能登半島地震 富山・氷見で全世帯の6割断水 住民不安な日々「大きな余震起きたら…」

1階部分がつぶれた住宅(左)と酒販店=2日午後2時55分ごろ、富山県氷見市

 能登半島地震で震度5強を観測した富山県氷見市では、住宅や道路などの被害が相次いだ。余震がやまない中、半島に近い港町は断水にも見舞われており、住民は不安な日々を強いられている。

 半島東側の付け根に位置する同市は「氷見ブリ」で知られる港町。「京浜工業地帯の父」と呼ばれる浅野総一郎の出身地でもある。

 被害が大きかったのは、道の駅などが立地し、休日は観光客でにぎわう海沿いの北大町地区。道路上に液状化とみられる泥水の痕跡や隆起が複数確認され、通行ができない地点もある一帯で、木造2階建ての酒販店兼住宅の1階が押しつぶされ、2階が崩れ落ちていた。

 店をよく利用していたという男性(82)は「家人が消防隊員に救助されたのは良かった」としながら、「揺れがひどく、屋外に出たら建物が傾いていた。こんなに大きな地震が起きるなんて」と表情を曇らせた。

 傾斜した建物やブロック塀の崩落なども見られ、路上には割れたガラスが散らばる。住民は外れた引き戸の補修やガラスの片付けなどに追われていた。

 門が崩壊した寺の関係者(80)は「水道が使えなくなり、井戸水で生活している。1~2日はどうにかなるけれど、それ以降はどうなるのか」と不安を口にした。別の女性(49)は「大きな余震が起きたらどうなるのか。早く水道が復旧してほしい」と祈るように話した。

 市によると、3日午後4時現在、小学校など市内10カ所に114人が避難。約1万7千世帯の6割に当たる約1万世帯が断水に直面している。「詳しい原因は分かっておらず、復旧のめどは立っていない」という。

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