清澄な世界「院展」岡山会場開幕 大作59点、日本画ファンら堪能

日本画のファンらが次々と訪れた「院展」岡山会場

 新春を和の美で彩る「院展」岡山会場(日本美術院、山陽新聞社主催、岡山県、岡山市共催)が2日、岡山市北区表町、天満屋岡山店6階葦川(いせん)会館で開幕した。初日から大勢の日本画ファンらが訪れ、清澄な作品世界を心ゆくまで堪能していた。

 近代日本美術の指導者岡倉天心らが1898年に創立した日本画の研究団体・日本美術院の公募展。天心亡き後、横山大観らが1914年に再興し、今回で108回目となる。

 会場には画壇の重鎮から地元の実力作家までの大作59点が並ぶ。雲海の中で朝日を受ける富士山の荘厳さを捉えた倉敷芸術科学大名誉教授・下田義寛同美術院理事の「御来光に浮ぶ」や静寂に満ちた空間で2本の樹木がしなやかに枝を伸ばす同人・手塚雄二氏の「双樹」など、気品に満ちた大作が入場者を魅了。金色に輝く霊峰に未来への祈りを重ねた瀬戸内市在住の同人・井手康人氏の「不二」も注目を集めていた。

 笠岡市の女性(78)は「新年早々に能登地方の地震で暗い気持ちになっていたが、心洗われるような大作を見てほっとした。一日でも早く被災地に日常が戻ってきますように」と話した。

 14日まで。無休。3日午前11時、午後2時から同人の西田俊英氏、小田野尚之氏、井手氏、中村譲氏がギャラリートークを行う。

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