犬が『うつ病』になっている初期症状3つ 精神疾患にかかる原因と飼い主にできる改善のコツとは?

犬が「うつ病」になっている初期症状

近年増加傾向にあると言われている犬の「うつ病」。犬は人間の言葉で意思伝達ができない分、飼い主がきちんと初期の段階で気づいてあげる必要があります。

そこで今回は、犬が「うつ病」になっている初期症状について解説します。手遅れになって後悔しないよう、きちんと確認しておきましょう。

いたずらが増える

いつもは落ち着いて過ごしている犬が、ソワソワと落ち着かない様子で歩き回ったり、これまでしなかったようないたずらをくり返したりするようになったら、精神的な負担を感じているかもしれません。

精神的な負担やストレスは、うつ病の大きな要因のため、放っておくといたずらや粗相が増えていくことがあります。

さらに、穏やかだった犬が攻撃的になったり、同じ行動をひたすらくり返す(常同行動)ようになったりします。

食欲がなくなる

普段はきちんと食事をする犬が、いつもと同じものを出しても残すようになったり、食べ物に対して喜ばなくなったりした場合、うつ状態になってきている可能性があります。

ストレスを抱えているときは食欲がなくなってしまうこともありますし、さらに悪化して無気力になってくると、食事に対しても関心がなくなってしまいます。

そのため、体調不良でない場合に食事を食べなくなったり、普段は喜んでいたおやつに興味を持たなくなったりしたら、うつ症状が出ているのかもしれないと考えてみてください。

呼びかけへの反応が鈍い

うつ状態になると、ぼんやりとして過ごすことが増えてきます。色々なことへの興味や関心が薄れてきて、飼い主さんの呼びかけにもすぐに反応しなくなることがあります。

これまでは遊びや食事、散歩の誘いにすぐに乗ってきていた犬が、あまり反応しなくなったり、喜ばなくなったりするときは注意が必要です。体調に問題がない場合は、うつ状態で落ち込んでいる可能性も考えてみてください。

さらに悪化すると完全に無気力になってしまい、何をするにも意欲を持てなくなって、声をかけても反応しなくなったり、表情がなくなったりしていきます。1日中眠っていることもありますし、反対に不眠など睡眠障害を起こすこともあります。

犬が精神疾患にかかる原因

うつをはじめとする精神疾患に犬がかかってしまう原因には、様々なものが考えられますが、その根本には「ストレス」があります。特に精神的なストレスが大きくかかると、うつ症状を引き起こす可能性があります。

犬が強いストレスを感じることには、以下のようなことが挙げられます。

  • 環境の変化
  • 飼い主さんとのコミュニケーション不足
  • 家庭内の不和(家族の喧嘩、飼い主さんの精神不安定)
  • 厳しすぎるしつけ
  • 退屈、運動不足

引っ越しや模様替え、家族が増えたとき、新しいペットを迎えたときなどは、愛犬の様子をしっかりと確認して、いつも以上に関わりを持ってケアすることが必要です。

また、飼い主さんが忙しくなかなかかまってあげられないことが続くと、ストレスが溜まっていってしまうことが多いので注意しましょう。

犬の精神疾患への適切な対応

犬にうつ症状が見られたら、飼い主さんはまず「原因」を考えてみてください。ストレスが原因であっても、そのきっかけは上記の通り様々で環境の変化であったり、飼い主さんとのコミュニケーション不足であったりします。

原因を探って目星がついたら、それに対する改善策を考えましょう。

飼い主さんが忙しく過ごしている日々が続いていた場合は、愛犬とのコミュニケーションやスキンシップの時間を増やしましょう。また、ただ触れ合うだけでなく、ノーズワークなど犬が頭を使って取り組めるような遊びを提供してあげることもおすすめです。

犬は元々仕事をしていた動物なので、何もしない生活が続くと退屈を感じてしまうことがあります。そのため、遊びやトレーニングなどで精神的な刺激を与えることも必要なのです。

精神疾患の中でも、飼い主さんと離れられなくなってしまう「分離不安症」に陥っている場合は、1人で過ごせるように自信と経験を与えてあげましょう。関わる時間を決めてメリハリをつけた生活をしたり、飼い主さんが同じ家の中にいる状態から一人で過ごす時間を少しずつ作っていき、短い時間から留守番トレーニングをしたりすることが大切です。

原因がまったく思い当たらなかったり、改善が見られなかったりする場合は、獣医師やドッグトレーナーなどに相談してみることをおすすめします。

まとめ

犬がうつ病などの精神疾患にかかることは、めずらしいことではありません。人間と同様にストレスを抱えて、心を病んでしまう犬もいる、ということを知っておいてください。

ここで紹介したような初期症状があらわれた段階で気がつけば、適切な接し方をすることで改善が見込めます。

愛犬の様子や行動におかしいと感じることがあれば、決して放置せずにしっかりと向き合ってあげましょう。

(獣医師監修:平松育子)

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