茨城県出身ユニット「いばらく」 落語の力で魅力度アップ 茨城の話題ふんだんに

「いばらく」の立川志のぽんさん(左)と柳亭市寿さん

茨城県内出身の落語家2人によるユニット「いばらく」が、茨城の話題をふんだんに盛り込んだ落語の力で「魅力度最下位」の茨城県のイメージを変えようと、各地での公演や創作などに活発に取り組んでいる。2人は「魅力発信の一翼を担いたい」と力を込める。

■一層の浸透へ

ユニットを組むのは石岡市出身の立川志のぽんさん(47)と、取手市出身の柳亭市(いち)寿(じゅ)さん(39)。2020年1月に活動をスタートさせた。

県内でも水戸市などは落語会が盛んだ。一方、いばらくは、落語になじみが比較的少ないと思われる地域を巡って公演している。茨城出身という共通点を入り口にして地域に入り込み、落語文化の一層の浸透を目指す。これまで県内20市町村で計75回の公演を行った。市寿さんは「新しい場所に行った時に『ああ、いばらくさんね』と言われたり、技術的な成長もあり、だんだん名前が通ってきた」と手応えを話す。

演目は観客の年齢や会場の空気に合わせ、即興的に決める。また、特産品などその土地ならではの話題を盛り込もうとネタ探しを欠かさない。会場となる場所は事前に2回ほど周辺を歩く。2人は「行ったことのない場所がこんなにあったのか」と痛感したとし、「今が一番、茨城の魅力を語れる」と口をそろえる。

■創作のヒント

茨城県産の新作落語づくりも視野に入れる。古典落語には「紋三郎稲荷」や「ガマの油」など茨城から生まれた演目があるものの、数は少ない。創作のヒントとなるのは茨城県企業とのコラボだ。創業エピソードや苦労話は「話に骨がある」ことが多く、しゃれや笑いを交ぜ込み、落語として昇華できる可能性を秘める。

志のぽんさんは「古典落語を継承するだけでなく茨城ならではの話を作れれば。僕たちと県のどちらにも大切な財産になるはず」と模索する。

■すごい部分を

活動の中で、改めて茨城県の「魅力度最下位」に違和感を覚えた2人。「ギャップがある方が断然面白い。最下位だけどここはすごい、という部分を押し出したい」と志のぽんさん。市寿さんは「最下位はネタにしやすい部分もあるが、だからこそ落語の力で茨城を持ち上げたい」と意気込む。

7日に地域交流センターいわま(笠間市下郷)、21日につくば市ふれあいプラザ(同市下岩崎)で新春寄席を開く。問い合わせは、いばらく事務局(電)090(6009)8881。

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