寄り添って、結婚支援 地域の仲人「やまがた縁結びたい」活動から10年

「やまがた縁結びたい」の仲人として、30組以上の成婚を取り持った遠藤健二さん(中央)=県庁(県提供)

 県が地域の個人・団体のボランティア仲人を登録し、結婚を望む男女を支援する有志組織「やまがた縁結びたい」が、立ち上げから10年を迎えた。延べ5千組超のお見合いを仲介し、年20~30件ほどの成婚に結び付けている。当初から活動するメンバーは「結婚に対する価値観が多様化し、親への働きかけなども含め、相談者に寄り添った姿勢がより大切になる」と、時代に沿った婚活支援の重要性を強調する。

 「縁結びたい」は未婚・晩婚化が進む中、独身男女の出会いの機会を拡大しようと、2013年9月に活動を開始した。現在は県内の50個人、4団体と南陽市が登録している。昨年11月末現在、お見合いから交際に発展した2463組のうち245組が結婚している。

 お見合いは、県のホームページで公開する登録メンバーに連絡し、面談の上、プロフィルと写真を提出して申し込む。県は月1回程度の情報交換会を開いて各メンバーが担当するお見合い希望者同士を引き合わせる。年4回の研修会で仲人としてのスキル向上と登録者増加も図っている。

 県が関わる婚活支援には人工知能(AI)を活用したマッチングシステム「Ai(アイ)ナビやまがた」もある。県しあわせ子育て政策課は「人生の先輩に背中を押され、安心してお見合いや交際に臨める」と昔ながらの仲人の強みを強調する。

 一方で申し込みの7割が男性で、女性が少ないのが課題だ。本年度は定期的な個別相談会に加え、「婚活フェス」と題した集合型相談会を企画し、プロによるお見合い写真の撮影をプログラムに盛り込むなど、女性を含め、より多くの独身者が参加しやすいように工夫している。

 庄内地域の仲人としての登録者は2人のみで、地域的な偏りも課題となっている。同課の担当者は「市町村との連携を強化し、制度の周知と仲人発掘に努めている」と話す。県は先月14日、「縁結びたい」の活動を10年以上続け、30組以上の成婚につなげた遠藤健二さん(80)=山形市、阿部潤子さん(73)=同=を功労者として表彰。遠藤さんは「自分の子どもに接するように、結婚や育児の素晴らしさなども伝えてきた。経験を生かし、若い仲人の育成にも力を入れたい」と、さらなる縁結びに向け意気込みを語った。

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