「私、4年に1歳しか年を取らないから…」「うるう年」は天体のゆらぎが引き起こす現象⁉ 1年は365日じゃなかった!

今年、2024年は令和6年で辰年です。7月には、フランス・パリでオリンピックが開催され、渋沢栄一がデザインされた新たな1万円札が発行されます。さらに、もう1つ大きな特徴があります。「うるう年」です。

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4年に1度、2月が29日まである「うるう年」。実は、地球が太陽の周りを1周するのに掛かる日数はきっかり365日ではありません。正確には365.2422日です。紀元前の昔、この事実に気づいた人類は、毎年溜まってしまう「端数」の約6時間を処理するため、4年に一度2月に1日追加したのです。「ズレ」を放っておくと大切な宗教催事や農耕の区切りを示した暦と実際の季節の間がどんどん開いていってしまうからです。

2月29日生まれの人だけの“持ちネタ”
「私は4年に1度しか誕生日が来ないからみんなより若いの」
という冗談を冷たくかわした人は少なくないでしょう。もし、そうであれば見た目はともかく、年齢は若くなります。しかし、実際にはそういうわけにはいきません。

オリンピックとうるう年の複雑な関係

実際は「年齢計算ニ関スル法律」が適用されることになります。この法律では、年齢を計算する時に生まれた日を初日に算入することを定めています。例えば、2024年2月29日生まれの人は、翌年の2月28日の24時に満1歳になるということです。法律上では、実際の誕生日の前日に年を取るということです。

「うるう年」は、オリンピック開催年と覚えている人も多いと思います。東京オリンピックも本来であれば2020年、「うるう年」に開催される予定でしたが、コロナ禍で1年延期して無観客開催となりました。

「うるう年」とオリンピックの関係は第1回アテネ大会が1896年に行われたことから始まります。1896年が「うるう年」だったのです。しかし、オリンピックの開催年が必ずしも「うるう年」とは限らないのだそうです。これは4年ごとに1日追加するだけでは“誤差”を完璧にが解消できないため、3つの法則を作って「うるう年」を定義しているからです。

これに当てはめると1900年のパリ大会は、100で割り切れたので、「うるう年」ではありませんでした。これを平年と呼びます。一方、2000年のシドニーオリンピックも100で割り切れたので平年、と思いきや「法則3、400で割り切れる」が適用され「うるう年」となりました。

「迷惑だからやめて」“うるう秒”の調整は不評⁉

「うるう年」ならぬ“うるう秒”も存在します。これは地球の回転速度にムラがあることから、自転と300年に1秒の誤差しか生じない高精度の「セシウム133原子時計」の時刻との間に差ができるのが原因です。この解消のため、国際機関が1秒を「足したり、引いたり」してます。

国立天文台のホームページでは「1972年にうるう秒による調整が開始されて以来、2014年末までに25回の“うるう秒”(いずれも1秒を挿入)が実施されました」と説明されています。

しかし、この“うるう秒”の調整はデジタル全盛時代には迷惑な行為だというのです。2012年に行われた1秒の挿入により、航空券予約サービスやSNSサイトなどのサーバーで世界規模の障害が発生。“うるう秒”によってどのようなトラブルが起こるか予想がつかないため、IT業界からブーイングが起こりました。そのため、これを受けた国際度量衡局(BIPM)は2035年までに“うるう秒”に変わる対応策を考えることになっています。

天体の「ゆらぎ」が生み出す特別な1日を有意義に

日本では「うるう年に『逆打ち』(逆回り)で四国八十八ヶ所巡りをするとご利益が3倍」「うるう年にお墓や家を建てたり、車を買ってはいけない」などさまざまな言い伝えが残る「うるう年」。アイルランドなどでは、2月29日に女性からのプロポーズを受けた男性は断ってはいけないという“ロマンチック”な伝統もあるようです。

地球の自転と公転の「ゆらぎ」によってもたらされる特別なプラス1日をあなたなら、どのように過ごしますか。

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