【シンザン記念/全頭診断】「朝日杯FSでも重い印を……」GI通用級と評した未勝利勝ち馬に注目

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8日は京都競馬場で、第58回シンザン記念(GIII、芝1600m)が行われる。かつてはジェンティルドンナやダイワスカーレットも出走したレース。今後のクラシック戦線を占ううえでも見逃せない一戦と言えよう。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。

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■シンザン記念2024 出走予定馬全頭診断

・アルトゥーム

前走負かした馬に未勝利を勝ち上がった馬はゼロ。マイルへの距離延長も含め、上位評価とするには躊躇してしまう。

・ウォーターリヒト

稍重とはいえ、芝2000mの前走勝ち時計は平凡。厳しい印象は否めない。

・エコロブルーム

自身初の良馬場だった前走は上がり3F33秒2での快勝。ノーステッキかつ最後は流していたにもかかわらず、ラスト3Fは11秒5-11秒0-11秒1とほとんど減速することなく駆け抜けた。京都芝外回り1600m重賞でわずか1勝のダイワメジャー産駒である点は気がかりも、上位評価に据えるだけのポテンシャルはある。

・ケーブパール

牝馬限定の1勝クラスで4着に敗れた前走。巻き返しを望むのは酷に映る。

・シトラール

東京芝1600mの前走勝ち時計1分34秒5は決して悪くない。新馬戦では世代上位馬のダノンエアズロックと0秒2差の接戦を演じており、この馬の姉ルージュバックが3歳時に京都芝外回りのきさらぎ賞を制している点も不気味だ。

・ショーマンフリート

この馬で注目したいのは前走ラスト3F。12秒1-11秒6-10秒9と、急坂中山芝にもかかわらず0秒5刻みで加速ラップを刻んでいたのだ。初年度からホープフルSを制したレガレイラを輩出するなど種牡馬として成功を収めているスワーヴリチャードの仔。勢いに乗って年明けの重賞も手にしてしまう可能性は考えるべきだ。

・ゼルトザーム

芝での馬券内は重馬場の函館2歳Sに限定。ダート馬の印象は否めず、芝マイル重賞では割り引きが必要だ。

・タイキヴァンクール

最低人気を思えば前走朝日杯フューチュリティSの勝ち馬と0秒6差は悪くない。内枠を引き当てた際の3着穴としてケアしたいところだ。

・タイセイレスポンス

もみじS、秋明菊賞は少頭数の恩恵あり。多頭数のマイル重賞で評価を上げるには至らない。

・テイエムリステット

芝を使われた新馬戦は勝ち馬と2秒以上の差。厳しい。

・デルシエロ

1勝クラスを勝ち切れていない現状。重賞での好走はハードルが高そうだ。

・ナイトスラッガー

稍重→良馬場替わりの前走は上がり3F33秒7の脚で2着に0秒5差をつける完勝。朝日杯フューチュリティSにも登録があったが、出走するようなら重い印を打とうと考えていた馬だ。好位から上がり3F上位の脚を使えるタイプで、脚質も前につけることが必須な開幕週の京都芝向きと言える。

・ノーブルロジャー

東京芝1600mで初陣を飾った馬。当時は上がり3F33秒3に加えてノーステッキと、大物感を漂わせる勝利だった。昨年の朝日杯フューチュリティSを無傷の3連勝で制したジャンタルマンタルと同じパレスマリス産駒。ノーマークにはできない。

・ノボリショウリュウ

新馬戦を制した当時の勝ち時計・パフォーマンスともに強調材料は乏しい。再度の好走を望むのは酷に映る。

・バレルターン

前走負かした馬の次走芝成績は【0-0-0-6】。ハイレベルレースとは言い難く、連続好走は至難の業か。

・フェリーニ

マイルの前走勝ち時計1分36秒1は平凡。重賞即通用は難しい注文と言えそうだ。

・メイショウサチダケ

果敢に先手を奪った前走デイリー杯2歳Sは見せ場たっぷりの5着。3着に道中最後方だった馬が突っ込んできた展開を考えると、逃げて大負けしなかった点は評価すべきだ。内めの枠が条件も、開幕週の京都芝替わりでマイペース逃げなら侮れない。

・ラーンザロープス

1勝クラスの前走は7頭立ての5着。折り合いに不安を残す現状から、距離短縮ローテのタイミングで狙いたい。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年1月4日 18:00公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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