高校サッカー 青森山田4日準々決勝

青森山田のエースストライカーに成長し、今大会で得点ランキング1位タイの4得点をマークするFW米谷=2日、駒場浦和スタジアム
青森山田のエースストライカーに成長し、今大会で得点ランキング1位タイの4得点をマークするFW米谷=2日、駒場浦和スタジアム

 第102回全国高校サッカー選手権は4日、さいたま市の浦和駒場スタジアムなどで準々決勝を行う。2大会ぶり4度目の優勝を狙う青森山田の攻撃をけん引する青森市出身のFW米谷壮史(3年)は2試合で4ゴールを挙げ、得点ランキング1位タイ。高校でスピード不足の課題と向き合い、左足のシュート力も身に付け、不動のエースに成長した。

 小学1年でサッカーを始め、同市の千刈FCから青森山田中高に進んだ。FWとして高い得点力を誇る反面、「ずっと足が遅かった」。中学時代の50メートル走の記録は8秒5。「このままでは高校でスタメンになれない」と危機感を持った米谷は高校入学後、瞬発力を高める練習に取り組んだ。

 当初は一人で隠れるように行ってきたが、鋭い突破が持ち味のMF川原良介、青森山田中時代からのチームメートFWデンハム公士理(こうり)ら同学年の選手から誘われ、一緒に汗を流すように。動画投稿サイト「ユーチューブ」に海外サッカー選手や陸上の専門家が投稿した動画を川原らが次々と紹介してくれた。

 「自分が知らない知識を持っている仲間がいてくれて助かった」と米谷。ハードルやはしご状の運動器具ラダーを使ったトレーニングで接地や基本姿勢など長距離向きだった走り方を短距離型に修正。50メートル走は6秒5までタイムを縮めた。

 さらに2年時の東北大会で利き足の右の甲を負傷したことを機に、苦手だった左足のシュート練習にも注力。午前6時台からの朝練と全体練習後の夕方、GK鈴木将永=青森市出身=が守るゴールにさまざまな角度から左足だけでシュートを打ち続けた。「今は左足の方が自信がある」と、けがの功名で新たな武器を得た。

 米谷のシュートを受けてきた鈴木は「両足と頭、どこでも点を取れるのは大きい。苦しい時に決めてくれる」と絶大な信頼を置く。

 今大会は初戦にヘディングシュートで1得点。2日の3回戦では左足と右足で計3点を決めた。

 「成長するきっかけをチームメートがつくってくれた。一人では絶対にできなかった。感謝しかない」と米谷。ともに練習に励み、今大会のメンバー入りを逃したデンハムは「壮史の活躍がうれしい。得点王になってほしい」と期待をかける。

 試合中、苦しい時はスタンドから声援を送るチームメートを見て気持ちを奮い立たせるという米谷。「自分の得点でチームを勝たせてみんなを喜ばせたい」。仲間の思いも背負い、次の昌平(埼玉)戦もゴールで沸かせる。

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