【早出し】40年超、親しまれ閉館 山形のホテルキャッスル

従業員に見送られ、親しんだホテルを後にする宿泊客=山形市・ホテルキャッスル

 山形市十日町4丁目のシティーホテル「ホテルキャッスル」が31日、閉館を迎え、営業を終了し、最後の宿泊客を送り出した。利用者からは惜しむ声が聞かれた。運営するケン・山形ホテルマネジメント(東京)によると、閉館は建物の老朽化による建て替えのためとしているが、具体的な予定などは未定となっている。

 最後の宿泊では、全152室のうち100室以上が埋まり、ツインタイプはほぼ満室だった。青森市の会社員佐藤勝哉さん(40)=上山市出身=は家族4人で滞在した。佐藤さんは「4歳の長女が生まれてから毎年訪れていたので、寂しい」と振り返った。12月上旬に結婚式を挙げたばかりで、ともに特別支援学校で教員をしている米沢市の井上正伸さん(30)詩織さん(30)夫妻は朝食を楽しみ、「結婚式は丁寧に対応してもらい、とても思い出に残った」と話した。

 最後の宿泊客を見送った後、スタッフはロビーに並び、大島一雄総支配人が「皆さまに親しまれ、山形のかけがえのない施設として認めていただいた」などと感謝の言葉を述べた。

 社員約50人は一部が残る業務への対応を続け、他の従業員はグループホテルへ異動する他、県内の別のホテルなどに転職する。ホテルキャッスルは1981(昭和56)年4月に開業した。2007年、同ホテル運営を中心とする八千代グループの再編により、不動産業のケン・コーポレーション(東京)に事業が引き継がれた。

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