【ミャンマー】民主派NUGが秋波、「一つの中国」支持[政治]

ミャンマーの民主派らによる挙国一致政府(NUG)は1日、中国に友好的な「外交」方針を発表した。中国と台湾は不可分の領土とする「一つの中国」原則の支持や、2021年2月のクーデター前までに両国が交わした合意内容が有効だとする内容を盛り込んだ。米欧に傾斜しているとのイメージを払拭して中国とミャンマー軍事政権との関係強化をけん制する狙いがあるもようだ。

声明では、オンライン政府として軍政に抵抗するNUGは非同盟主義で、連邦制民主主義に基づく国家を目指すと表明。中国のミャンマー投資の保護や、(国境地域などでの)オンライン詐欺、賭博、人身売買、麻薬などの犯罪対策への協力も訴えた。

ミャンマーの民主派はこれまで、中国と軍政が接近していることに警戒感を強めてきた。NUGや少数民族武装勢力などが参加する抵抗組織の代表の調整機関「挙国一致諮問委員会(NUCC)」は23年6月、「中国は軍政側とのみ関係を維持している」と非難する声明を出していた。NUGの「国際協力相」ササ氏は同月、欧州連合(EU)に対し、「ロシアや中国を含む軍政を支援している国や企業への制裁」を提唱していた。

中国はミャンマーのクーデター後に「内政不干渉」を表明したが、昨年、軍政や少数民族武装勢力への関与を強めた。三つの少数民族武装勢力が同年10月、中国国境に近い北東部シャン州北部で国軍への一斉攻撃を開始した後は、軍政や中国国境を実効支配する各勢力が「不法滞在者」の中国への強制送還を増やした。

NUGは、政変後に各地で結成された民主派武装組織である国民防衛隊(PDF)を傘下に置いていると主張しているが、統制は取れていない。情勢が混迷する中、中国がミャンマー国内に敷設したガスパイプライン施設などの破損も散発している。

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