子育て世帯が避難所を利用できなかった例も 災害時の女性特有のニーズ考える講演会、京都

阪神大震災や東日本大震災を振り返りながら地域防災について学んだ講演会 (木津川市役所)

 災害時の女性特有のニーズや課題について考える講演会「みんなで取り組む地域防災~男女共同参画の視点から考えよう~」がこのほど、京都府木津川市役所で開かれた。参加者たちは被災時に地域で助け合える関係づくりについて考えた。

 関西国際大客員教授の斉藤容子さんが講師を務めた。市民や市職員など約70人が参加した。斉藤さんは阪神大震災や東日本大震災、インドネシアで発生した津波被害などを振り返りながら解説した。

 斉藤さんは避難所運営について市のマニュアルなどを紹介し、「行政ではなく、避難者が自主運営するもの。事前に地域でどう運営するか考えて」と、地域連携の重要性を説明した。東日本大震災や熊本地震では、乳幼児の泣き声による迷惑を懸念したり、プライバシーが確保できず授乳に困惑したりといった理由で、子育て世帯が避難所を利用できなかった例を挙げた。

 ほかにも、備蓄品の生理用品をどう配るかや、ハラール食材など外国の食文化への考慮について話し、「年齢や文化など多様な視点を受け入れられる地域であるかどうかは、災害への備えに直結する。平時にこそ、地域の在りようについて考えてほしい」と呼びかけた。

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