水が流せない避難所のトイレ 耐えられず断水した自宅へ戻る 能登地震で被災した沖縄出身者「きれいな水がほしい」

 発生から2日たった能登半島地震。石川県七尾市に住み、被災した那覇市出身で介護福祉業の宮城幸恵さん(56)は断水で飲み水がなく、自宅のトイレも流せない。水を探して金沢市まで出かけたが、2~3時間かけて店を回っても確保できなかった。

 1日、勤務する七尾市内の福祉施設で、利用者をトイレに連れて行こうとした際、横揺れに襲われた。天井からぱらぱらと白い粉が降り「何か落ちてくるのでは」とパニックになった。

 けがはなかったがその後、断水に苦しむ。ようやく連絡がついた中3の息子と避難所の小学校で合流できたものの、水の流せないトイレに汚物がたまっていた。お手洗いを我慢したが、「もう耐えられない」と2日昼には自宅に戻った。

 割れた皿が散乱する自宅でも断水が続く。七尾市に住んで9年目。「以前に大地震を経験した人は水を使わない体の拭き方とかも分かるけど、私は初めてで分からない。きれいな水がほしい」と訴えた。

 富山県立上市高校教諭の金城政博さん(58)=那覇市出身=は上市町の自宅で家族だんらん中、立っていられない横揺れが始まった。現在も1時間に1度の頻度で余震が続く。「緊張状態が続いている」と不安を漏らした。(南部報道部・又吉健次)

(資料写真)水道

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