伊東四朗×羽田美智子“凸凹父娘コンビ”の「おかしな刑事」が涙と笑いのクランクアップ

テレビ朝日系では1月6日に、伊東四朗羽田美智子が扮(ふん)する“凸凹父娘コンビ”の活躍を描いてきた人気シリーズ「おかしな刑事」のファイナル作品「おかしな刑事最終回!大千秋楽スペシャル」(午後8:00)が放送。このほど、クランクアップを迎えた。2003年の第1作から約20年にわたって愛されてきたシリーズが、ついに完結する。

「おかしな刑事」は、03年8月に「土曜ワイド劇場」で第1弾がスタートして以来、同枠や「日曜ワイド」「ミステリースペシャル」枠などで放送を重ねてきた。

最大の魅力は、父・鴨志田新一(伊東)は捜査会議で居眠りばかりしている“所轄署のヒラ刑事”で、娘・岡崎真実(羽田)が“警視庁のエリート警視”という設定と、そんな2人の軽妙なやりとりだ。また、下町を舞台にした人情ミステリーと、作品の根底に漂うおかしさや温かさが支持されてきた。さらに、主演の伊東は、現役刑事役の最年長を更新し続けてきた。京都を舞台に全編撮影した「京都スペシャル」2作も含めると、最終作は通算27作目となる。

「大千秋楽スペシャル」では、鴨志田がついに定年退職。最後の出勤も終え、残すは有給休暇の消化のみというタイミングで、大手建設会社社長が誘拐される衝撃事件が発生する。身代金として2億円分の金のインゴットが犯人に奪われるが、実はその2億円こそ大物政治家に渡す予定の裏金だったという疑惑が浮上する。

物語の鍵を握る建設会社社長・栗山喜一郎役でゲスト出演するのは、伊東の“盟友”である三宅裕司。コントライブや舞台「伊東四朗一座」「熱海五郎一座」で長年、伊東と共演してきた三宅が満を持してシリーズに登場。息の合ったやりとりを繰り広げる。

「おかしな刑事」シリーズ最後の撮影は、東王子署刑事課メンバーが勢ぞろいした署内のシーンだった。ラストカットも順調に進み、「これにて『おかしな刑事』シリーズ、オールアップです!」というプロデューサーの声がスタジオに響くと、キャスト・スタッフから割れんばかりの拍手が沸き起こった。クランクアップセレモニーでは、キャスト全員に梶間俊一監督から花束が贈られ、一同は万感の表情を見せた。

ゲストの三宅は「今回初めて参加させていただきましたが、現場の雰囲気は最高でした。伊東さんが撮影を1日間違えてセリフを覚えてきた時はどうしようかと思ったのですが、その場で全部覚えて完璧にこなされまして、結果的に巻いたんですよね(=予定より早く進んだ)。私もこれからはもうセリフを覚えなくていいやと思いました(笑)」と、笑いを交えて伊東を称賛した。

セレモニーが始まる前から瞳を潤ませていた羽田。「言葉にすると胸が詰まっちゃって…」とあふれそうになる涙を抑えながら、「このシリーズが始まった頃の30代前半の私は、吹けば飛ぶような存在でしたが、世界一尊敬する“お父さん”の背中を見ながら、20年間この世界で頑張ることができました。シリーズを20年間続ける…ということは、この世界でなかなか超えられないハードルだと思います。そこに皆さんと一緒に到達することができて、私は世界一幸せな女優だと思っています。またいつか『ひょっこりおかしな刑事』とか、『おかしな刑事おかわり』とか、カムバック作品が実現して、このメンバーでご一緒できることを夢見ています」と、伊東をはじめとしたチームへの思いを込めてあいさつ。羽田のスピーチをうなずきつつ聞いていた伊東は、羽田考案のネーミングのところで吹き出してしまい、スタジオがどっと沸く場面も。

最後に、ひときわ大きな拍手の中で花束を受け取った伊東は「お疲れさまでした。一言お願いします!」とスタッフからコメントを求められ、ニヤリと笑いながら「ハイ…疲れました(笑)」と文字通り“一言”。キャスト一同が爆笑しながら「それだけですか?」とチームワークよくツッコむと、「最後のゲスト・三宅(裕司)くんとは、これまでコントばかりで一度も真面目な芝居をやったことがなかったものですから、今回、丁々発止の芝居ができたなと自画自賛でうれしく思っております」と手応えを明かした。

続けて「このシリーズは『おかしな刑事』というタイトルですが、そんなにおかしくもないんです。割と真面目なドラマだと思ってやってきました。まぁ、“ちょっとおかしいかな?”っていうぐらいですかね(笑)。でも、こんなにも、そこはかとない“おかしさ”が感じられるドラマをやることは今後ないだろうから、寂しいですね」と作品への愛情をにじませ、セレモニーを締めくくった。

シリーズファイナル。鴨志田は警視庁東王子署の警部補で、別れた妻との間にもうけた娘・真実は警察庁刑事局のエリート警視だが、鴨志田と真実が実の親子だということは、2人の職場の人間は誰も知らない。ついに定年を迎えることになった鴨志田は最後の出勤を終え、有給休暇の消化に突入。第2の人生では大好きな団子の店を開こうと考え、なじみの弁護士・武井昭一(正名僕蔵)の紹介で団地内の空き店舗を内覧する。

しかし、その団地は2年前に建設会社「マロンホーム」に払い下げられ、再開発のため半年後までの立ち退きを迫られていることが判明。住民たちは団結して反対運動を繰り広げており、鴨志田はその代表を務める一級建築士・栗山敬太(吉村界人)や、住人の吉田みどり(遠藤久美子)、佐々木良子(鷲尾真知子)らと知り合う。

ところが、その直後「マロンホーム」社長・栗山が何者かに誘拐され、2億円の身代金を要求される事件が起きる。奇しくも真実の直属の部下で、現在財務省から警察庁に出向中の大谷光平(黄川田雅哉)が栗山の娘・南(内藤理沙)と婚約していたことから、真実と東王子署の面々が捜査に当たることになる。

身代金には栗山がタンス預金として隠し持っていた金のインゴット2億円分が充てられることになったが、南がキャリーケースに入れて指定場所に向かったところ、思わぬハプニングが発生。真実たちの監視の目をかいくぐって、犯人はキャリーケースを手に逃走してしまった。身代金を奪われた挙げ句、何一つ収穫がなかった真実と東王子署の面々は、鴨志田に捜査に加わってほしいと頼む。そんな中、2億円のインゴットは国土交通省副大臣・金森保(浜田晃)に渡す予定の裏金だったのではないかという疑惑が浮上する。

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