新年の幕開けを告げる越前打刃物の初打ちが1月1日午前0時から、福井県越前市余川町のタケフナイフビレッジで行われた。白装束をまとった職人3人が伝統技法に倣い1本の包丁を鍛え上げ、1年の無事を祈願した。
タケフナイフビレッジ協同組合が設立当初から続ける恒例神事。今年で30回目を迎えた。古式鍛錬と呼ばれる技法を再現し、鉄を熱する「横座」を伝統工芸士の池田拓視さん(39)、鉄を打つ「相方」を矢村隆幸さん(36)、澤田隆司さん(23)が務めた。
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烏帽子(えぼし)に白装束姿の3人は午前0時、新年の訪れとともに初打ちを開始。かがり火がたかれた広場には時折強い風と雨が打ちつけたが、3人は終始厳かな表情で鉄を熱し鍛え続けた。静かな夜に槌音(つちおと)が響き、赤々とした火花が舞い上がる様子を、集まった観衆は息をのんで見守った。
鍛え上げた包丁は越前打刃物の開祖と伝わる刀匠、千代鶴国安を祭った神棚へ奉納した。