勝ち点を積み上げ、一歩一歩着実に 2024年もレノファ山口FCとともに!

 上位2チーム以外に、レギュラーシーズン終了時点で3位~6位のチームがJ1昇格プレーオフに進めた2023年シーズン。J1に上がるチーム数が3となる絶好機会だった昨季、プレーオフ進出圏内の「6位以内」を目標に戦ったレノファ山口FCのJ2リーグでの戦績は、10勝14分18敗、勝ち点44で、22チーム中20位。辛くも残留はできたが、J1昇格への厳しさや苦しさを痛感したシーズンだった。この特集では、J2昇格から8年目の昨季を10試合ごとに振り返るとともに、選手の個人成績、渡部博文社長へのインタビュー、池上丈二選手と沼田圭悟選手のコメントをお届けする。

 

 

1~10節(2月18日~4月16日)

 

 ホームでの開幕戦には雨の中、4596人のサポーターが集まった。Jリーグデビュー戦となった#32五十嵐太陽選手や大宮アルディージャから移籍した#6矢島慎也ら新加入選手5人を先発に起用。集中力を切らさないプレーの中、後半27分に♯6矢島選手が先制し、1点を守りきった。3年ぶりに開幕初戦を白星で飾り、幸先の良いスタートとなった。

 

 ホームでの第6節(藤枝MYFC戦)は、開始早々、激しくボールを奪い合う中、前半7分に先制されてしまう。同32分にもミスから追加得点を許し、シーズン初の無得点0-3で3連敗。勝ち点7、順位は13位と後退した。

 

 第10節(清水エスパルス戦)では、昨季までJ1だった相手の、好機を逃さないプレーの前に前半で2失点。何とか追いつきたいと選手交代、フォーメーションを変更して後半に臨むも、悪天候のため試合は二度の中断を余儀なくされた。パスミスや相手の堅い守備と圧倒的な攻撃で4点を追加され、チームワーストの6失点で0-6と大敗。順位も17位まで落とした。

 

 

11~20節(4月22日~6月11日)

 

 ドロー3試合を挟んだ第14節(ザスパクサツ群馬戦)は、試合開始から果敢に攻めるもゴールネットを揺らせない。前半15分、相手に先制を許した後もチャンスを作るが、好守に阻まれる。後半16分、#32五十嵐選手のプロ初ゴールで追いつくが、すぐに勝ち越され1-2で惜敗。7試合連続で勝利できず、勝ち点14、順位は18位に後退した。

 

 翌5月8日、2021年9月から指揮を執ってきた名塚善寛監督の退任と、中山元気トップチームコーチが暫定的に監督に就任することが発表された。

 

 第15節(徳島ヴォルティス戦)は、中山監督が指揮を執る初試合だったが、前半に2失点。後半16分に1点を返すと同40分、#3ヘナン選手のゴールで追いつき同点に。意地で粘って、引き分けに持ち込んだ。

 

 

 2位の東京ヴェルディとの第17節は、数的不利な中決定機も作れず、0-2で終了。順位は21位と、J3降格圏内に。

 

 アウェイで迎えた第18節(水戸ホーリーホック戦)はGKの#21関選手が離脱から12試合ぶりに復帰。後半16分、#11田中稔也選手がPKを確実に決めて先制すると、水戸の攻撃を全員で防ぎ、0-1で辛勝。11試合ぶりに勝ち点3をもぎとり、中山監督体制における初勝利を挙げた。

 

 5月29日、チームはアルゼンチン出身でジェフユナイテッド千葉での監督経験があるフアン・エスナイデル氏が新監督に就任すると発表した。

 

 

21~30節(6月18日~8月12日)

 

 第21節(ベガルタ仙台戦)は2-0で勝利。エスナイデル監督の初白星は、開幕戦以来4カ月ぶりのホームでの勝利だった。

 

 2引き分け後の第24節(モンテディオ山形戦)は、守備が光った試合に。後半16分、上がったクロスに#14沼田圭悟選手がダイレクトで合わせて先制。堅い守備で1点を守り切り、4戦無失点で勝利。勝ち点27、順位を17位に上げた。

 

 第25節(V・ファーレン長崎戦)も白星を挙げ、今季初の連勝。しかしその後は、引き分け、黒星と勝ち点3をなかなか得られない。 第28節(ジェフユナイテッド千葉戦)は、前半だけで3失点。後半にも1点追加を許し、0-4で大敗。勝ち点は31、順位は19位と後退し、降格圏内から抜け出せず、その後も引き分けと黒星で順位を20位にまで落とした。

 

 

31~42節(8月20日~11月12日)

 

 下位チームが団子状態の中、抜け出すために勝ち点を積めば一気に抜け出せる可能性もある。第36節(ザスパクサツ群馬戦)は、今季最後のホームでのナイトゲーム。スコアレスで折り返すと後半24分、途中出場の#26野寄選手がシュートを放ち、そのこぼれ球を#24梅木翼選手が滑り込みながらシュートを決め、先制。4試合ぶりの勝ち点3を得た。

 

 J3降格圏から抜けたい20位のレノファの第39節の相手は、J1昇格プレーオフ圏内に入りたい9位のファジアーノ岡山。双方激しく攻め合う中、前半28分に#24梅木選手が先制。岡山の猛攻を#21関選手が鉄壁の守りでセーブし、1-0で後半へ。しかし、攻め込まれる時間帯が増え2失点。このまま終わるのか、と思ったアディショナルタイム、FKを得たレノファのキッカー、#10池上選手は直接蹴り込み、見事ゴール!レノファの「最後まであきらめない」サッカーが勝ち点1を引き寄せた。

 

 

 他チームの試合結果により、前日にJ2残留が確定していたレノファ山口のホーム最終戦、第41節の相手は優勝を決めている町田ゼルビア。来季はJ1に昇格する相手に対して0-2で完敗。ホーム最終戦の黒星は、6年連続。最終節の第42節(ロアッソ熊本戦)も1-3で敗れ、勝ち点は44、最終順位は20位でシーズンを終えた。

 

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 プレーオフ圏内のトップ6を目指したものの、J2の残留争いとなった昨季。ギリギリで残留は果たしたが、決定力不足は否めず、総得点数はJ2の22クラブ中最下位の37と苦しいシーズンだった。5月以降は新型コロナウイルス感染症も5類となり、声出し応援などコロナ禍前の運営に戻ったものの、最多観客動員数は2022シーズンよりも少ない7022人と、観客数も戦績に比例するように伸び悩んでいる。

 

 今年のシーズンは、志垣良新監督が指揮を執る。「攻守において自分たちからアクションを仕掛けるサッカーで、サポーターに来てよかったと思ってもらえる試合をしていきたい」と語る志垣新体制で迎える今季、勝利を目指してひたむきに戦う選手たちに注目し、応援しよう。

 

 

チーム力を上げて、ホームで勝つ強いレノファに 渡部博文社長に聞く

 

 2022年の現役引退直後にレノファ山口FCの代表取締役社長に就任した渡部博文さん。1年目の振り返りとチームの課題や、今季の目標について聞いた。

 

 

―昨季の総括を。

渡部 勝ち点44、20位という順位が物語るように、なんとかJ2に残留できた苦しいシーズンだった。ボールを保持している時のミスや、セットプレーでの失点で、勝ちきれない、追いつかれる試合が数多くあった。途中で名塚善寛監督からフアン・エスナイデル監督に交代。厳しい決断だったが、「チームがいい方向に進む」ことを常に考えて判断してきた。

 

―課題は?

渡部 課題の一つが得点力。上位のチームは、セットプレーやクロスからの得点を確実に決めている。効果的にゴール前にボールを持って行き、得点することが重要。また、失点しない守備が最低限必要なミッション。ミスをシーズン内に修正、改善することも大切だと思っている。そんな中、若手で伸びた選手もおり、光るプレーも見られたと思う。

 

―減少が続く入場者数について。

渡部 来場者数を増やす取り組みは、もっとできることがあったと感じている。コロナ禍前の2019シーズンの平均入場者数が5653人で、昨季が4407人。今季は1試合平均5000人台、ホームでの試合のうち、1万人の来場を4試合は目指したい。ここ5年、上位争いに絡むことができず、サポーターにとってはストレスになっていたと思う。みらスタに試合を見に来てもらうには、チームを強くすること、チーム規模を上げていくこと、この両軸が重要。そのために、新しい取り組みも行っていく。

 

―サポーターに一言。

渡部 昨季は苦しいシーズンとなってしまったが、その中で課題も明確になった。しっかり修正して、新しく迎えた志垣良新監督のもと、ホームで勝つ、強いレノファにしていく。一緒に戦っていきましょう。応援、よろしくお願いします。

 

 

「まずはしっかり土台を作る」 2024シーズンに指揮を執る 志垣良・新監督

 

 2024シーズンは、志垣良・新監督が指揮を執る。就任会見では「攻守において、自分達からアクションを仕掛け、選手の特徴を生かしたチームにしていく。まずはしっかりと土台を作りながら、目の前の試合に集中し、勝ち点を積み上げたい。足を運んでくれるサポーターの皆様に来て良かったなと思っていただけるようなサッカーを表現できたら」と話した。

 

 

【プロフィル】

 1980年生まれ、福岡県出身。東福岡高校卒業後、1999年から2001年まで英国でプレー。2006年に帰国後は、指導者として、アビスパ福岡、ジェフユナイテッド千葉、京都サンガFCなど、J1、J2、J3リーグのクラブでコーチや強化部スタッフなどを歴任。のU18監督などを歴任した。23年、FC大阪(J3)の監督に就任し、11位の成績を収めた。J2チームの監督は初めてとなる。座右の銘は「起こる全ての事象に理由がある」。

経験を糧に、さらなる飛躍を 池上選手、沼田選手にインタビュー

 

「勝利に導くプレーを目指す」 池上丈二選手

(背番号:10 ポジション:MF)

 

 昨季はチームの目標「トップ6」を達成できなかったことに加え、自身も、もっとチームを勝利に導けるプレーをしたかったが叶わず、悔しいシーズンでした。

 

 そのような中で印象に残っているのは、ホームでのファジアーノ岡山戦(第39節)です。自分が直接フリーキックを決めることができたのは良かったが、勝利できず口惜しかったです。

 

 今季はもっと多くの勝利をサポーターの皆さんと喜び合えるように頑張ります。また、毎日の練習だけでなく、食事や睡眠など生活面も含めて真面目に取り組むことを、プロ選手として大切にしていきたいと思っています。今季も応援よろしくお願いします!

 

 

「『チームに何が必要か』を考えて動く」 沼田圭悟選手

(背番号:14 ポジション:DF)

 

 

 「10ゴールに絡む」を昨季の目標として臨みましたが、結果は2ゴール3アシスト。ホームでのモンテディオ山形戦(第24節)では、自身のゴールでチームを勝利に導くことができました。結果を出せた試合もありましたが、失点に絡む試合も多かったので、満足していません。

 

 「ベテラン」と呼ばれる年になってきたので、クロスやヘディングなどの精度を上げるとともに、シーズンフル出場できるよう体を整えることを大切にします。そして、「チームに何が必要か」を考えて行動したいです。

 

 今季は、応援してくれる人が笑顔になれるような年にします!これからも応援、よろしくお願いします。

 

 

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