ビッケブランカ、自らのネクストステージを強烈に体現してみせた【RAINBOW ROAD -翔-】公式レポ到着

ビッケブランカが2023年12月28日、東京・TOKYO DOME CITY HALLで【Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -翔-】を開催した。下記にて、同公演のオフィシャルレポートを掲載する。

本公演は、<1年に1度ファンと集まることができる特別な場所>として2022年から立ち上げたスペシャルイベント【RAINBOW ROAD】の第2弾。今回は『“翔”ノ章』と銘打ち、新たなアンセム「革命」のリリース、全国LIVE HOUSE TOURや海外フェスへの参加、EP『Worldfly』リリースと全速力で駆け抜けてきた2023年を総括する“YEAR END PARTY”として行われた。音楽的なアプローチの大きな広がり、パフォーマーとしての進化、そして、極上のエンターテインメント。この日はビッケブランカは、自らのネクストステージを強烈に体現してみせた。

オープニングSEは「キロン」。煌びやかなトラックが鳴り響くと、会場を埋め尽くした観客(チケットはソールドアウト!)は一斉に立ち上がり、ハンドクラップが鳴り響く。さらに荘厳にしてクラシカルなサウンドへと移行し、まずはバンドメンバーが登場。再びステージが明るくなると、そこにはビッケブランカの姿が。大きな歓声を浴びながらポーズを決めてしばらく静止する登場シーンは、もちろんマイケル・ジャクソンのオマージュだ。

1曲目は「天」。イントロに合わせて軽快なステップを踏んだビッケは〈I don’t care〉をリフレインしながらステージの2階に移動して、「今日はようこそいらっしゃいました!一緒に楽しみましょう!」と叫ぶ。続く「アシカダンス」ではビッケがキーボードを演奏し、アグレシッブ&ポップなサウンドによって会場の高揚感はさらにアップ。ダンサブルな「蒼天のヴァンパイア」のアウトロではビッケがラテン系のパーカッションを叩きまくり、客席ではタオルを回して盛り上がった。

「ビッケ!」という大きな声援を胸に手を当てながら受け取ったビッケは、「【RAINBOW ROAD】第2回。今回は『“翔”ノ章』です。来てくださってありがとうございます!」と挨拶。「話したいこといっぱいあるんですけど、曲を聴いてほしいんですよね」と言いながら再び2階へ。ステージに座った状態で演奏されたのは、愛らしくも切ないポップソング「ポニーテイル」。今回初めて導入されたLEDビジョンにはアニメーションの電車の映像が映され、車窓から見える風景が次々と――新緑、紅葉、雪景色、桜――変化していく。「Luca」では大きな二輪の向日葵が映し出され、シチリア島で制作された楽曲のムードを際立たせた。「Bitter」では、穏やかでハートフルなサウンドとともに〈Life is bitter〉の大合唱。ジャンルという概念を軽々と超えていく多様な音楽性、そして、女性4人、男性3人で構成されたバンド(井手上誠[Gt. / Cho.]、若山雅弘[Dr. / Cho.]、牧山羽留奈[Ba. / Cho.]、神佐澄人[Key. / Cho.]、Nona* Iwamura[Cho. / Key.,etc]、岡部磨知[1st Violin]、天野恵[2nd Violin. / Cho.])の表情豊かな演奏も魅力的だ。

「“1年に1回に集まれる場所”ということで立ち上げたRAINBOW ROADですけど、“言う”ってすごいことだなと思いますね。言ったことが現実に戻ってくる感じ、“今年こうだったね”って共有する。この言葉は安直で好きじゃないけど(笑)、“ホーム感”ですよね」というMCを挟み、ビッケブランカのカラフルで奥深いポップセンスを味わえる場面が続いた。まずは鍵盤の弾き語りによる「WALK」。楽曲の途中で観客に着席を促しつつ、かけがえのないーーだけどいつか“その日”が来るーー人生を歩んでいくことへの思いを切々と歌い上げる。代表曲の一つである「まっしろ」は、弾き語りからはじまり、バイオリン、バンドサウンドが重なっていく。降り積もる雪を映すビジョンも、この曲の世界観にしっかりと寄り添っていた。

2023年の海外公演の思い出トーク(ポーランドのライブで『ブラッククローバー』のコスプレをした女性のお客さんに「Moon Ride」を熱烈に求められた話など)の後は、「Stray Cat」。エキゾチックな音色のパーカッションをビッケが演奏し、観客がハンドクラップで応える。異郷感に溢れ、ダンサブルなこの曲は彼のライブのハイライトの一つ。アウトロにおける“打楽器×ギターソロ”の絡みも刺激的だった。

続いては、砂漠をモチーフにしたムービーとともに披露された「Sad In Saudi Arabia」。2023年のサウジ公演(ジェッダ、リヤド)の印象をもとに制作された楽曲だ。テーマは、内に秘めた情熱。悲しみと切なさが滲むメロディと中東的なサウンドデザインが響き合い、会場全体を異空間へと誘い込んだ。海外公演時のビッケ自身の映像から始まった「Snake」は、ビッケブランカ流のグローバル・ポップと呼ぶべき楽曲。シンセベースを交えたアンサンブルと深いグルーヴをたたえたボーカルが融合し、客席はダンスフロアへと変貌した。

この時間帯で個人的にもっとも心に残ったのは「ミラージュ」だった。シリアスな心象を映し出すメロディ、手に届きそうで届かない蜃気楼をモチーフにした歌詞が結びつき、オーディエンスを強く惹きつける。もともとはドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』のオープニングとして書き下ろされた楽曲だが、ビッケ自身とバンドの表現力によって、普遍的なパワーを持った名曲へと昇華されていたと思う。

鳴りやまない拍手を笑顔で受け止め、Vサインやサムアップで応えるビッケ。「もう規制はないから、声で表現していいんだよ。“RAIBOW ROAD”ってどうなの?」と問いかけると、「最高!」「かっこいい!」とあちこちから声が上がる。「花丸!」という言葉に「いい表現!」と反応したビッケは、「花丸って歌詞を使った曲あったな。『ミラージュ』と、あと一つ……あ、これこれ」と弾き語りで「Lucky Ending」(〈さあこの記念日に はなまるつけよう〉)を披露。ワンコーラス歌い切り、再び大きな拍手が沸き起こった。

真っ直ぐで力強い愛を描いたラブバラード「北斗七星」、華やかで切ないピアノをから始まり、〈君がどんなに辛くても/ぜんぶ引き受けよう〉というフレーズを手渡した「Echo」と珠玉のバラードを続けた後、ビッケは改めて観客に話しかけた。

「本当に当たり前じゃないと思います。いろんなところに行けて、そこで感じたものを音楽にする時間をもらえて、スタッフのみんなに手伝ってもらってみんなに届けて、受け取ってもらえて、それを披露する場所まであって、そこが大勢の笑顔で埋め尽くされていて。本当に幸せ者だなと思います。RAINBOW ROADをこれからも続けていく気概は強くあります。日々精進しつつ、体を絞りつつ、体をいたわりつつ、でも攻めた気持ちで、いろんな音楽をみなさんに投げつけ。そんな心意気でがんばろうと思います!」

さらに「アンコールないけど、今から6曲ぶっ通しでいくから!言いたいことないですか? 悔いはない?」という言葉に対し、客席から「『Moon Ride』やって!」というリクエストが。「どうなっても知らんからね(笑)」と言いながらギターを手にしたビッケは急遽「Moon Ride」を放つ。超アッパーなバンドサウンドとボーカルが響き渡り、会場のテンションは一気にピークに達した。

ここからライブは終盤へ。まずは「僕は(ドラマーが叩いている)このリズムが好きで。すごく勇気づけてくれるし、心の底から燃え上がってくる勇敢な気持ちにさせてくれて、【RAINBOW ROAD】に相応しいリズムだなと」という“ボレロ”のビートに導かれた「Winter Beat」。ハッピーなポップチューン「This Kiss」ではお面を被った4人のダンサーが登場し、エンタメ感に溢れたステージが繰り広げられる。さらに代表曲にして最高のライブアンセム「Ca Va?」、花火の映像を伴った「ウララ」で多幸感たっぷりの空間を生み出した。そして、観客が冒頭のコーラスパートを高らかに歌い上げた「革命」へ。ドラマティックな楽曲展開と〈僕たちは今を炎で焦がして/未来を染めるよ〉というラインによって大きな感動へと結びついた。最後は「Changes」。変わりたいという切実な思いを込めた歌がゆったりと広がり、【Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -翔-】はエンディングを迎えた。

大躍進を続けた2023年を2度目の【RAINBO ROAD】で締めくくったビッケブランカ。2024年5月4日には、大阪・フェスティバルホールで【Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -伝-】(ビッケブランカ・プレゼンツ・レインボーロード -テンノショウ-)の開催が決定するなど、その視線は既に次に向かっている。

なお、本日開催された【Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -翔-】はCSテレ朝チャンネル1にて、早くも2024年2月11日正午から<SP特番>として独占放送されることが決定している。ライブ本編に加え、ここでしか観られない舞台裏に密着した独占映像も放送されるスペシャル特番とのことで、生中継とは異なる映像をぜひ楽しみにしたい。

TEXT:森朋之
LIVE PHOTO:タカギユウスケ(LiveYou)

◎公演情報
【Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -翔-】
2023年12月28日(木) 東京・TOKYO DOME CITY HALL

▼セットリスト
01. 天
02. アシカダンス
03. 蒼天のヴァンパイア
04. ポニーテイル
05. Luca
06. Bitter
07. WALK
08. まっしろ
09. Stray Cat
10. Sad In Saudi Arabia
11. Snake
12. ミラージュ
13. 北斗七星
14. Echo
15. Moon Ride ※観客リクエスト曲
16. Winter Beat
17. This kKiss
18. Ca Va?
19. ウララ
20. 革命
21. Changes

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