毎回違う状況で拠点を作り続けるのが病みつきに!ダークファンタジーの世界が舞台のストラテジーゲーム「Against The Storm」をレビュー

2023年12月9日よりSteamで配信中のストラテジーゲーム「Against The Storm」のレビューをお届けしよう。

■プレイヤーは“総督”として大自然を切り拓き拠点を作る

本作の舞台は、“ブライトストーム”という嵐によってほとんどの文明が崩壊してしまった世界。プレイヤーは女王のスコーチ・クイーンから命を受け、総督として広大な自然を切り拓き、入植地を増やしていくことに。住人たちを指揮し、未開の地を開拓する、施設を建てるなどをくり返して拠点を発展させていく。詳しくは後で述べるが、“名声”を一定値まで獲得すればクリアとなる。

ワールドマップは女王のいる人類最後の砦“スモルダリング・シティ”を中心に広がっており、六角形のマスで区切られたマップのうち、スモルダリング・シティ周辺の好きな場所からゲームを始められる。

最初は物資を蓄えておくための“主倉庫”と、住人たちが休憩したり士気を上げたりするために必要な“古代の焚火”しかない。そのため、まずは“木こりのキャンプ”を建ててそこに住人を割り当て、木を切り倒して周囲を開拓するところから始める。開拓していくと空き地や放棄された拠点・物資などを見つけられることも。こうした“空き地イベント”をこなしていくと、新しい住人や物資を入手可能だ。

開拓の過程で手に入れた木などの素材を使えば、根菜や肉といった物資の収集が可能なほかのキャンプ系の施設が新たに作れるようになる。さまざまな物資が集まれば、それを加工するための施設を使って別の品を生み出すこともできる。

加工品を蓄えておけば、施設の“交易所”に訪れた商人との取引で、食料から日用品までさまざまな物資を得られるように。手持ち無沙汰の初期状態から、徐々にできることが増えていく過程がクセになってくる。

とはいえ、拠点を発展させるだけでは住人が満足しない。働く人々は生きるための食糧はもちろん、住む場所や着る服なども求めてくる。彼らの要求を放っておくと“士気”が低下していき、マイナスになると拠点から逃げてしまう。

拠点を発展させる一方で、住人たちのケアも欠かせない。物資が不足したら代わりのものをあてがうか、一時生産を中止して素材を探す必要がある。住人の士気が下がってきたら、逃亡者が出ないよう対応した施設や物資を作る。そのあいだも新しい土地や素材を求めて開拓は続けるわけで、空き地イベントによっては追加の住人を急きょ投入して事態に対処させたりと、プレイ中はつねに忙しい。

開拓する場所の地形は毎回変化する。まったく同じ展開は起こりえない

だが、忙殺されるなかで拠点の維持や発展に努めるのは、ストラテジーゲームの醍醐味だろう。とくに「Against The Storm」では、ひとつの拠点をくり返し発展させていくのではなく、複数の拠点を何度も最初から作り上げるというシステムが特徴でもある。クリアしたらまた次の拠点を作る、そのくり返しだ。作ったものを眺めるのではなく、自分が望んだものが作られていく過程を楽しむのが好きな人には、とことん刺さる作風と言える。

■ランダム要素に対応しながら女王の怒りを鎮める

拠点を作るうえで重要なのが、名声と“女王の怒り”。これらは画面下にゲージとして表示されており、青いゲージが名声、赤いゲージが女王の怒りだ。

女王の怒りは時間経過とともに少しずつ蓄積していく。満タンになると女王の命令で砦に召還され、それまで担当していた入植地を没収されてしまう。要はゲームオーバーだ。いくら拠点を発展させて住人を労わっても、女王の怒りに触れればそこまでとなる。

女王の怒りを減らすには、名声を得なくてはならない。名声を獲得するのにもっとも手っ取り早いのが“指令”の遂行だ。

指令は最初はロックされているが、時間経過とともに少しずつ開示されていく。道を舗装する、特定の品を作る、空き地イベントを一定の回数こなすなど、指令のバリエーションは非常に多い。1分程度でこなせるものもあれば、いまの拠点の施設では作れないものを要求されることもある。

指令をクリックすると、まず3つの候補が表示され、遂行したいものをひとつ選ぶという仕組みなので、現状でもこなせる、あるいはその見込みがある指令を選ぶのが攻略のコツだ。

ただし、どのような指令が来るかはランダムなので、候補から選ぼうにも難しい指令ばかりで、思うように名声が得られないという事態も起こり得る。

記事の冒頭でも書いたように、名声を手に入れるのは本作におけるクリア条件でもあるので、運次第では初見でもすんなりいけてしまうし、逆に何度やってもゲームオーバーになるというパターンも。だが、開拓する場所の地形や提示される指令は毎回ランダムで、何度挑もうが新鮮な気持ちになれるため、くり返し遊ぶにあたってストレスはあまり感じなかった。

■ゲームオーバー前提で数をこなし、アップグレードを利用する

今回筆者は最低難易度の“入植者”でプレイしたが、15回の挑戦でクリアできたのは3回。ストラテジーはあまりなじみがなかったとはいえ、特に最初の5、6回は押し寄せる情報に慌てふためくだけだった。

くり返しプレイするのが前提であること、そしてストラテジーものが下手な人への対策という意味もあるのか、「Against The Storm」では拠点づくりが終わると必ず経験値が入り、スキルツリーのようなものが解放される。スキルツリーには、女王の怒りが蓄積する速度が下がるなどの有用なアップグレードが揃っており、専用のアイテムと引き換えに習得可能だ。

習得したアップグレードの効果は永続する。習得以降のプレイではずっと恩恵を得られるので、最初はアップグレードを利用するためと割り切って、ゲームオーバー前提で各地の開拓に挑むのもいいだろう。

拠点の発展や住人のケアが重要なストラテジーと、開拓する地形や提示される指令の種類が毎回変化するというランダム性を融合させた本作。ストラテジーゲームが好きな人はもちろん、なにかを作るという過程を何度も楽しみたい人、リプレイ性の高いタイトルを遊びたいという人にもオススメの1本だ。

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