【能登半島地震】余震続き「帰れない」 氷見市姿地区

避難所で身を寄せ合って過ごす住民。余震におびえる日々が続く=氷見市の姿集落農事集会所

 石川県境に近い氷見市姿地区では家屋の倒壊・損壊の被害が大きく、約20世帯50人が姿集落農事集会所に自主避難し、寝泊まりを共にする生活を続けている。「帰りたくても家がつぶれそうで怖い」「海が近く津波が心配」。余震が続き、水道の復旧も遅れる中、住民は励まし合いながら不安な夜を過ごしている。

 「寝ていても、あの大きな揺れの光景を思い出す」。花木実さん(75)宅は1日の地震で大きくゆがみ、外壁の一部が崩落した。いつ倒壊してもおかしくない状況で「片付けの最中に余震が来たら死ぬかもしれない。あんな所おられん」と厳しい表情を見せた。

 集落の海に近い場所は海抜約4メートルで、「津波がとにかく怖い」と上田章枝さん(62)。家族4人で暮らす自宅は外壁が剝がれ、屋内の至る所に隙間があるという。復旧は見通せず「みんなで元気づけあってやっと生活できており、今を考えるだけで精いっぱい」と不安そうに語った。

 山本譲治区長(64)は「4日から皆さん仕事が始まり、今のような避難所運営を続けられるかは分からない。過ごし方も変わると思うが、みんなで助け合っていく」と話した。

 氷見市内では3日、天気が崩れる前に後片付けや損壊家屋の応急措置を進める住民の姿が目立った。

 北大町の元時計店が実家である藤巻弥生さん(57)=射水市=は、夫と長男の家族3人で壊れた玄関にブルーシートを張った。「雨が降るから急いでいた。探していたシートもようやく買えて良かった」と作業を終えて表情を緩ませた。

 中央町では、住民が協力し、液状化現象がもたらした砂や泥の除去に励んだ。

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