「龍が如く8」試遊レポート&阪本寛之氏インタビュー:繁華街まで作れる新プレイスポット「ドンドコ島」の中毒性が高すぎる

セガより2024年1月26日に発売予定のPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)用ソフト「龍が如く8」。同作の試遊レポートと、チーフプロデューサーの阪本寛之氏のインタビューをお届けする。

■試遊では新プレイスポット「ドンドコ島」を体験

発売が近づきつつある「龍が如く」シリーズ最新作「龍が如く8」。バトルシステムを従来のアクションバトルからコマンドバトルへと一新し、春日一番が新主人公を務めた「龍が如く7 光と闇の行方」の流れ継いだ作品で、従来のシリーズの主人公・桐生一馬も主人公へと復帰し、春日一番とのダブル主人公制が採用されている。

新しくなったコマンドバトルや、本作の主な舞台となるハワイについては、TGSでの試遊や「龍が如く7外伝 名を消した男」の体験版で触れることができたこともあり、今回の筆者が主にプレイしたのは、新プレイスポット「ドンドコ島」だ。

裏ルートでゴロツキたちに売りさばかれそうになっている亀を助けたあと、春日はいきなり現れたガチャピンを見た驚きで気を失い、ドンドコ島へと運ばれる。

ドンドコ島はかつてリゾート地として栄えていたが、悪徳ゴミ処理業者の不法投棄や嫌がらせによって島は寂れ、現在は島民すらもいない寂れた島となっている。春日は、オーナーである又吉と島のマスコットであるガチャピンとムックに協力して、ドン底に落ちた島の再生に手を貸すことになる。

序盤はそんなドンドコ島を再び活気のあふれる島に戻すことが目的。そのためには島の「充実度」と「人気度」という2つのパラメーターを上げ、リゾード地としてのランクを示す星の数を上昇させていく必要がある。

なお、ドンドコ島ではフィールド上の操作が専用のものへと切り替わる。フィールドに存在する木をバットで壊して木材を手に入れたり、虫取り網で虫を捕まえたり、複数のアクションを使い分けて様々な素材を集められる。素材には貝やキノコ、魚といった特産品のもあり、特産品を多く集めるほど島の人気が高まっていく。

集めた素材でさまざまな家具を作成して配置することもでき、家具を配置すればするほど島の充実度と人気度が上がっていく。

作成できる家具は、いわゆるタンスや棚のような家具らしいものから、無料案内所の看板、和風便器、自転車、人形の置物など、到底家具とは呼べなさそうなユニークなものまでさまざま。新しい家具を作るごとに「開発力」というパラメーターが上がっていき、作成可能な家具が増えていくという流れだ。

島には時折ゴミ処理業者が襲撃にくることもあり、その都度撃退する必要がある。この撃退パートは、春日を直接操作して敵の攻撃を避けつつ、バットで攻撃していくアクションゲーム的なバトルで、コマンドバトル方式の「8」本編とはまったく別のシステムとなっている。

春日をアクションバトルで操作することは今までなかったので、これはかなり新鮮だった(ただ、従来の桐生が主人公だった「龍が如く」シリーズのような複雑なアクションは行えない)。

島の中では春日が何もしなくても自動的に時間が経過して1日が過ぎていく。1日ごとに目標となるデイリーミッションが用意されており、達成すると島の通貨であるゼニーを獲得できる。夜になると、春日のために用意された宿泊小屋のカレンダーを調べることで次の日へと替わる。ミッションが終わってない場合などは、夜に外出して作業を続けることが可能だが、夜遅くまで作業をすればするほど、敵の襲撃時などに受けたダメージの回復量が少なくなるデメリットも発生するようだ。

島の外だけではなく、春日の部屋の中にも家具を設置できる。

また、島の中には不法投棄されたゴミで汚染されたエリアもあり、家具を配置できるようにするには「整地」が必要。

整地には島内にいる業者にゼニーを支払って行うが、整地するエリア内にあるゴミを毎日壊して土地のランクを上げると、整地の価格も安くなっていく。島の星の数を上げるには家具をとにかくたくさん配置できる場所が必要になるので、ミッションをこなしつつゼニーを貯め、整地でエリアを広げてより多くの家具を配置していく……というのが主な流れになる。

「7」の時にも、会社経営というゲーム本編とは別軸で進行する大型のプレイスポットが存在していたが、「8」ではドンドコ島がそれに相当する要素となる。上でも記載したが、驚いたのは操作系統が完全に本編とは違う専用のものに変わることで、発生するバトルもコマンドバトルではなくアクション方式が採用されているのはかなり驚かされた。いい意味で、完全に「8」本編とは別のゲームとして作成されている。

島にある素材を集めて家具を作成し、どんどん拠点が発展していくという流れは「Minecraft」に代表されるサンドボックスゲームにも通じる楽しさがあり、非常に中毒性がある。一方で作成可能な家具が「龍が如く」シリーズならではの現代的なものが多いため、一般的なサンドボックス系ゲームではまず見られない風景を作ることができるのも楽しい。

サクサクと新しい家具を作れるテンポも心地よく、今回の試遊時間の内、気づけばほとんどをこのドンドコ島に費やしていたほど。ただ、それでも遊べたのはドンドコ島の本当の触り部分のみで、プレイスポットとしては前作の会社経営よりもさらに大規模なものになっているという印象を受けた。島内で稼いだゼニーは所持金に変換することもできるので、「8」でも金策として活躍してくれそうだ。

■桐生一馬の人生を振り返る「エンディングノート」には過去作のネタが満載

「龍が如く」シリーズファンとして見逃せないと感じたのが桐生一馬にスポットを当てた「エンディングノート」。ご存知の方も多いかと思うが、「8」における桐生は重度の癌を患っており、余命が幾ばくもない状態となっている。

残された時間を有効に使うため記録するようになったのがエンディングノートで、これは「8」のゲーム全体を通して遊ぶことができる桐生専用の収集要素にもなっている。エンディングノートを進めると桐生の「覚醒度」が高まり、専用のジョブである「堂島の龍」の各スタイルと状態異常耐性が強化されていく。

エンディングノートは、メインストーリーを進める、サブイベントをこなす、街中にあるオブジェクトを調べる、プレイスポットで遊ぶなどさまざまな行動で記録されていく。その際に発生する会話では、過去のメインストーリーはもちろんのこと、サブイベントで登場したNPCや、「龍が如く 見参!」といったスピンオフ作品にまで言及されていたり、これまでシリーズを追ってきたファンにとってはたまらないネタが満載。

桐生一馬が歩いてきた人生を振り返るような内容で、文字通りシリーズの総決算という言葉を連想させる。いちシリーズファンとしては「こんなキャラクターいたなぁ」と懐かしさに浸れる一方で、桐生一馬という男の物語が本作で本当の意味で締め括られるのではないかという怖さに近い感情も湧いてきた。

死というテーマに向き合いつつも、決して後ろ向きは描かれない、楽しさと寂しさが入り混じった不思議な感覚は、「龍が如く」シリーズの中でも本作独自の魅力になってくるかもしれない。

また、バトル周りでは、巨大サメ、巨大イカといった大型のボス敵との戦いもプレイすることができた。とくに驚いたのが巨大イカとの戦いだ。

バトル中には、パーティの仲間がイカの触手に捉えられ、体内に取り込まれることがあったのだが、その間は行動不能になるのではなく、取り込まれたキャラクターがイカの体内から脱出するためのバトルが同時進行で発生する。

当然ながら、イカの体内に取り込まれたキャラは外にいるキャラを支援できなくなる。今回のプレイでは回復系のジョブだった千歳が体内に囚われたことで、パーティ全体が危機に陥ったことも。触手はHPを0にするとしばらく行動しなくなるので、キャラ飲み込まれないように先手を打って触手の行動を封じるのを最優先に戦う必要がありそうだと感じられた。

強力な全体攻撃を連発してくる巨大ボスは、さまざまなバフ・デバフを使いこなして戦う必要もあり、非常に手強い相手。

試遊終了後には、本作のチーフプロデューサーを務める阪本寛之氏へのインタビューも実施した。あわせてその模様も掲載する。

■「龍が如く8」チーフプロデューサー・阪本寛之氏インタビュー

完全に独立したゲームとして開発された「ドンドコ島」

――まずは、新たなプレイスポット「ドンドコ島」についてお聞かせください。非常にやりごたえがある内容になっていましたが、どのような意図で実装したものなのでしょうか。

阪本氏:あのコンテンツを入れようと思ったのは、せっかくハワイを舞台にしているので、南国リゾート的な大きめのコンテンツを入れたいなというところから出発しました。海とか島とか大自然的なところを満喫できるように、島をクリエイトするゲームを考えたんですが、どんどんボリュームが膨れ上がっていって。

自分だけの島を作ろうというところを最終目的にした場合に、「龍が如く」ならではのぶっ飛んだクリエイティブの幅を用意したいなと。最終的には、神室町にあるいろんなビルを配置して、一つの繁華街みたいなものまで作れる幅とボリュームがあります。あれだけでも真面目に遊ぶと 二、三十時間くらいかかります。

今日皆さんに遊んいただいたのは本当に序盤ですね。魚を取ったり、チョウチョを捕まえたり、あとは小さい和式のトイレを置いたりとか(笑)。 最終的には天下一通りのゲートやまで飲食店のビルを置いたりもできるようになります。

――ちょっとした都市作りのゲームのような。

阪本氏:そうですね。序盤は素材集めのクエストが中心になるんですけど、 ゲームが進むといろんな建物をどのように組み合わせて、お客さんを呼び満足度を上げていくかという要素が入ってきて、本当に一本のゲームとして出しても全然遊べるような内容になっています。ハマるとメインシナリオの進みが遅くなる代表的なコンテンツだと思いますね(笑)。

――前作の会社経営もそういうところはありましたね。

阪本氏:それでも前作の会社モードは、結局は一画面的な2Dゲームの中に入っていたじゃないですか。今回のドンドコ島に関しては、カメラや制御も全部専用で作っているんで、完全に別物なんですよ。

バトルもアクションになっていたり、プログラム的にも全然違う仕組みで動いてたりするくらい、かなり範囲の制限を取っ払っています。本当に遊び尽くせるように作ったので 本当に一本独立して世に出せるようなものだと思いますね。

画像は「龍が如く7 光と闇の行方」のもの。

――なぜガチャピンやムックとコラボするかたちになったのでしょうか。

阪本氏:ドンドコ島というバイオレンスではないサイドコンテンツに、何かしらバズるようなキャラクターを起爆剤にして魅力をブーストできるコラボレーションはないか、と考えたのが出発点だったりします。

そこでブレストの中でぽんと出て来たのがガチャピンとムックでした。とくにガチャピンは、スキューバーダイビングとかスカイダイビングとか、ものすごくいろんな活動をするので、ドンドコ島に出てきてもそんな違和感はないだろうと。

――「龍が如く」の世界では、「ポンキッキーズ」は放送されていないのでしょうか。

阪本氏:そこら変はそんなに深くは設定していないですね(笑)。あくまでもゲーム内では、亀を助けたら出てくる謎の生物というゲームならではの登場のさせ方にしています。あんまり深く考えずに、そういう不思議な生き物がいるよねくらいのノリで楽しんでいただければと思います。

――コラボを打診された時の反応はいかがでしたか?

阪本氏:ガチャピンとムックはそれぞれYouTubeで活動していたり、既にいろんな企業コラボレーションもされているので、そこまで障壁はありませんでした。もちろん条件はありましたが、先方さんからも面白いと言っていただけたので。フェイスチャプチャーを本当にやったのもネタ的に面白かったかなと思います(笑)。

――島内で入手できる魚や虫などの生物を集めることのメリットはあるのでしょうか?

阪本氏:いっぱいありますね。魚だけではなく、拾えるキノコとかもそうですし、基本的に素材を多く集めるほど島のランクも上がっていきます。あとは、素材からいろんなお土産を作ることもできますね。

お土産は、ドンドコ島内のバトルで回復アイテムとして使うこともできますし、島を訪れた観光客に渡すこともできます。

――お土産はプレイスポットの外でも使用できるのでしょうか?

阪本氏:いえ、基本的にはドンドコ島内で使うことを前提としたものです。宿泊客にお土産をバンバン渡して、好感度を上げるのが主な使い道になります。

――ちょっと意外な客が訪れたりも?

阪本氏:もちろん、そういう遊びもあります。後半になると「龍が如く」シリーズならではのキャクターもどんどん出てくるので、お客集めそのものがすごく楽しくなると思います。

ハワイで出会ったNPCを島に招待することもできて、レア度の高い客は島でたくさんお金を使ってくれます。客をいっぱい呼んで満足度を上げ、さらにお金を稼ぐいでいくという流れです。

――以前の会社経営はお金を稼げるのが最大のメリットでしたが、ドンドコ島に関してはいかかでしょうか。

阪本氏:今回もそこはお金です。ドンドコ島で貯めたゼニーは、ハワイに戻る時にお金に換金できるんです。最終的には、お金稼ぎコンテンツとして集約されていきます。

――会社経営と同じく、ストーリーとは別軸で進められるかたちでしょうか。

阪本氏:そうですね。ドンドコ島では、夜になって寝ると日時が進行していく形式で、メインストーリーとは完全に分離されています。中でバトルが発生することもあり、敵を放っておくと置いたものが壊されてしまうので、その前に追い払う必要があります。

――配置できる防衛設備のようなものは存在しないのでしょうか。

阪本氏:はい、そういったものはないですね。基本的に配置できるものは、宿泊客の満足度を上げるためのものです。カジュアルだったりポップ系だったり、作れる物ごとに属性が分かれていて、客にあわせてどのように街の属性を寄せていくかが主なゲーム性になります。

――今回は体験できなかったのですが、ドンドコ島のオンライン要素についてお話いただけることはありますか?

阪本氏:ゲームを進めると「オンラインインコ」というキャラクターが出てきて、そいつにアクセスすると他人が作った島に遊びに行くことができるようになります。

他にも、相手のスジモンとバトルできたりとか、ネットワークを使ったちょっとした遊びみたいなものも仕込んでます。リアルタイムで時間を制約する遊びはウチのゲームには合わないのもあるので、基本的には非同期型で、ランキングとか、誰かの島にちょっと遊びに行くというところが主軸になります。

――スジモンバトルをプレイしている時、「ドンドコ島で働かせる」という選択肢が表示されていました。

阪本氏:スジモンバトルとドンドコ島は一部繋がりがありまして、実は今回皆さんに遊んでいただいた場所とは別の島があるんです。

そこには「ドンドコファーム」という施設がありまして、自分の持っているスジモンを働かせて、野菜の栽培や素材集め、トレーニングを行わせることができます。そっちの島も敵の妨害が入ることがあるんですが、その際は春日ではなくスジモンが代わりに戦うことになります。ドンドコ島だけでもいろんな発展があるんです。

――ドンドコ島のランクを上げていくと、そういう新しいエリアも解放されていくと。

阪本氏:そうですね。ドンドコ島のシナリオを進めるとドンドコファームが解放されて、スジモンを集めたり育てる要素に繋がっていくという流れです。

ただ、スジモンはスジモンでゲームとして独立していて、「召喚士」という春日専用のジョブでは、収集したスジモンをバトル中に呼び出して力を借りることができます。さすがに全部のスジモンを召喚できるわけではなくて、特徴的なもののみに制限をかけてはいますが。

■バトルでは、複数の属性を組み合わせた際に発生する特殊な効果も

――桐生のパートで手に入れたアイテムを春日のパートで使ったり、ということはできるのでしょうか?

阪本氏:物語の後半になると、桐生と春日パートを交互に進めるシーンも出てきますが、基本的に装備やアイテムは共有されているので、自由に付け替えられます。別々のパーティに分かれたキャラが同じジョブだった場合、装備をどちらにつけるかみたいな悩みは出るかもしれませんが、現在パーティにいるキャラを優先して装備させられるようになっているので安心いただければと。

――各地にはダンジョンも存在するのでしょうか。

阪本氏:ええ。ハワイはもちろん、横浜とかにもありますし、探索系のものはステージの数の分だけ用意されています。エリア内に複数ダンジョンがあることもあって、基本的にはストーリーにからませているものが多いですね。

――今回プレイさせていただいた巨大イカ戦では、体内にパーティキャラを飲み込むという特殊なギミックがあって驚きました。ああしたギミックは他のボス戦にもあるのでしょうか?

阪本氏:巨大イカは一番大掛かりといってもいい部類のボスになります。他にはサメとかも専用のステージでのバトルだったりもしますが。

――各地のダンジョンの特徴が反映されるボスが出てくるような形でしょうか。

阪本氏:どちらかというと、ストーリー的な意味合いですね。クライマックスのバトルで予想だにしない敵を出して刺激を与えたいなと。

ちょっと地味な部分になるんですけど、通常のバトルでものすごく背がでかい敵が出たりすることもあります。今までは基本同じ頭身+α程度のものだったんですが、今回は分かりやすくデカくなったり、デカい故に当たり判定が特殊だったりという遊びもあります。

プログラム的には結構大変なんですが、敵によっては専用の制御で動かしたり、カメラの位置を変えたりもしていて、通常バトルのレギュレーションもバリエーションを増やしているので、「7」から大分パワーアップさせています。

――サメやイカに対しては、結構使えない技も多かったようでしたが、それも遊びの幅的な狙いなのでしょうか。

阪本氏:あれに関しては、どちらかというとスケール的な問題ですね。さすがにあのサイズの敵に絞め技はかけられませんから。「7」のクレーン車戦と同じような感じです。

あとはバトルに関しては、バックアタックとか連携攻撃をすごく膨らませています。「7」の時は追撃くらいしかありませんでしたが、「8」では絆や連携を育てると、最初に連携攻撃で敵を吹き飛ばして後ろの敵ごとダメージを与えつつ、吹っ飛んだ先にいた仲間が追撃……みたいに、1コマンドでの攻撃回数が増えていくんです。

純粋にそれ自体が気持ちいいですし、それを計算して攻撃すればバトルが有利になる遊びごたえもすごく上がっていると思います。

――ピンボールみたいな感じで攻撃が連鎖するのは面白そうですね。

阪本氏:ええ、うまくやればものすごい連鎖を起こせますよ。それだけでかなりダメージも変わったりして、あの部分は本当によくできたなと思っています。

――めちゃくちゃ楽しみです。地味なところだと、回復の際の位置取りも重要になりましたね。

阪本氏:バトル中に移動ができるようにすると決めたところから、バトル内でのポジショニングも一つのゲーム性にするということわりを作ったので。回復もその例外ではなく、そのルールの中に落とし込んだかたちでした。

――ジョブチェンジについてはどのように変わったのでしょうか?

阪本氏:ジョブチェンジは「アロハッピーツアー」というアクティビティとして解放され、人間力などの条件を満たすことでできるようになっていくのですが、「8」では他のジョブに持ち越せる技が増えています。

引き継げる技の枠も1つや2つではなく、3・4・5個と増えていくので、いろんなジョブで技を覚えたら、好きな技をセットできる範囲がすごく広がっていくんです。「7」の時は決められた技しか継承できなくて、ジョブチェンジに結構デメリットがあったんですけど、「8」は技をカスタマイズできる分、遊びやすくなったと思います。

――相乗効果が生まれる技の組み合わせを考えるのも楽しそうですね。

阪本氏:組み合わせ的な話だと、属性効果の掛け算みたいな要素も仕込んでいます。例えば水属性の攻撃で濡らした状態だと雷属性のダメージが増えたり、敵によっては属性に属性を重ねた時のメリットみたいなものも用意しています。

――先程話にあった召喚士については、技を他のジョブに継承できないという記載がゲーム内にありました。

阪本氏:おっしゃる通り、制限されているものもありますが、基本的にそれ以外のジョブの技はすべて継承できます。召喚士は春日の特権的な専用ジョブで、所持している中から連れていくスジモンを選んで、その特徴となる技を使えるような形です。春日が他のジョブで覚えた技を継承して召喚士で使用することはできます。

――武器や防具に関してもかなりカスタマイズの幅が広がっているようでしたが、装備の自由度を高めたいという意図があったのでしょうか。

阪本氏:そうですね。「7」の時、最後は自分の好きな武器で戦いたかったのに、という意見を結構頂いていたんですよ。

序盤では麻痺も付与できる電気マッサージ機が便利なんですけど、さすがに後半戦になると厳しくなってくる。見た目のデザイン的に気に入っていても、結局は変えないといけなくなるという声があったので、強化するだけではなく属性をセットしたりスロットを解放したり、いろいろなカスタマイズができるようになっています。

■いずれはNAOMI基盤のアーケードゲームもプレイスポットに!?

――プレイスポットとしては、今回初めて「スパイクアウト」も実装されます。「龍が如く」シリーズがこれだけ続いたタイミングで入るのもなかなかエモいなと。

阪本氏:業界人の方ほどそう言うんですけど、そんなに深い意味はないです(笑)。

「龍が如く」シリーズでは、今までいろんなレトロゲームを入れてきましたけど、結構弾数が減ってきていまして。「そろそろ『MODEL3』のエミュレーターを作ろうぜ」というのがきっかけだったんです。だから最初から「スパイクアウト」を入れたかったというのは少し違っていて、「MODEL3」で動くゲームで代表的なものは何か考えた結果、「スパイクアウト」が選ばれたという流れでした。当時やってなくても、今も普通にアクションゲームとして遊べるので、満足度は高いんじゃないかなと思います。

そもそも、アーケードゲームで何を入れるかって、毎回困ってるんですよ。このままやり続けると、いずれはNAOMI基盤にも行き着くことになるでしょうね。ドリームキャスト系もいろいろ出せるようになりますし、ずっと同じタイトルしか入ってないと思われるのも尺ですから。本当は版権ものとかも出したいんですけど、クリアしないといけない条件が多いので、なかなか難しいのが現状ですね。

――「スパイクアウト」は、協力プレイもできるんでしょうか。

阪本氏:ローカルのみになりますが可能です。そこはプラットフォームによって違いがあって、PS5だと最大4人まで一緒にプレイできます。本当はオンラインでもできると良かったんですが、しっかりと通信同期もできるようにするのは、なかなかハードルが高いということもありまして。

――今回はキャバクラはないですが、マッチングアプリでの遊びもありますよね。

阪本氏:ありますね。「7外伝」のキャバクラみたいなフル実写ではないですが、マッチングアプリ内にも実写シーンがあったりします。

――現実で実際にアプリを使っている人が似たような楽しみを見出したり、利用したことがない人がどんな感じか知るみたいな楽しみ方もできそうですね。キャバクラもそういう面があると思いますが。

阪本氏:でも、プレイスポットの中でもキャバクラはやっぱり好き嫌いが結構出ますね。いろいろプレイスポットがある中で、パチンコ・パチスロもまったくやらないという方もいますし。将棋とか麻雀も同じですが。

海外はそのあたりの好みは日本よりはっきりしているんですけど、僕は結局はバリエーションの多さこそが「龍が如く」の強みだと思っていて、いろんな人にそれぞれ刺さるプレイスポットがあれば、それだけで十分なんじゃないかなと。

全員が面白い、楽しいと感じられるものが作れればもちろん良いのですが、それ以上に前回あったプレイスポットがないことに対するクレームってすごく多いんですよ(笑)。だから一度入れたプレイスポットは、できるだけ残すようにしています。

「7外伝」の実写キャバクラも、興味がない方もいたと思うのですが、実写コンテンツで大いに喜んでいただけるファンの人も、海外含めて多かったんです。そこは本当にバリエーションというか、シリーズの伝統的な発想で「このゲームを買えばこんなにゲームが遊べる」メリットとして考えていますね。

――スジモンバトルについて、何か面白い話をお聞かせ願えないでしょうか。例えばジムについての話とか。

阪本氏:面白い話ですか(笑)。ジムについては、各地のジムを巡ってそこにいるライバルを一人ずつ倒していって、最後の敵と戦うみたいな大筋になります。ちゃんとストーリーも用意しています。

面白い部分でいうと、スジモンを倒すと確率でスカウトできるんですけど、「必ずこいつがここで手に入る」みたいな決まりを作ってないんですよ。強いスジモンとの出会いは一期一会なので、仲間にできた時は結構嬉しくて、愛着も湧くと思います。

――スジモンにはガチャもありますが、あれは救済措置みたいな位置づけなのでしょうか。

阪本氏:そうですね。あくまでも救済措置かつ、全部コレクションしたい人用の受け皿的な位置づけです。本当に強いやつはなかなか手に入らなくて、重ねがけして進化する要素もあるので、やり始めると本当に止まらないくらい育成要素があります。メインシナリオを進めるとレベルの上限も上がったりしますし、そこで昔のスジモンをさらに育てるか、新しいやつに乗り換えるかの選択も出てきます。

――今まであまり言及されていなかった、本作ならではの遊びというのはありますか?

阪本氏:プレイスポットとは違うんですけど、「エンディングノート」という桐生専用のストーリー群があります。過去の桐生自身の生い立ちや過去を振り返ったり、昔馴染みのキャラクターと再会するイベントシーンを見られるのですが、それもめちゃくちゃボリュームがあります。

――フォーマット的には「7外伝」の赤目ミッションや「ロストジャッジメント」の学校を思い出しました。

阪本氏:マップ上で思い出すクエストっぽいものから、サイドストーリー的なちゃんとしたドラマシーンもありつつ、思い出しリストを埋めるだけでも相当な数があります。内容も濃いので、エンディングノートを始めるとずっとそればっかりやり続けちゃうかもしれませんね。メインストーリーに絡んでいるものもありますが、ちょっとしたクエストで現地に行った時に思い出すようなものもかなり多いです。

――ボリュームについての話が何度か出ているかと思いますが、メインストーリークリアまでの想定クリア時間はいくつくらいなのでしょうか。

阪本氏:今回はとくに具体的な数字を出すのが難しいんですけど、スキップせずに普通に遊ぶと40~60時間くらいは掛かるんじゃないかなと。そこにドンドコ島とかスジモンバトルも入ってくるとヤバくて、僕はドンドコ島だけで20時間くらい遊んでいました。サブクエストとか含めて全部もやっていこうとすると、80時間は余裕で越えてくると思います。

――シリーズの中でも最大級のボリュームだと。

阪本氏:過去最大です。これははっきりと言いきれますね。5人主人公がいた「5」の時よりも圧倒的に多くて、マップの規模も一番大きいですね。

――ストーリー的な部分では、春日はネットの切り取り的な情報で酷い目にあってハワイに来る流れがありますが、そういった現代的なエッセンスも含まれているのでしょうか。

阪本氏:そうですね。やっぱり現代を舞台にする以上は、現代に起こりうるテーマは無視できないですし、人々の生活感とか人生観ってその都度違いますから、今の時代の感性というものは意識しています。

――動画を作ってバズらせたい、みたいなシーンもそういう要素ですよね。

阪本氏:そこを「龍が如く」的な脚本としてどう物語として構築していくかというのは、特徴になっていると思います。まぁ、サブクエストとかの中には、あまり深く練らず、ファッション的に風刺しているものもありますが(笑)。

――最後に、発売に向けてのメッセージをお願いします。

阪本氏:ついに発売まで1ヶ月を切ったタイミングになりましたが、全てを語ろうにも語りきれないぐらいのいろんな要素が詰め込まれていて、どれ一つとってもすごく楽しめる仕上がりになっていると思います。

メインストーリーについては、個人的にシリーズの中でも一番涙を流すのでは思っているくらい、感情が大きく揺さぶられる内容になっています。ファンなら必ず、興味持った人も、遊ぶと本当に心に残る一本になってくれると思いますので、是非ご期待ください。

――ありがとうございました。

(C)SEGA


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