「良い海とはきれいか汚いかで決められない」 京都・久美浜湾考える勉強会

久美浜湾の特色について語る舩越さん(京丹後市久美浜町・久美浜福祉センター)

 京都府京丹後市の久美浜湾の水質や生態について考える勉強会が、同市久美浜町の久美浜福祉センターで開かれた。府海洋センターの舩越裕紀さん(37)が講師を務め、身近な住民が湾をどのような状態で保全していくかを考える大切さを強調した。

 舩越さんは同湾や天橋立の内海・阿蘇海を研究し、地形や気候の特色を踏まえ、数年間にわたり水質の変容を記録してきた。

 舩越さんは同湾について、東京湾や静岡県の浜名湖のように海への入り口が閉鎖的な特徴や、生活用水の排水で増えたチッソとリンを餌にする植物プランクトンが多く発生し、海が汚れて見えていた過去の姿を説明した。

 一方で、プランクトンは湾に生息するマガキやトリガイなど二枚貝の餌になっていることを指摘し、浄化技術の進歩でチッソとリンが減り海がきれいになった半面、生物が住みづらくなった現状を紹介。「良い海とはきれいか汚いかの一言で決められるものではない」と投げ掛けた。

 久美浜湾を地域振興に生かそうとしている久美浜一区自治会が企画し、地元住民約30人が傾聴した。

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