「プロ目指す」無名の右腕、大学野球で開花 仙台大・佐藤幻瑛投手(青森・黒石市出身)

2年目のシーズンに向け、オフの期間中も練習に励む佐藤=2023年12月、仙台大学第2グラウンド

 青森県黒石市出身で柏木農業高校から2023年春、仙台大学硬式野球部に進んだ佐藤幻瑛(げんえい)投手(19)が1年生春から主力級の活躍を見せ、初の全国の舞台でも躍動した。高校時代はほぼ無名だったが、一躍注目選手の仲間入りをした。卒業後のプロ入りを目指す佐藤は「大学日本代表に選ばれたい。また全国で投げたい」と2年目のシーズンへ意気込んでいる。

 佐藤は身長180センチ、体重80キロの右腕。同市の小中学校から柏農に入学した。1年秋からエースで、同校37年ぶりの秋の県大会出場に貢献、3年夏は県大会1回戦で15三振を奪う力投を見せた。周囲の勧めもあり、仙台大に進学した。

 主力投手陣にけが人が相次いでいた同大のチーム事情もあり、入学前の23年3月のオープン戦から登板の機会を得た。仙台六大学春季リーグ戦では、先発陣の一角に入り優勝に貢献、優秀新人賞を獲得した。6月の全日本大学選手権では、自己最速の152キロをマーク、存在感を示し関係者に衝撃を与えた。12月には大学日本代表候補合宿にも参加、同年代のトップ選手の技術に触れ刺激を受けた。

 1年目のシーズンを佐藤は「弱小チームから来たので、いろいろな先輩に聞いて実践に移すという感じでやってきた。短く感じるが長くも感じる。中身が詰まった1年だった」とし「オープン戦で社会人相手に投げて自信になった。上級生にけが人がいなかったら投げていなかった。チャンスをつかめた」と振り返る。全国の舞台で投げたことは「初めてでワクワク、楽しかった」と語る。

 元プロ選手で同大の坪井俊樹投手コーチは「ストレートが強く、他の人が投げないような変化球もある。オーソドックスな右投手かと思っていたら違った」と佐藤を評価。持ち味について「球速は出ているが、出ているように見えないという好投手の条件を持っている。春は経験を早めにさせて洗礼を受ければいいと思っていたが、良い方向にいった。チーム事情的に即戦力となった。いい意味で期待を裏切ってくれた」と話す。

 活躍の一方で課題も見えた。秋季リーグは試合中盤に乱れたり、四球からリズムを崩したりして自滅。「投げて克服するしかない」と佐藤。坪井コーチも「メンタル面は場数を踏むことで成長できる」とする。

 今後に向け、坪井コーチは「しっかり投げられるのは当たり前。マウンドでの立ち居振る舞いなど誰が見ても恥ずかしくないエースになってほしい」と期待を込める。佐藤は「3年後のプロ入りを目指す。オフは身体を鍛えて筋肉量を増やしたい。人一倍やらないと上にはいけない」と力を込めた。

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