「ちちぶ弁」って、なんだんべえ? 秩父弁に包まれた弁当、たぬ金亭が発売 「秩父の魅力、さらに感じて」

全国丼グランプリ10年連続金賞受賞記念に販売を開始した「ちちぶ弁」を紹介する新井和夫さん=埼玉県秩父市荒川上田野の「たぬ金亭」

 埼玉県秩父市荒川上田野の飲食店「たぬ金亭」で、秩父の豚めし弁当「ちちぶ弁」の販売が始まった。全国丼連盟主催の「全国丼グランプリ」の10年連続金賞受賞を記念し、店主の新井和夫さん(63)が「食べておいしい、読んで楽しい」テイクアウト用の弁当を考案。名物豚玉丼の具を敷き詰めた弁当のパッケージには、秩父の方言がびっしり描かれている。新井さんは「観光ポイントで『ちちぶ弁』を広げ、『秩父弁』に親しみながら秩父の魅力をさらに感じてほしい」と薦める。

 同店は丼グランプリがスタートした2014年にオープン。豚玉丼が、第1回グランプリから10年連続で豚丼部門の最高賞を獲得している。3月で創業10周年。23年11月に開催された第10回グランプリは、全国746店舗の丼がエントリーし、各部門計79丼が金賞に選ばれた。

 新井さんは「創業時から、多くのお客さんがSNS(交流サイト)などで広め、支えてくれているおかげで1種類の丼で勝負できている。今後も変わらぬ味を追求していく」と連続受賞の喜びをかみ締める。

 ちちぶ弁は、秩父の食と文化をより感じてほしいとの思いで、同年12月から販売。レトロ感ある和テイストの弁当パッケージデザインは、横瀬町の浅見制作所と秩父を拠点に活動するグラフィックデザイナー吉田武志さんが担当した。

 「なんだんべえ(何だろう)」「ぶっこぬき(よく似ている様子)」「ごおぎ(すごいこと)」など、計4種類のパッケージには約150個の方言が詰め込まれている。秩父出身の新井さんは「今では同世代の仲間もほとんど使っていないが、人情味あふれる方言を多くの人と共有し、後世に残したい」と思いを語る。

 特製みそだれに漬け込み、じっくり煮込んだブロック状のハーブ三元豚に、青ネギと揚げ玉をトッピング。豚玉丼には温泉卵が付くが、ちちぶ弁は卵の代わりに、ごはんの上に刻みのりを乗せ、のり弁スタイルで提供している。弁当で地域文化を広めるアイデアが評価され、同年12月20日に、県の経営革新計画の事業として承認された。

 新井さんは「今後は、豚玉丼とは別の、秩父の豚めし弁当として全国に広がるように、知名度を高めていきたい」と語った。

 ちちぶ弁は税込みで1個900円(小サイズは700円、お子様用は300円)。店内の豚玉丼セット(みそ汁、ミニサラダ、香物付き)は950~2100円。

 営業時間は午前11時~午後4時。毎週水・木曜が定休。正月は9日まで休まず営業している。問い合わせは、たぬ金亭(電話0494.54.1811)へ。

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