【能登半島地震】「不安と疲れで眠れず」 1400人、線路上で一夜  北陸新幹線4本停止 記者ルポ

列車内で一夜を明かす乗客=2日午前6時50分、JR金沢駅

 1日午後4時過ぎに石川県を襲った大きな地震は、帰省や旅行を楽しむ人の足も直撃した。北陸新幹線は地震発生直後から、安全確認のため金沢―富山間の線路上で計4本が運行を停止。「不安と疲れで眠れない」。2日午前3時過ぎに解消されるまで、家族連れら約1400人が車内で不安な一夜を過ごした。(北國新聞社会部・杉岡憲介)

 乗客によると、停車中の車内では1日午後10時ごろ、食料品とペットボトルの水が配られた。

 明け方に金沢駅に到着すると、半数以上の乗客が降車。移動手段が確保できないなどの理由で駅から動けない人は、在来線ホームに用意された休憩用の車両に移って午前9時ごろまで過ごした。休憩用車両ではペットボトルのお茶と防寒フィルムが渡されたという。 

 夫の実家がある能美市を4歳の息子と訪れる予定だったさいたま市の30代女性は、1日午後4時23分金沢着の新幹線に乗車したが、あと10分で金沢というところで地震が発生。その後、12時間、車内に閉じ込められた。

 金沢到着後、女性は「地震直後は停電と復旧を繰り返して恐ろしかった。私も息子も不安と疲れで寝られなかった」と疲れた表情を見せた。休憩用の列車には騒いでもいい子ども連れ用スペースがあり、「うちの子どもも騒いでいたので助かった」と感謝した。

 13歳の弟と長野へスキー旅行に行った帰り、地震に遭った金沢市の玉置悠良さん(16)は「夜10時ごろまで配給がなく、車内でおやつのグミとお土産のお菓子を食べた。停電中はトイレが使えず、電気が付くとまぶしくて寝られず大変だった。早く帰ってお風呂に入りたい」と家路を急いだ。

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