前回王者・学芸館 連覇の夢散る 全国高校サッカー、名古屋に敗戦

PK戦で名古屋に敗れ、引き揚げる学芸館の選手たち=千葉県柏の葉公園総合競技場

 サッカーの全国高校選手権第4日は2日、千葉県柏の葉公園総合競技場などで3回戦8試合が行われ、前回王者の学芸館(岡山)は初出場の名古屋(愛知)に1―1からのPK戦の末に敗れ、8強入りを逃した。

 【評】学芸館はPK戦の末に涙をのんだ。0―1の後半40分、FKからMF田口の折り返しをFW太田が右足で合わせて同点としたが、PK戦は2人が失敗し、5―6で力尽きた。堅守で主導権を握っていただけにロングスローから奪われた先制点が痛かった。10本あったCKなど好機を確実に生かしたかった。

 名古屋はセットプレーに迫力があった。

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 相手7人目のキッカーがネットを揺らすと、サックスブルーのイレブンはその場に崩れ落ちた。前回大会覇者の学芸館はサドンデスまでもつれるPK戦の末に名古屋に惜敗。初の連覇への挑戦は道半ばで終わった。

 旧チームから受け継ぐ「縦に速い」サッカーが本領を発揮したのは、失点後の後半途中から。MFの田辺、山河が攻撃のリズムをつくり、木下は果敢にシュートを狙う。終了間際にはFKからMF田口が頭で折り返した球をFW太田が右足でゴール左に流し込み、土壇場で追い付いてみせた。

 悔やまれるのは主導権を終始握りながら先制できなかったこと。シュート数は相手の5に対し、2倍近い9。「シンプルな相手の攻撃に合わせ過ぎた。後半のようなうちらしいサッカーをもっと早くしていれば」と高原監督は唇をかんだ。

 現チーム発足当初は県新人大会で4位。全国王者に輝いた旧チームと常に比較される中での戦いは想像以上に過酷だった。主将の田口は「先輩のバトンは重かったけど、その重圧を力に変えられた。やり切った」と涙を拭った。

 決めれば勝ちだったPK戦5人目のキッカーを務めた太田は2年生だ。「先輩に流させてしまった涙と、この無念は忘れない。最強のチームをつくる」。日本一奪還へ、リベンジを誓った。

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