【馬好き必見】馬の好物

みなさんは、馬といえばどんな食べ物が好きだと思いますか?今回の記事では「馬って本当にニンジンが好きなの?」「どんな味が好き?」といった疑問に答えます!記事の後半では嫌いなもの・食べてはいけないものも紹介するので、併せて確認してくださいね。

人参好きは本当?

筆者は「馬の主食ってニンジンだと思ってた」という方に会って、それほどまでに「馬はニンジンが好き」というイメージは強いのか…と思ったことがあります。では、果たして本当に馬はニンジンが好きなのでしょうか?

たしかに、だいたいの馬はニンジンをあげると食べてくれます。馬房の近くでニンジンを切っていると、待ち遠しそうに鼻先を伸ばしてくる子もいるかもしれません。このように多くの馬はニンジンを好むといえます。

ただし、ニンジンよりもリンゴのほうが馬に人気がある可能性も。なぜなら、馬用サプリでも「ニンジン風味」は見かけないのに対して「リンゴ風味」の商品はたくさんあるからです。

また、ニンジン・リンゴなど歯ごたえのあるものが好きなのかな?と思いきや、バナナのほうが好きという馬もいます。ニンジンが嫌いな馬は少ないですが、一番好きなものを選ばせたら馬によって好みはかなり分かれそうですね。

馬は甘党!

ここまでいくつか馬の好物を挙げましたが、どれも甘いものですね。馬は味のなかでは甘味を最も好むといわれており、ハミが苦手な馬用に「口に入れると甘く感じるハミ」が製品化されているほどです。

人間の場合は、糖を摂取するとドーパミンなどのホルモンが分泌されて「幸福感」「やる気」が増すといいますが、もしかすると馬もそうなのかもしれません。

こうした味の好みには、その動物が生きていくために重要な栄養素が関係していると考えられます。甘味と関連する糖質も、馬のエネルギー源になる大切な栄養素。ほかには、体内の電解質のバランスを整えるために必須の「塩分」つまりしょっぱい味も、馬が好むといわれています。

馬の味覚と舌

動物によって味の好み・感じ方は違うようですが、馬の味覚・舌は人間とどのように違うのでしょうか?

馬の味覚

動物が味を感じる力は、舌にある味蕾(みらい)という器官の数に左右されます。みなさんも、自分の舌を鏡で見てみると細かいツブツブのようなものが見えるのではないでしょうか?これが味蕾です。

哺乳類の中では、肉食動物のほうが味蕾が少なく、人間を含む雑食動物が中間、草食動物は味蕾が多い傾向にあります。そのため、馬の味覚も人間よりも鋭いと考えられるでしょう。

ただし、味蕾の数が同じであっても強く感じる味は動物によって異なるようです。たとえば、人間よりも味蕾の数が少なく甘味もあまり感じないといわれているのがネコですが、なんとアミノ酸を味として感じる能力は高いそうです。

馬も、人間の味覚でいえば「甘い」「しょっぱい」味が好きですが、もしかすると感じ方は人と異なるのかもしれませんね。

馬の舌

馬は舌をペロッと出していることもあるので意外と舌を見る機会は多いです。また、乗馬をしていると「ハミを入れるときにいつも触れている」という方もいると思います。

馬の舌は人間と同じようなピンク色で、表面は意外と滑らか!同じ草食動物でもウシの舌はザラザラですが、これには「ウシには前歯がなく、舌で草を巻き取って食べる」ということが関係しているようです。

馬は前歯があるので草をブチブチと前歯でちぎって口の中に入れ、入ってきた草は舌で臼歯のほうへ送り込みます。ブレンドした飼料を選り分けて好きなものだけ食べる馬もいるので、唇や舌はかなり器用といえそうです。

嫌いな食べ物は?

ここまで、馬の好きな味・馬の味覚などについて紹介してきました。最後に「逆に嫌いな味はあるの?」「食べさせてはいけないものは?」といった疑問にお答えします。

嫌いなもの=危険なもの

馬によって好きな果物が違うように、好き嫌いには個体差があります。しかし、一般的に馬が嫌いな味・避けたがる味は「苦味」と「酸味」です。

これは、自然界で暮らしていた頃からの名残で「苦いものは毒性があるかも」「酸っぱいものは傷んでいるかも」というリスク回避のために生まれた好みと考えられます。また、同じ理由からにおいのつよいものを好まない馬も多いようです。

しかし、中にはリンゴよりもすっぱい柑橘類・パイナップル・ベリー系の果物を好む馬や、かなり香りの強いセロリをバリバリ食べる馬もいるようなので…みなさんも愛馬の好物を探ってみてくださいね。

食べてはいけないもの

馬にオヤツをあげるときは、好みも大切ですが「食べてはいけないもの」を知っておくことがとても重要です。人間は普通に食べているけど馬はNG!という食べ物もあるので、いくつか紹介していきます。

なお、肉類・乳製品・菓子・人間用の加工食品などは、そもそも草食の動物にあげないほうが良いので今回は詳しくは触れません。

野菜の中で、まず気を付けたいのがネギの仲間です。ネギの仲間には長ネギ・玉ネギ・らっきょう・ニンニク・ノビルなどが含まれます。犬や猫と同じく、馬もネギ類の植物を食べると赤血球が壊され「溶血性貧血」になる可能性があります。

また、アブラナ科の野菜は腸内でガスを発生させやすく、馬は疝痛を起こしてしまう場合があります。アブラナ科の野菜にはキャベツ・白菜・菜の花・カブ・ブロッコリー・カリフラワーなどが含まれます。

私たちは普段から食べることも多い野菜なので「余ったから少しあげたいな」と思う方もいるでしょう。しかし、一度疝痛を起こせばつらいのは馬自身。少しでもリスクを減らすためには、細かいことにも気を付けたいですね。

そのほか、野菜の中には種類・部位によって毒性を持つものがあります。たとえば、ナス科の野菜にはアルカロイド、アボカドにはペルシンという毒素が含まれています。そのため、馬をはじめ犬・猫にも与えないほうが良いでしょう。特に、アボカドは毒素以外にも脂質の多さ・種をのどに詰まらせる可能性など危険がたくさん。

オヤツはあくまでご褒美・嗜好品であり必要不可欠なものではないので「人間の身体にいいから馬にもあげてみたい」「人間にとっておいしいから馬にもあげたい」といった理由ではなく、馬が安全に食べられるものを少量与えるに留めましょう。

まとめ

馬は甘党と聞いて、親近感を覚えた方もいるはずです。馬好きのみなさんも、ぜひ馬の好物を把握して、ご褒美オヤツをあげてみてはいかがでしょうか?

ただし、馬の中にはアレルギー・持病がある子や、食事に気を遣って体調を調整中の子などもいます。そのため、馬にオヤツをあげるときは必ず厩舎のスタッフに確認してからにしましょう。

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