定かではありません。そこで今はさまざまな対策を自力で行っているとし、堀は「もっとこの分野に投資がされて、資金のサポートもあっていいのではないかと思う」と意見します。

処理水放出の影響、風評被害による打撃を受けている水産業者に対して、国は現状、漁業関係者への支援として政府基金から補助金を捻出しています。風評被害対策として300億円をネットなどの販路拡大、一時買取や冷凍保管などに使い、漁業の継続支援として漁場開拓の経費や燃料など費用削減の取り組みなどに500億円の補助を出していますが、堀はこれが今後どのような投資になっていくのか注視すべきと言います。

◆大事なのは情報を発信し続けること

処理水は11月20日に3回目の放出が完了し、約2万トン(タンク16基分)が減少。これは当初の想定を上回る減少量で、今後は今年度中に約3万1,200トン(タンク30基分)を放出予定。当初は放出に関する報道が盛んに行われていましたが、3ヵ月以上が経過した今ではそれほど情報は発信されていません。

こうした状況に、エッセイストの小島慶子さんは「大切なのは世間が気にしているかどうかに関わらず情報を出し続けること」と言います。加えて、「地元の漁業関係者の皆さんに安心してもらえるようにすることも重要。情報が常に公開されていることは基本であり、それが一番大事なことだと思う」と主張。

現在、国は処理水放出開始日から原則的に原発3km圏内の10箇所で毎日トリチウム濃度を計測し、翌日に結果を公表しています。これまで処理水放出口付近のポイントの海水から1リットルあたり最大22ベクレルを検出していますが、残りの9箇所は検出下限値未満。しかも、この22ベクレルという数字も他と比べるとかなり低く、WHO(世界保健機関)による飲料水基準は1万ベクレル、東電が定める放出停止基準は700ベクレルで、不安を煽るような数字ではありません。

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは「(処理水は)他の国も出しているし何が問題なのか。(処理水に含まれる)トリチウムは水道水にも少なからず含まれ、少量であれば問題ないと言われている」と肯定的な姿勢を示します。

◆福島の水産業を盛り上げるためには?

堀は「福島を取り上げるときは不安や懸念の話題が多くなり、情報のバランスが悪すぎる。東京の放送局で福島の地域の奮闘を伝えたい」と思いの丈を熱弁。

そしてコメンテーター陣に、福島の水産業を盛り上げるためのアイデアを伺います。

由井さんは、"発信チャンス、ブランディングせよ”とメディアの報道の仕方に糸口を求めます。

「報じるときはマイナスからのスタートで『でも安心だから大丈夫』とゼロに戻す発信しかしていなかったが、今は"福とら”もあり、すごくチャンスで、マイナスからゼロに戻すのではなく、『おいしいから食べよう!』と"安心”ではなく"おいしい”でブランディングできる。しかも、今は特にみんなで福島を盛り上げたいという流れはあると思うので、ぜひ頑張ってほしい」とエールを送ります。

小島さんは、"福とら”のゆるキャラ制作を提案。しかもデザインまで描いており、堀を驚かせる一幕も。

キャスターの豊崎由里絵は、いつでも福島産の食べ物が簡単に手に入るように"流通”に期待します。

総じて堀は、「今回は"福とら”に注目したが、"福とら”がなくなっても大丈夫。他にもおいしい魚種がいっぱいあるのに知らないだけ」と福島には多くの魅力があると話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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