【能登半島地震】「何としても助ける」 県対策会議で馳知事 市町に連携呼び掛け

甚大な被害が出た珠洲市宝立町で、倒壊した家屋や流された車両=3日午前11時32分

 石川県は3日夕、県庁で7回目の災害対策本部員会議を開き、行方不明者の生存率が下がる「発生から72時間」が迫る中で人命救助に全力を挙げる方針を関係市町などと確認した。馳浩知事は「今が人命救助のヤマ場。何としても助けたい」と連携を呼び掛けた。岸田文雄首相とオンライン会議で情報共有し、人命救助、物資や通信の確保、人員派遣などを要請した。

 各市町に多数いるとみられる行方不明者について馳知事は「氏名公表に向けて準備を進めている」と説明。奥能登の被災者を被害が少ない金沢などに運ぶことも検討しているとした。

 会議では3日午後3時時点の被害状況が報告された。七尾、宝達志水各1カ所でため池の堤防が崩壊し、避難指示が発令されたほか、畜産農家で停電18件、断水45件、施設損壊31件、道路の損傷が30件発生した。農林水産省は河北潟やため池などで被害状況を調査する人材を延べ25人派遣している。

 漁業関係では橋立を除く県管理の7漁港で防波堤、岸壁、臨港道路が破損。漁船の転覆や座礁、流出は少なくとも27隻で発生した。

 能登地域では焼却施設や排せつ物処理施設など計10カ所が使用できなくなった。これを受け、県は県内事業者のバキュームカーを輪島市、能登町へ派遣し、4日は珠洲市にも送る。災害廃棄物の仮置き場として同日から金沢市の戸室新保埋立場と小松市のエコロジーパークを設置した。

 このほか、国からのリエゾン(情報連絡員)派遣は、内閣府防災8人、経済産業省12人、総務省18人、農水省5人となっている。

 県は仮設住宅の提供に向け関係団体に協力を依頼。建設候補地について、県有地の活用を含めて検討を始めた。4日から、羽咋市以北の8市町で被災建築物応急危険度判定を実施する。

 県は4日から県庁と小松県税、東京、大阪の各事務所で義援金を受け付ける。

  ●仮設トイレ50基配送

 席上、経済産業省側が3日中に仮設トイレ50基が被災地に配送されると報告した。県も携帯トイレ3千個を輪島市門前支所に届けた。

  ●4日の馳知事年頭会見は中止

 馳浩知事は4日に予定していた年頭記者会見を中止した。地震対応のためで、幹部職員への年頭あいさつのみ行う。

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