【能登半島地震】背丈ほどの津波、住宅流され火災も 能登町・白丸 本紙記者ルポ

津波で倒壊した住宅=2日午前11時、能登町白丸

 大量の木材が道路を埋め尽くし、住宅は白煙を上げていた。2日午前に入った能登町白丸では、津波で住宅が流され、未明から火災が発生。自宅の様子を確認しようと高台の避難所から住民が続々と戻ってきていたが、跡形もなくなった家を目にし「ほんとに津波が来るなんて」「これからどうなるんや」とぼうぜんとした表情を見せた。(社会部・山科耀)

 町内では各所で道路に亀裂が入り、家屋も多数倒壊していた。白丸地区に到着すると磯の香りにすすけた匂いが混じる。未明からの火災では少なくとも10軒が燃えた。2日午後には概ね鎮火したものの消火活動が続いていた。倒壊した家屋を肩を落として眺め、大切にしていた品を探す住民の姿が見られた。

 住宅の2階部分が津波に流され、基礎だけになった会社員の女性(29)は「何がどうなったんか全く分からん。今は何も考えたくない」と話した。30年以上住んだ住宅に背丈ほどの波が押し寄せた大形格さん(62)は「こんなでかいもんが来るなんて想像もしとらなんだ」とこぼした。

 避難所の白丸公民館には、約180人が身を寄せ、届いた飲料水を高齢者から若者までリレー形式で運び込んでいた。岩前純悦区長(76)は「もう家には住めんやろう。これからどうなるんか不安や」と語った。

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