社会的養護離れた「ケアリーバー」 長崎のNPOが初の支援拠点 カフェ併設、気軽に立ち寄れる場へ    

当事者がWi―Fiサービスなどを無料で利用できる「居場所」。宮本理事長(右)は「気軽に立ち寄ってもらえたら」と話す=長崎市浜町

 児童養護施設や里親家庭で育った「社会的養護」経験者の自立支援で、保護を離れた「ケアリーバー」らが気軽に立ち寄れる場をつくろうと、長崎県長崎市のNPO法人心澄(宮本鷹明理事長)は9日、同市浜町に「居場所」を開設する。県によると、ケアリーバーの自立支援を目的にした拠点設置は県内で初めて。
 社会的養護の対象は原則18歳まで。その後、保護を離れたケアリーバーは公的な援助が途切れ、頼る相手がおらず、困窮や孤立に陥りやすいとされる。
 このため国は4月に施行される改正児童福祉法で、自立支援を受けられる年齢制限を撤廃。「社会的養護自立支援事業(アフターケア事業)」で、当事者同士が交流する場の提供や生活相談支援について、都道府県や政令市などが民間団体に委託する施策を2017年度から推進。全国50を超える自治体で「居場所」が設けられている。
 県は本年度、県子ども・若者総合相談センター「ゆめおす」も運営する心澄に同事業を委託。心澄は当事者が立ち寄りやすい市中心部のビル1階に「居場所」を開設することを決めた。
 広さ約90平方メートル(うち「居場所」部分は約55平方メートル)で、心澄独自でカフェも併設。火・木・土曜の週3日開設し、当事者は公衆無線LAN「Wi-Fi」サービスなどを無料で利用でき、カフェの軽食や飲み物も代金不要。レトルト食品や生理用品などを無償で持ち帰ることができる。
 カフェは「就労継続支援B型事業所」で、精神障害のある人や、不登校やひきこもりの経験者などがスタッフを務める。一般客からの収益は全額、工賃など福祉目的に使われる。生活相談支援員の宮崎聖乃さんら心澄の職員が常駐する。
 心澄では残りの週4日も、性的少数者の交流会などで活用したい考え。
 宮本理事長は「多様な人たち、福祉に思いがある人たちに気軽に活用してもらい、人と人とが出会える場になれば」と話している。
 住所は長崎市浜町8の15。「居場所」は火曜と木曜の午後1時~9時、土曜午後1時~5時、カフェは火・木・土曜の午後1時~5時に利用できる。

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