県政史上最多の5期20年目を迎えた現職の福田富一(ふくだとみかず)知事(70)は、11月に見込まれる知事選に向けた進退を明らかにしていない。議会答弁や記者会見など公の場ではいずれも「今は新年度予算編成に全力を注ぐ」と語り、去就に関する言及を避けている。
福田知事は下野新聞社の取材に対し、進退の判断時期は「予算成立後」、判断基準については「県民の思いや私自身の気力体力精神力、後援会の意向」などと答えている。続投となればさらに強い多選批判にさらされるだけに、今まで以上に慎重に判断するとみられる。
福田氏を支える自民党県連は、昨年9月に木村好文(きむらよしふみ)幹事長が水面下で続投を要請。同12月には板橋一好(いたばしかずよし)県議が一般質問で「知事の情熱と経験が必要」と6選出馬を促した。
知事が勇退を選んだ場合、高橋克法(たかはしかつのり)参院議員(66)が後継候補として挙がるが、年齢的に就任期間が限られるとして、党内にはより若い候補を求める声も出ている。中央から本県出身の官僚を連れて来る案もあるが、現時点で有力者はいない。
知事の本意がつかめない中、同県連は続投と後継の両にらみで準備を進める。公明党県本部は、知事や自民県連の意向を尊重する考えだ。
野党側にも動きはなく、立憲民主党県連は「擁立に向けた準備をしていく」との段階にとどまる。前回は無所属の新人候補が野党の推薦を拒んだ経緯があり、野党側がどのような枠組みで選挙に臨むのかも注目される。